2022/12/31
「2022年 残コン 書き納め」 #JISを変えよう
「開発されたけど実装されませんでした」。ゼネコンや大学の研究者の玩具にしてはダメ。製品とは「売れてなんぼ」という視点を常に忘れない。2022年を振り返り、現場で生まれた価値を漏らさず伝えることの重要性に感じ入る。
産業を飲み込む 残コン と 各種用途
広がる残コンステーション
現場で使用されず余剰分となった生コンクリート「残コン」は10年以上の歴史を数える残コンステーション(動画)で瞬時に固化処理され造粒骨材(粒状化骨材)という原材料に変質する。
残コンステーションで得られた造粒骨材。2022年には造粒骨材を原材料とした各種製品が誕生した。
今年自分たちもイメージキャラクターとして登場したわけですが、たった1年を振り返っただけでも多くのチャレンジングな試みがありました。
高流動埋戻材「イワモル」爆誕
高流動埋戻材「イワモル」は自己充填で空間(廃止管など地下埋設物の空洞)を満たす。
イワモルはその後所定の強度(例えば周辺地盤強度など)を発現する。地盤沈下などの未然防止を期待した製品。
原材料(骨材)は既出造粒骨材の5mmUを100%用いている。水とセメントを配合すれば「岩守る」の完成だ。
(※キャラクター演出上一部事実と異なる表現があります)
強まる「残コン不正利用」の取り締まり
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/ncr/18/00175/111000002/
Wedgeや日経xtなど2022年にはメディアで「残コン」が取り上げられるケースが増加した。
「残コン」は決してネガティブな意味だけでなく、チャンスとして捉える活動は現場単位だけでなく、規格・指針といった公の施策もRRCS(代表・野口貴文)らにより推進されている。
野口〜っ、気合い入れて頑張れよ!
(※キャラクター演出上一部事実と異なる表現があります)
広がる各種残コン用途開発
ため池遮水材
【神戸大学訪問】「巨大市場《ため池メンテ》を出口とすることで残コン問題は完全解決を見る」
2023年本格始動を予定している残コンスラッジの用途開発は神戸大学他との共同研究。
混和材料としての規格化も視野に
「生コン工場の中にあるものだけで高流動コンクリートを製造する」陽光物産・JIC
現在RRCSリサイクル分科会(明治大学・小山明男教授)では骨材の規格化に加えて混和材についても検討が始まる(次回宮本さんから話題提供予定)。造粒された残コンの微粒分は先行して始まっている NEDOのCPコンクリート開発を基礎としてGI基金でも脱炭素の文脈で検証が始まっており、混和材料としての潜在性に期待が集まる。
オワコン/オコシコン他 JIS外品
造粒ポーラスコンクリート「オワコン」。
ポーラスコンクリート「オコシコン」。透水性コンクリートはいずれもJIS A 5308で規定されていない製品であるため、残コンを粒状化させた骨材の用途先としては有益。他、ラップル、シールコン、捨てコン、均しコンなど非構造体や先送りモルタル、少量生コンなどJISマークが付されない製品での普及が期待されている。
コンクリート産業には多い「開発されたけど実装されませんでした」なんてことにならないように。
生コン工場さんにとって敷居の低い在り方を模索していかねばなりません。
残コン 2022年 書き納め
いよいよ2022年最後のblgを書き上げようとしていて、来年には8年目に突入する「コンクリートメンヘラ」ここに極まれりを体現している宮本さんですっ。
残コンさんもいってくれたように「開発されたけど実装されませんでした」的な、既往のメディアではチヤホヤ(広告料欲しさ)されたけど、その後聞かないよね、みたいなコンクリート製品をこれ以上量産しちゃいけません。
しつこいようだけど、製品ってのは「売れてなんぼ」を忘れちゃならない。
それは研究段階から常に焦点としなければならないことなんだ。
「生コン工場を置いてけぼりにしないでちょうだい」(内山アドバンス・柳内光子)
けだし、名言だね。
この一言に尽きる。
大学やゼネコンの研究者は常に「先端とされる」コンクリートを生み出してるつもりだけど、それら大半を僕は現場で見たことありません。
一方、生コンポータルでウォッチしている製品はいずれも生コン工場や現場で生み出され実装されています。
その現実、現場を出発点としてものづくりは進化しないと「絵に描いた餅」となる。
2022年を振り返って強く感じたことです。
生コン製造・施工の現場を余すことなく「伝える」情報発信の目的は「コンクリートをもっと身近に」。
知られることで産業のフィールドは広がっていく。
さあ、2023年も引き続き。
残コンさん、残コン姐さん、PRよろしくお願いしますっ。
作者・宮本充也