2022/04/05
【大阪】「雑草とか、虫とか、絶対に見たくない。全部コンクリで埋めてしまいなさい」寝屋川コンクリート・しげよし工業
大阪府堺市。戸建て住宅駐車場の排水、水勾配対策として透水コン(ポーラスコンクリート)が採用された。生コン工場があるところは必ず透水コンは入手できる。逆に、製造を断る生コン工場には問題があると考えられる。
製造:寝屋川コンクリート(担当:yutaro)、施工:しげよし工業(30m2、100mm厚、3名、時間不詳)
排水、水勾配の対策
施工Before。
雑草とか虫とか絶対に見たくない。
草という草を全部コンクリで埋めてしまいなさい。
奥さん、お待ちください。
もしもそんなことをしてしまったら、床下・床上浸水必須です!プールです!!
ええっ?! コンクリって水を通すんじゃないの?
インターネットで見たわよ。
ああ、そうですね、お目が高い。
確かに、現代にはポーラスコンクリート(透水性コンクリート)と言って、水や空気を流通させるコンクリートがあるにはあります。
ただし、残念ながら今のところは「全ての生コン工場が対応している」ってわけじゃないのです。
選りすぐりの生コン工場でしか透水コンは対応していないのです。
そのうちの1社が寝屋川コンクリート(担当:yutaro)となっています。
もし、よろしければ、寝屋川コンクリートに依頼して出荷してもらいましょうか。
お願い!草も虫も絶対に見たくないの。すぐにでも透水コンで家周りを埋め尽くして頂戴!!
そんなやりとりがあったかどうかはわからんが、とにかく今回も寝屋川コンクリートが手がける透水コンの現場共有があった。
それでは施工を見ていこう。
透水コンとは転圧コンクリート舗装の1種に数えられ、配筋(ワイヤーメッシュ)の敷設は不要とされている。
だから施工は簡単。
敷設して、平ら(水勾配を考えなくてもいい)に均して、締め固めるだけ。
ブリーディングは浮いてこないし、仕上げも締め固めで完了だからあっという間に仕事が終わる。
施工After。
奥さんのご希望通り(?)、完全にコンクリ(透水コン)で埋め尽くされたお庭。
なのに、床下・床上浸水の心配はない。
だって、水が抜けちゃうからだ。
その水は蒸散もするし、地下浸透することで植栽の根系を潤したり地下水系に還元されたり。
自然の循環を損ねることなくコンクリは人々の暮らしに役立つ。
自然と仲直りしたコンクリート。
生コンポータルが提案するこれからのコンクリートの在り方。
「大地を削らない、汚さない、蓋しない、循環するコンクリート」
究極の自然と仲直りしたコンクリートgranZ concreteとは?
⚫︎参考記事: ゼロセメントコンクリートの透水性舗装 granZ concrete
ベースにはオワコン(造粒ポーラスコンクリート)という技術分野があった。
また、全く別の系譜として、ゼロセメントコンクリートとは奥村組土木工業、スペースK、横浜国大らが研究している「セメントを使わず、海水で製造される」生コンクリートがある。
ただ、その2つを掛け合わせることで、granulated zerocement concrete(造粒されたセメントゼロのコンクリート)が誕生した。
完全に、大地を削ることなく(骨材やセメントを作るためには山河を削らねばならない)、汚すことなく(全て再生資源であるため廃棄されない)、蓋しない(ポーラス構造であるため水や空気が自由に流通する)、循環する(完全クローズドループで無限に循環する)コンクリートの化身だ。
ただし、オワコンや通常の透水コンと違って、今すぐ入手できるものではない。
材料が特殊であるため、現行の生コン工場ですぐに取り組むにはいくつか障害がある。
その障害を乗り越えるべくさまざまな分野の人々が交流することによってgranZ concreteは当たり前になろうとしている。
ちなみに、このイノベーションは今年オスローで開かれる国際コンクリート学会(FIB)で論文発表を控えている。
⚫︎参考記事: 《FIB Congress》「国際コンクリート連合に登場?! 【オワコン】【granZ concrete】 ついに、海を渡る!!」造粒ポーラスコンクリート
いよいよ日本生まれの造粒ポーラスコンクリートは海を渡り世界の関心を集めることになる。
技術分野というものは不変である。
一つ所に立ち止まることはあり得ない。
次から次へと新しいアイデアや技術が生まれどんどん進化する。
だから、僕たち当事者も常にその循環の中で変化を強いられる。
自分の殻に閉じこもることなく、傷つくことを恐れずに常に多くの人たちとの交流を楽しもう。
そんな気持ちで毎日情報発信をしています。
宮本充也