2022/08/21
《残コン売ってください》「クローズドループ・資源循環へ向かう最強の未利用資源【残コン】争奪戦が始まる」#8
昨日(2022/08/20)は岡山県でコンクリートに関わる人々の奇跡的な交流会が開かれていた。残コンは資源循環・脱炭素社会において貴重な原材料として争奪戦が始まる。当社らでは今後「残コンを購入して逼迫が深刻化する骨材製造・販売する」事業モデルで船出する。
その残コンお譲りください
⚫︎参考記事:《8月20日見学会》「クローズドループ・資源循環へ向かう最強の未利用資源【残コン】争奪戦が始まる」#7
PUMP MANの小澤さんがめっちゃ目立ってるが昨日は白石建設が運営する砕石場を舞台に残コンステーション最終形態の見学会並びに交流会が開催された。
残コンステーション(動画)で処理された残コンは写真のように粒度が分布した粒状物質となる。
現在白石建設らではこの粒状物質から骨材・フィラーを製造する工程を運用している。
振動ぶるいや破砕機を通すことで製造される骨材。
こちらは集塵機で捕集された微粒分(フィラー)。
現在こちらは混和材、あるいはエコスルCNなど製品の原材料としての利用が検討されている。
⚫︎参考記事:《エコスルCN》「クローズドループ・資源循環へ向かう最強の未利用資源【残コン】争奪戦が始まる」#2
残コンからJIS A 5005(コンクリート用砕石及び砕砂)やJIS A 5021(コンクリート用再生骨材H)に適合する骨材を製造する
議論が進む中ある時こんな着想が降ってきた。
そういえば、昨日はオワコンローンチ(というよりも着想)から丸1年が経過した記念すべき1日だった。
僕は、「朱に交われば赤くなる」という言葉を大切にしている。
人は社会的生き物であるから、知らず知らずのうちに無意識に普段付き合いのある人々から影響を受ける。
そのため、尊敬すべき人と共にいればそれはそのまま良い影響を受けることになるし、逆もまた然りだ。
昨日は僕の人生の中でも心から尊敬すべき方々が多く集まってさながら学生時代の遠足のようにバスの中で技術論を交わしていた。
そして、気付いたのだった。
残コンステーションで造粒処理したばかりの半生の造粒物をそのまま振動ぶるいにかけることでJIS A 5005やJIS A 5021に適合する粗骨材が得られる。
⚫︎参考記事:「いざイタリア!」世界的イノベーション【乾式】残コン処理システム視察旅行のご案内
実はこの着想、なんと3年半前にその輪郭に触れていたことに気づく。
その時には僕自身がそこまでの実力に到達していなかったと謙虚に受け止めている。
オワコンだってそうだ。
WAやIWA、Re-con ZERO EVOに出会った時には既にその輪郭に触れているはずだのに、それがポーラスコンクリートになるということに気づけたのはほんのここ1年の話なのだ。
残コンステーションで造粒処理されたばかりのフレッシュな造粒物のV骨材を取り巻くように被覆するモルタルペーストををまるで「みかんの皮を剥くように」はがすとそれは単なるV骨材(元々の骨材)でしかない(表中Density・密度、Water Absorption・吸水率参照)。
これ、つまり、その工場で標準化している粗骨材と全く同じもの、つまり、JIS A 5308生コンクリートに配合可能、てこと。
残コン由来のH骨材あるいは砕石の販売
ついつい悪い癖で、すごいことを思いついたりすると、超上から目線で論述してしまうのだが、ここはあえて謙虚に物事を進めていきたい。
それだけこの着想には無限の可能性を感じているからだ。
実るほど首を垂れるのである稲穂も天才も。
9月に振動ぶるいが実装される(横浜国立大学細田暁研究室らとの共同研究)。
直ちにこの着想を実行へ移そう。
まず、新設された生コン製造業ICC.llp(伊豆中央コンクリート有限責任事業組合)で発生する残コンを当社ら(長岡生コンクリート)で原材料として購入。
⚫︎参考記事:【ICC】生コンクリート製造体制は本年8月1日より一新されます(有限会社 長岡生コンクリート)
残コンステーションで処理し、粗骨材とそれ以外(モルタルペーストのカスつまりは上述フィラーと同等物質や細骨材の混合物)に分けられる。
出来上がった粗骨材は元々ICCで採用されている骨材と品質が全く同じものであるから、当社らとしては高騰する粗骨材価格より安めの設定でICCに骨材を販売する。
ICCではこの骨材を標準化してJISマークを付して生コンクリートとして販売する。
もちろん生産量は残コンに依存するため特定のコンクリート配合に限定されることになるだろうけれど。
このプロセスをJIC森先生(昨日も交流会に参加されていた)にアドバイスをいただきながら第三者機関に対してプレゼンする。
公に認めさせる。
JIS A 5308認証工場の標準的なあり方とする。
