2022/07/28
《未来型生コン製造》「クローズドループ・資源循環へ向かう最強の未利用資源【残コン】争奪戦が始まる」#5
完全クローズドループの生コン製造プロセスは残コンステーション最終形態を起点に占うことができる。 ICCとして舵を切る長岡さくら工場の生コン生産プロセスの一部を完全に「大地を削らない、汚さない、蓋しない、循環する」あり方に刷新する。
残コンステーション最終形態 @ ICC
⚫︎参考記事:【ICC】生コンクリート製造体制は本年8月1日より一新されます(有限会社 長岡生コンクリート)
ICC.LLPとは
有限会社 長岡生コンクリートが運営していた長岡・さくら工場がこの度ICCとして体制を刷新する。
生コン製造事業者であるさくらと長岡がそれぞれ5:5で出資するLLP(有限責任組合)を設立し、生コン製造の一切を委託する。
いわば、さくらと長岡は新組織ICC.LLPにとって「顧客」であり「株主」というポジションに変化する。
参考記事にもあるようなシンプルで成果の上がりやすい共同事業体が生まれる。
並行して残コンステーション最終形態を有限会社 長岡生コンクリートがICCに提供することで更なる最適化・合理化を目指していきたい。
残コンステーション最終形態とは?
砕石。
砕砂。
セメント。
⚫︎参考記事:《未来型砕石製造業》「クローズドループ・資源循環へ向かう最強の未利用資源【残コン】争奪戦が始まる」#3
⚫︎参考記事:《未来型セメント》「クローズドループ・資源循環へ向かう最強の未利用資源【残コン】争奪戦が始まる」#4
残コンステーション最終形態を通って残コンは写真にあるように、砕石・砕砂・セメントに姿を変える。
白石建設武南さんや井形さんが取り組む砕石事業と残コンステーションが融合する形で生まれたイノベーションと言っていい。
ICCから長岡が残コンを「買う」
(提供:白石建設)
こちらが残コンステーション・前半(原石製造まで)で得られた原石を砕石・砕砂・セメントに生成するフローを示したもの。
既に残コンステーションのベースはICCに設置してあるため、そこで製造された原石を図の左上「ホッパー」に投入すると砕石・砕砂・セメントが生成される。
仮に、ICCの骨材ヤードに残コンステーション・後半を設置する。
今後ICCメンバーらとの協議が必要とはなるが原石を横持ちすることもなくその場で砕石・砕砂・セメントが生成されるとしたならば?
ICCに長岡が砕石・砕砂・セメントを売る
生コン工場といえば当然のことだが、日頃から数十トン単位で砕石・砕砂・セメントを購入している。
毎日だ。
長岡が砕石製造業の許可などを取得する必要があるかもしれないが、仮にICCの構内でJIC A 5005 の規定に沿う骨材が製造できたとしたら。
ICCはその製造する生コンクリート(JIS A 5308)として採用することができるようになる。
構内で未利用資源・捨てればゴミの残コンを原石として作られる骨材だ。
V骨材の桁違いの金額で長岡はその骨材をICCに販売することができよう。
現在骨材はtあたり3000円を下回らず、今後も高騰が続く見通し。
例えばそんな骨材が数百円という金額で調達できたなら。
ICCにとって長岡は最高にありがたい仕入先になり得るはずだ。
また、セメントに関しては流石にJIS A 5308 の要求に沿うような物にはならないだろうから、それらは例えば造粒ポーラスコンクリート(オワコン)などの用途に限定して利用する。
そもそも生産量がそれほど見込めないだろうからオワコン他特殊コンクリートのSCMとしては十分な量が期待できる。
その用途は構造体よりはマルチングなど強度を必要としないものがふさわしいだろう。
このプロセスを起点として作られる生コンクリートは既往の生コン産業と全く違う業態に生まれ変わっていることがわかるだろうか。
「大地を削らない(セメントも骨材も採掘しない)、汚さない(残コンを廃棄しない)、蓋しない(水も空気も流通するポーラス構造)、循環する(再びコンクリートとして蘇る)コンクリート」
いよいよ僕たちはこの境地に到達しようとしている。
ICCの門出とともに、庭コン・生コンポータルを運営する有限会社 長岡生コンクリートも脱皮する。
まずは、ICCをパートナーとしてこのフローを安定させてみる。
もしこの循環が期待通りに一回転したら、今度は近隣の生コン工場からの残コンの受け入れ、あるいは残コンステーション最終系のパッケージを生コン工場向けに提案(ICCに長岡がやったようなことを、その他の生コン工場で展開)などが始まる。
「あれ? 残コンが問題じゃなく、チャンスになってる」
ふと気づいた時には、あれだけ悩んだ残コンが金のなる木になっていく。
世界をどのように眺めるか。
世界は眺めたようにしか見ることはできない。
まずは「絶対やる、やり切る」という覚悟を立て、そこからは猛進する以外に僕たちには手立てがない。
そのうち見えてくるものがあるから安心して突っ走っていればいい。
白石建設をはじめ多くの生コンラストワンマイルがこのストーリーを牽引していくことになるだろう。
このお祭りはきっと盛り上がる。
庭コン・生コンポータルも全力で参加したいと思っている。
宮本充也