2023/01/12
「2023年スラッジがオワコンに!」残コンとスラッジ水をふんだんに配合した造粒ポーラスコンクリート
資源循環・カーボンネガティブ・コスト圧縮の三拍子が揃った「オワコン」(造粒ポーラスコンクリート)の市場が成長するに従って生コン工場にとってのスラッジ問題は文字通り「オワコン」に!残コンとスラッジ水をふんだんに配合した造粒ポーラスコンクリートについて。
2023年スラッジがオワコンに!
スラッジ水で製造した生コンクリート「スランプダウン」
https://kentiku-kouzou.jp/tekkinkonkurito-slag.html
写真引用:齋藤建材のブログ新潟県新発田市にある生コン屋(砂・砂利などもあり)
現在JIS規格(JIS A 5308)ではスラッジ水の使用に制限が設けられている。一定濃度以上のスラッジ水を配合して製造された生コンクリート 21-21-20(N) は30分でスランプ21cmは8cmまでドロップすると言われている(白石建設武南さんの談話)。
オワコンにとってスランプダウンは大歓迎?
オワコン(造粒ポーラスコンクリート)とは高分子の作用により生コンクリートの流動性を奪い造粒させることでポーラス構造を得るもの。
また、駐車場など荷重がかかる箇所は別として、犬走や家周りなどせいぜい歩行程度の荷重を想定した用途に関しては強度発現が制約されるスラッジ水の使用は問題とならない。さらに、スランプドロップは造粒をブーストさせる作用もあるため、スラッジ水はオワコン製造に都合がいい。
生コン工場が1番困ってるのはスラッジ
残コンから砂・砂利・砕石を回収したスラリーをフィルタープレスで圧搾・減容したものがスラッジ(写真)。コンクリート塊と異なり、汚泥とみなされその処分費用は年々高騰の一途を辿っている。
圧搾される前のスラリー(スラッジ水)。オワコンを製造する場合このスラッジ水で構わないということになれば多くの生コン工場の賛同を得られるというのが白石建設武南さんの見解。
造粒ポーラス構造でさらに高CO2固定性を発揮!
図引用:novigas.vn
スラッジ水は強塩基性の飽和水酸化カルシウム溶液である。化学式にあるように、大気中のCO2と反応することで炭酸カルシウムに変化する。
オワコン W/C が 高い ことがメリット!!
写真引用:株式会社コンステック
写真は中性化試験の様子。大気と触れるコンクリート表面から時間経過とともに進行する中性化は水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに変化すること。また、一般にW/Cが大きければ大きいほど(貧配合であればあるほど)中性化は進みやすいことが知られている。
当初生コンポータルらではポーラス構造のコンクリート(オコシコン)の場合空気との接点が大きいため二酸化炭素の固定性能が高いと考えていた。しかし、オコシコン(他、既往のポーラスコンクリート一般)のW/Cは30%程度と非常に小さく、中性化にとっては不都合であることも事実。
一方、オワコンは通常配合18-8-20(N)などを用いて造粒させた構造であるため、W/Cは60%程度と中性化にとっては都合が良く、さらに含まれるスラッジ水の水酸化カルシウムや、そのポーラス構造(大気中との設置面積の大きさ)が二酸化炭素固定に有効だとすることができる。
本日(2023/01/12)スラッジ水配合オワコンの実機製造&施工
本日(2023/01/12)岡山・白石建設では実機によるスラッジ水配合のオワコン製造・施工試験50m2を予定している。
気づいたらもうやっちゃってるというその行動力が形にする人たちに見られる共通項ですね。
実験の模様はまた次のblgでご紹介予定でっす。
骨材は残コン造粒骨材・練り水は高濃度スラッジ水・少量のセメント
残コンステーションで製造された残コン造粒骨材。
よくよく考えてみるとこの着想ってイノベーションなんだ。
まず、骨材を全量写真の残コン造粒骨材にすれば生コン工場のコスト要因である残コン一切(スラッジ含む)をリサイクル(資源循環)できるから、マイナス原価だよね。
それに、オワコンならW/Cも大気との設置面積も大きいから中性化が促進される(カーボンネガティブ)。
雑草・排水を対策する程度の簡易舗装なら強度も必要ない(セメントが少量で済む)し汎用性も大きいから市場は膨大だね。
宮本さん、感動してますっ。
個人的には残コンステーションでスラッジ水問題を解消しちゃってる当社なので特に困ってはないのだけれど。
一般に生コン工場ってスラッジが1番困りものってよく聞くのでこのアイディアの潜在性は国内はおろか国際的に膨大なものになるはずさ。
さあ、コンクリートから地球環境に貢献だねっ。
残コンさん、残コン姐さん、引き続きご指導よろしくお願いしますっ。
作者・宮本充也