原材料の仕入れ価格はほぼほぼただ同然になるだろうから、粗骨材の販売売上 = 利益 という高収益の業態が生まれる。
それ以外(モルタルペーストのカスと細骨材の混合物)「脱炭素」の文脈
ただでさえ高騰する骨材を販売するだけでも高収益だのに、本質的に重要なのは生成された骨材ではなくそれ以外(モルタルペーストのカスと細骨材の混合物)の方だ。
それは今後の研究で徐々に明らかにされて行くだろうが、すぐに思いつくのは「脱炭素」の文脈となる。
これまでも述べてきたようにセメント・モルタルペーストには豊富な水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が含まれている。
我が国ではエコタンカルなどが有名だが、つまりは下式の化学反応ば起きることで二酸化炭素の吸収・固定が促される。
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + 2H2O
つまり、このマテリアルは潜在的にカーボンネガティブであることがわかる。
今後加速するカーボンクレジットの文脈で考えれば、このマテリアルを配合した生コンクリートの利用促進が進むのは不可避。
なお、現在すでにエコスルプラスのメーカーPUMP MANでは(仮)エコスルCNとして生コンクリート誘導材としての適応検討がすすめられている。
それ以外(モルタルペーストのカスと細骨材の混合物)SCMとしての利用
「ただ単に二酸化炭素を減らすことができました」では芸がない。
このマテリアルを混和材として適応することで脱炭素だけではなく品質改善が生まれる可能性をも秘めているのは横浜国立大学の細田暁先生も指摘する。
SCM(Supplimentary Cementious Materials)のようにセメント代替が広がるのであればそれはまた新しい市場を開くことにもなる。
9月にICC.llpに実装予定の残コンステーション最終形態で生成されたSCMはその場所で計量され水溶性袋に詰められる。
さながら、Re-con ZERO EVO や Y弾・F材あるいはレオパックのように生コン車のドラムに投げ入れを想定してのことだ。
こうした製品は当社らからゼネコン・工務店らに販売されることになろう。
(もしかしたら、ゼネコン・工務店向けにはRe-con ZERO EVO同様グロース・パートナーズが窓口になるかもしれない)
生コン工場では通常のJIS生コンを製造すればいい。
さながら流動化材のように、現場に到着し伝票が交付され所有権が移転(責任限界)した生コンに工務店・ゼネコンとしてその混和材を投入し攪拌する。
生コンクリートがCO2を吸収固定するだけでなく、なんらかの品質改善が期待される。
そこに、JISだとかJIS外だとかの議論は起きない。
みんな大好きSDGsの現代にゼネコンや工務店がこの製品を購入しない理由はない。
始まる残コン争奪戦
すでにお気づきの通り、「砂マフィア」が暗躍し、さらにはSDGs、脱炭素、資源循環が義務付けられるこの時代、残コンは資源としての有効利用が自然の法則として進む。
あなたや僕にその大流を止めることはできない。
すると、これまで僕たち生コンクリート生産者を苦しめてきた残コンの奪い合いが始まる。
より良い条件を出す主体に生コン製造者らは残コンを販売するようになろう。
もちろん、当社とて市場と顧客(生コン工場)の評価にさらされる存在の1となる。
これは、我が国だけでなく、世界的な潮流としてそのようなことが起きると考えられる。
そう、そして、僕たちは気づく。
すでに残コンはリスクではなくチャンスに変貌している。
今後当社らでは残コンを原材料として仕入れ製品化する業態の事業をローンチする。
RRCSやらNEDOやらののんびりぼちぼちの皆さんの歩みに発破をかける。
ついて来れないなら置いていく。
ICCをはじめ、近隣生コン工場から残コンを仕入れて製品として販売する。
あるいは、大成ロテック(今回も参加されていた)らと共同で都市部の残コンを集約し同様に製品化する業態を模索するのも面白いかもしれない。
オワコン記念すべき1周年記念には再び当社・有限会社 長岡生コンクリートにとって大きな節目となる着想が降ってきた。
つくづくしつこいようだが、一流と共に仕事しなければならない。
イベントを主催いただいた白石建設。
また、その声かけに参集した横浜国立大学、大成ロテック、PUMP MAN、日工、渋谷建材、丸壽産業、JICなどそれぞれ一流の法人・個人の方々。
この度は素晴らしい気づきをまたしてもいただくことができました。
色んな意味で節目を迎えた有限会社 長岡生コンクリート。
素晴らしい皆さんと共にここから圧倒的な快進撃を始めたいと存じます。
いつもありがとうございます。
コンクリートの未来を素晴らしいものに変え人類が経験したことのない巨大な貢献を果たしましょう。
宮本充也