2022/07/13
【実録】「愛犬と寛ぐ大人の隠れ宿 えふでの宿《八の坊》の駐車場が温泉でクールダウンするよ」#4
#3 では残コン造粒骨材・温泉水100%で製造された造粒ポーラスコンクリート「オワコン」の製造の様子を紹介した。今回はいよいよ駐車場完成までの様子をご覧ください。
製造:長岡生コンクリート(担当:まさつぐ)、施工:all round・エムネット・菅野貴夫混成チーム(担当:新井真介)
2層で高強度セメント安定処理路盤を兼ねる
オワコンの駐車場タイプは2層で150mm厚・路盤不要を基調としている。
通常の土間コンなどでは路盤100mm・コンクリート工100mmのトータル200mmとなっている。
一方、オワコンは言ってみれば「高強度セメント安定処理路盤」とも言える。
そのため、路盤を省略し2層で1発仕上げとなっている。
詳細は以下の通り。
施工手順 | 土間コン | オワコン |
---|---|---|
1)掘削 | 200mm~ | 150mmに削減 |
2)残土処分 | 200mm × 面積 | 150mm × 面積に削減 |
3)路盤 | 100mm~ | 省略 |
4)メッシュ配筋 | 有 | 省略 |
5)コンクリート工 | 100mm~ 数時間から半日の水引を待ってから仕上げ |
オワコン150mm 2層打設によりセメント安定処理路盤を兼ねる |
6)養生 | 当日〜翌日は立ち入り厳禁 | 直後から歩行や軽作業可能(時短) |
こんな感じ。
だから、安いんだよね、水を透す土間コンなのに、水を透さない土間コンよりも。
幅広プレートなどで締め固めれば以上おしまい。
続いて、表層工となる。
オワコン表層工 ①敷き広げて
基層を締め固めたら表層の施工に移る。
それにしても、水を透さない方の土間コンと違って、足元にワイヤーメッシュもなく、また基層が安定しているため、ずいぶん仕事がやりやすそうだ。
all round新井さんの見事なレーキ(トンボ)さばきが炸裂している。
現場の声としては、通常品のオワコンに比べてレーキビリティが小さい(つまり、レーキを引きにくい)そうだ。
まだ検証前だが、おそらくは残コン造粒骨材100%にすることで微粒分が増えたことと、温泉に含まれる何らかの成分の影響のように思う。
敷設(敷き広げること)が終わったらいよいよ締め固め・仕上げとなる。
オワコン表層工 ②締め固める
レーキビリティが小さい、つまり、粘性が強すぎるということ。
専門的な話で恐縮だが、そんな状態のオワコンを振動プレートなどで締め固めると「のろ」が上がってきてしまい、水を透すための空隙が潰れる。
つまり、水を透すことが難しくなるからNG。
そのため、新井さんの判断で今回は機械を使わない完全人力施工による仕上げとなった。
駐車場に使うということもありきちんと締め固めなければなので結構大変だったみたい。
八の坊の駐車場完成
After。
ビシッと完成。
翌日13日は1日養生期間として充てられ、14日からいよいよ駐車場として開放されることになる。
こんなに早く車両が乗り入れることのできる土間コンってあったっけ。
しかも、水を透す土間コン。
信じられますか。
信じられませんね。
ドッグランを兼ねた駐車場
こちらはそんな駐車場の脇に設置されているわんちゃん専用の足湯。
ちなみに、オワコン駐車場だが温泉で散水するなどすれば気化潜熱が奪われてクールダウンする。
環境温度が「温泉で散水なのに」さがる。
その足湯を楽しんだわんこが今度は散水されて快適な駐車場の上で寛ぐドッグランを兼ねちゃう。
温泉なのに涼しい。
顔が10cmとか20cmとかの位置にあるわんこであるからして大人の僕達にはわからないあれこれがあるんだと思う。
5代目望月専務いわく、「これまで2頭のわんちゃんの命を救いました」だそうだ。
飼い主でも熱中症の知識がない場合が多く悪い場合には命を失うケースまであるそうだ。
5代目ご学友には獣医がいるらしくすぐに対応してくれるというのも八の坊の強みかもしれない。
ちなみに、今回作った舗装の性能をあれこれモニタリングすることで獣医がお墨付きを与える駐車場にもなるかもね。
夢が広がる。
いよいよキックオフが始まった。
ALL伊豆で事業者や個人が交流する「創発型まちおこし」。
そのメモリアルとして八の坊の駐車場が完成した。
ぜひ、こちらをお尋ねいただき、観光資源としてのインフラをご覧ください。
宮本充也