2021/12/05
《生コンキングクリムゾン》「フレッシュ性状を2週間以上保ち、さらにそこから水和反応が再始動する」渋谷建材
イノベーションは中枢ではなく辺境で起きる。だから、現場・現物・現実を常に至上として活動している。産業を揺るがすテクノロジーの萌芽は埼玉県川越市の生コン製造渋谷建材で育まれていた。
凝結と水和反応を飛ばす
JOJOに登場するキング・クリムゾンというスタンド(キャラクター)をご存知だろうか。
なぜ、このような書き出しをするかと言えば、スマホを紛失したからである。
昨日訪ねた渋谷建材(生コン製造)で僕は文字通り衝撃を受けた。
信じられない光景を目の当たりにした。
もちろん、普段通りたくさん写真や動画を撮影した。
すごいことだった。
何せ、目の前で「4日前に製造された生コンがまだフレッシュな状態で練り返されている」のだから。
開発した大曽根工場長によれば、2週間でも3週間でも、それは再現可能だそうだ。
まるで、キング・クリムゾンのように「時を飛ばす」特殊能力のように。
その4日間の時の経過がまさに「なかったかのように」目の前の生コンクリートは果たして生コンクリートだった。
固まらない。
そして、時が経過し合図とともに、水和反応は再始動し、生コンは何もなかったかのように、固まる。
水和反応が再開される。
無論、その後の懇親会は夢まみれで大層盛り上がった。
渋谷社長、大曽根工場長、駆けつけてくださった大里ブロック木村さんとともに、大層盛り上がった。
して、スマホを紛失したってわけだ。
わざわざ革製の鎖で大切なものを全て結びつけ紛失対策を万全にしてたって言うのに、失くした。
そんな自分を呪いたい。
先日も山形出張(2白3日)の新幹線の車中でスマホを携帯していないことに気づいた。
あの時以来の衝撃だ。
あの時など、人目を憚らず新幹線の座席を両手のひらでバンと叩いて、「もう!」とうめいてしまったものだ。
「携帯は携帯するもんだ!」と電話に出ない姉(育代)をいつも叱責している僕はつまり、携帯を携帯していないってわけだ。
地獄だ。
毎日ブログを3本書いていると本当に色々とある。
渋谷建材での出来事はそれだけ衝撃だったのだ。
大曽根工場長はそんな失態をかました僕のために今スマホを紛失したお店にあれこれ掛け合ってくれている。
今日は日曜日である。
もしも連絡が繋がらなかったら、僕はスマホがないままに岡山に向かうことになるのだろうか。
絶望である。
今度は、山形ではなく岡山か。
参った。
でも、「もう!」と自らを失うことはないだろう。
だから、なんだ?と自分に問いたい。
前置きがずいぶん長くなったが、昨日僕が受けた衝撃は伝わっただろうか。
これから本技術について各種実験が信頼できるパートナーとともに発展することとなる。
「生コンクリートの時間を2週間、3週間と自在に飛ばすことができる」
これだけで、コンクリートの専門家はその凄さを理解するところだろう。
僕にとっては件の磁石おじさん以来の衝撃だ。
⚫︎参考記事1: 「生コンはこの衝撃に耐えられるか?|流動化技術」
⚫︎参考記事2: 「生コンはこの衝撃に耐えられるか?|流動化技術 その2」
⚫︎参考記事3: 「生コンはこの衝撃に耐えられるか?|流動化技術 その3」
⚫︎参考記事4: 「生コンはこの衝撃に耐えられるか?|流動化技術 その4」
⚫︎参考記事5: 「生コンはこの衝撃に耐えられるか?|流動化技術 その5」
今回もその衝撃に耐えられず前後不覚に陥ってスマホを無くしてしまったほどだ。
生コンキングクリムゾンの活用方法
この技術だが、どんな応用、実装方法があるだろう?
