2021/03/19
【静岡】「建築と土木以外の地面全部が市場」CI工業
静岡県御殿場市。東京電力発注の送電線鉄塔下の舗装にドライテック採用。今年に入って断続的に発注される送電線案件は今後もさらに続く見込み。
製造:長岡生コンクリート、施工:CI工業(13.5m3/108m2、100mm厚、他詳細不明)
建築と土木、道路舗装以外
このところ絶えず発注されているのが送電線鉄塔下舗装。
東京電力はドライテックのリピーターだ。
昨日都内で開かれたコンクリート関連のイベント(九州電力も参加してたな)に参加してSDG's、ESG、カーボンニュートラル時代に求められるコンクリートテックについて知見を深めてきた。
これまでの、「大地を削り、汚し、蓋し、CO2を焚き続ける」コンクリートのあり方は変化が求められることになるだろう。
大地を削らない、汚さない、蓋しない、CO2を収容するコンクリート。
RRCS野口代表理事によれば「セメント・コンクリートは悪者だから使ってはならない」と全否定するのは簡単だが、「水の次に流通する」というこのボリューム感は他に例がない。
そのボリューム感でイノベーションを起こせば他のどの産業よりも新しい時代の文脈に応えうる。
とても印象に残ったコメントだった。
そんな新しいコンクリートとしてのポーラスコンクリート(ドライテック)はいったいどのような場所に使われるべきだろう。
建物に使用するわけにはいかない。
天井から雨がダダ漏れの建物は僕でも耐えられない。
脅威の透水性能が仇になる笑。
土木構造物、たとえばダムにも使っちゃならない。
河川の水量を調節しなければならないのにダダ漏れじゃ困る笑。
鉄筋錆びまくりだから鉄筋コンクリート構造物にも使っちゃダメ。
高規格道路(国道とか高速道路)にも向かない。
路床以下に雨水が浸透するような設計の場合CBRが低下してしまう恐れがあるからだ。
そうなると「建物(建築)と土木インフラ(高規格道路も含む)以外」つまり、建築と土木以外の地面が適応箇所となる。
建築と土木以外の地面全部。
巨大だ。
送電線鉄塔下に採用される2つの理由は除草(メンテナンス)と排水
その建築と土木以外の地面の1つである送電線鉄塔下。
地面をむき出しにしておくと鉄塔下は雑草が伸び放題になってしまう。
半年に1回程度除草に予算が当てられるという。
それを忌避するにはイニシャルで舗装をかけておくことになる。
すると今度は鉄塔のアングルが集めた雨水が大量に流下してくることで敷地外への雨水の流出、排水が問題となる。
最近の鉄塔は住宅地などに建てられることも多く隣地からの苦情が懸念されるという。
この課題を解決できるのがポーラスコンクリート。
雑草も、排水も、地面の普遍的な課題だ。
建築にも土木にも用いられる生コンクリート。
世界を見渡してみると建築と土木とそれ以外しかないということができる。
その「それ以外」の多くを構成する地面(舗装)に用いられているマテリアルの大半は現在アスファルトだ。
カーボンニュートラルやライフサイクルコストの観点からそのあり方も今後見直されていくに違いない。
CCUや再生材料をふんだんに実装したポーラスコンクリート(ドライテック)で建築と土木以外の全部の地面に必要に応じて適応される。
巨大市場が立ち現れる。
コンクリートといえば、建築か土木か。
これまでは確かにそうだったかもしれない。
昨日は老舗造園会社の富士植木から松本朗さんもご参加されていた。
僕の1級造園施工管理技士の師匠でもある。
「建築も、土木も規制でがんじがらめだけど、たとえば公園の中だったら新しい文脈のコンクリートテックは採用されやすいかもね」
人々が往来する空間における地面の多くを占めるのは公園。
全部ではないけど必要に応じて舗装される部分はポーラスコンクリートを適応する。
樹木の根系に水と酸素が届けられる。
足元が(インターロッキングのように)ガタガタすることがないからいつまでも安全安心な歩行が約束される。
建設産業の構造はピラミッド型のヒエラルキーとなっている。
コンクリートはそのヒエラルキーの中で下層を司っている。
産業全体が萎んでいく中で下層のコンクリートはなかなか夢を描けない。
そこに突如立ち現れた建築と土木以外の地面全部という市場。
大地を削らない、汚さない、蓋しない、CO2を収容するコンクリートへの世界からの熱視線。
コンクリートの歴史として考えると今僕たちはとんでもない転換期を迎えているのかもしれない。
宮本充也