長岡生コンクリート
創発により紡ぎ出される
コンクリートソリューション

2023/06/02

「なんと棄てていた上澄水が骨材の吸水率や密度を改善してました」

「なんと棄てていた上澄水が骨材の吸水率や密度を改善してました」

RRCSリサイクル分科会(リーダー・小山明男教授)指導の元粛々と進められている粒状化再生骨材の可能性を探究する取り組み。これまで生コン工場ではpH調整をして河川放流、つまりは、棄てていた上澄水がなんと、CO2を固定するだけでなく、骨材の吸水率や密度を改善してしまいました。



上澄水散水養生

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https://www.nr-mix.co.jp/jois/blog/1m350kgco2.html

 残コン女の子

本日は上澄水散水養生をした粒状化骨材の吸水率と密度の結果が出たのでそのご報告をいたしますー。前回(写真)は炭素量固定から導き出された二酸化炭素固定量をご紹介しましたが(リンク)、その時点でも水分に明らかな違いがあったので期待はされていたのですが、実際はどうだったのでしょうか?

粒状化再生粗骨材

そもそも粒状化再生骨材の吸水率や密度ってどのくらいなのか。我が国じゃL,M,Hと再生骨材は規定されているが、それらと比べて見るのも面白えぞ。

 残コン姐さん

上澄水散水養生Before

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表乾密度:2.35g/cm3、吸水率:8.91%。

 残コン女の子

やはり、原骨材(残コンに含まれていた骨材)の周りにモルタルペーストが皮膜されている分密度は小さく吸水率は大きいです。。 上澄水を散水することで変化が本当に現れるんでしょうか。

上澄水散水養生After

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密度:2.37g/cm3、吸水率:7.19%。

若干ではあるが、密度は0.02g/cm3、吸水率はなんと1.72%も!改善してやがるぜっ。これは、やべえことになってきたな。。CO2を固定するだけでなく、骨材としての性能が向上してるんだからなっ。

 残コン姐さん

粒状化再生細骨材

 残コン女の子

そして、いよいよ細骨材ですが、理屈で考えれば表面積がより大きいため、炭素固定量のみならず密度・吸水率に関してもより大きい改善が見られるはずです。

Before

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表乾密度:2.03g/cm3、吸水率:22.81%。

After

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表乾密度:2.19g/cm3、吸水率:15.96%。

ぬおっ。驚きで変な声出ちまったっ。
密度は0.16g/cm3だが、吸水率に至っては6.85%も改善してやがる。神ってるな、これは。
それにしても、再生骨材L品の規格にはまだまだ及ばねえ。。粒状化再生骨材は残渣や微粒分が含まれているため、集塵機での回収(吸水率のさらなる改善)並びに混和材としての活用(回収ダストの有効利用)など、今後探求すべき潜在性は未知数だなっ。

 残コン姐さん

CO2を原料に骨材の性能を向上させたっ

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残コンstでは今後上澄水散水養生プロセス並びに微粒分(ダスト)の回収プロセスを標準化する見込み。

残コンさん、残コン姐さん。この度は、CO2を原料とすることで骨材の密度や吸水率を改善することができることを明らかにしてくださって誠にありがとうございます。それだけじゃなく、その利用されたCO2利用分を「カーボンネガティブ」としてうたえることもできそうです。何せ、当社らはCUCOに参画していたり、CPコンクリートを裏付けるRRCSにも加盟していますから。粒状化再生骨材のJIS化を牽引する明治大学小山明男先生は本日当社にお越しくださいますので、この辺をじっくりご相談させていただければと存じます。また、あいにくの雨で本日参加される白石建設武南社長による本技術萌芽期の提案を「コンクリートではない」ことを理由にコンソーシアムで議論すらしてくださらなかった安藤間の白岩さんが欠席することは残念に他なりません。じっくりこの点を議論したかったのですが。。
「コンクリートをもっと身近に」
いやー、それにしても、すごいよねっ、CO2。こんなにすごい原料だったんですね。日本中はおろか、地球上どこでも手に入る原料だしねっ。それに、上澄水なんて生コン工場でこれまで棄ててきた物だから。タダで手に入るし。今後が楽しみですっ。
オワッコーン‼︎

 宮本

 残コン女の子

ぉ、おわ?
確かに宮本さんおっしゃるように、生コン工場にはCO2も上澄水もありますから、再現性は間違いありません。RRCSご指導の元、引き続き本技術の研鑽に努めていきたいと思いまっす。
あいにく土砂降りの雨だが、生コン工場の連中は暇してんだろ? まだまだ空きがあるから、午後から開催される小山先生を囲む自主勉強会にかかってこいやっ。残ッコーン‼︎

 残コン姐さん



作者・宮本充也

残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー

未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。

Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。

After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。

宮本 充也

主な著者
宮本充也

1級(舗装・造園・建築・土木)施工管理技士/コンクリート主任技士・診断士

危険物取扱責任者(乙4)/毒物劇物取扱責任者/日本農業検定(1級)/エクステリアプランナー(2級)/運転免許証(大型・中型)

勉強中の資格:採石業務管理者/2級FP技能士