まず、誰しもが思いつくのが、「残コン再生」なのではないか。
例えば、金曜日とか土曜日、週末の夕方に残コンが5m3〜10m3余ってしまったとする。
通常生コン工場では処分してしまったり、あるいは残コンソリューションなどを用いて原料に変換することになる。
例えば当社生コンポータル(長岡生コンクリート)では残コンステーションで全量リサイクルされている残コン
一方、大半の生コン工場はまだまだ日々発生する残コンに苦しんでいる。
渋谷建材では日に20〜30m3もの残コンが毎日工場に戻ってくるし、その現場写真をブログ用に撮影したってのに、スマホを紛失したことでお見せすることができない。
実に嘆かわしい。
で、その残コンは翌日まで生コン車の中でそのまま時を飛ばされ、翌日のJIS外品例えば捨てコンやら土間コン(駐車場)の現場に納品されることになる。
テキトーに商品名を作ればいいのだ。
すごいことだ。
さらに、思いついたことがある。
最近話題沸騰の造粒ポーラスコンクリート「オワコン」とも実に相性がいいってことだ。
⚫︎参考記事6: 「施工は簡単【撒いて踏むだけ】で家周りの雑草・水たまり・ぬかるみから解放されない?」オワコン
例えば、明日が休みでしかも連休(3日間)工場が停止する見込みのある日の夕方に残コンが5m3戻ってきたとする。
普通なら、やれやれ、なところだ。
ただ、こちらの生コンキングクリムゾン(仮称)があれば、3日間時を飛ばすことができる。
休み明けに予定されているオワコンの現場にそのままその材料を持ち込むことができる。
しかも、残コンが原料だから、原価0だ。
で、30,000円/m3で販売できる。
30,000円はまるまる利益だ。
(キーマテリアルY弾のコストはかかるけど)
それが、生コンキングクリムゾンの能力なのである。
素晴らしい。
写真と動画でお伝えしたい。
それが、できないのが恨めしい。
スマホがなくなるとこんなにも苦しいのなら最初からスマホなんかもたなければいいじゃあないか。
一度その着想に夢中になり、スマホをもたない宣言をしたことがあるが、当日にその発言を撤回したことを思い出す。
だけじゃない。
MAPEIのRe-con ZEROシリーズにこの能力を提供することで全世界の生コン流通に乗せることだって可能だ。
早速フェラーリ博士にこの衝撃を当時はまだ手元にあったスマホでメッセージしたところ以下のような返信があった。
(我ながらめちゃくちゃな英語だがそれだけ興奮していたってことだろう)
Absolutely yes!
はい 絶対に!(Google翻訳)
すごいリアクションだ。
絶対、イエス、なのである。
はいか、YESしかありません、なわけだ、生コンキングクリムゾンは。
そして、iPadが僕のブロガー人生をギリギリ首の皮一枚残してくれていることに感謝だ。
埼玉県川越市という世界の片隅で萌芽したこのテクノロジーはインターネットの現代瞬く間に世界の景色を変えてしまうことになるのだろう。
変化のスピードがますます速くなっていることを日々実感する。
オワコンもすごい技術開発だと思ったが、生コンキングクリムゾン(もう、勝手に名前つけてるし、僕はおそらくしつこいくらいその名称にこだわることだろう)も本当にすごい。
地球環境問題やエネルギー問題は待ったなしに人類にイノベーションを要求する。
そんな現代に「水の次に流通する材料」生コンに従事する職業人としてやるべきことを日々実感している。
時代は待ってくれない。
僕たち自身が常に辺境で変化を読み取り自らの姿を変えていかなければならない。
中枢から下される命令ではなく、辺境・ラストワンマイルであたかも細胞分裂のように僕たちは変化する。
創発。
衝撃の発明を生み出した渋谷建材の大曽根さんと協働できている僕を誇りに思う。
これはやっぱり、現場・現物・現実を至上としてやってきたからなんだと思う。
これからも現場を至上としてブレずに生きていきたい。
生コンキングクリムゾン恐るべし。
宮本充也