長岡生コンクリート

2021/12/06

「イノベーションは中枢ではなく辺境(ラストワンマイル)で起きる」(週刊生コン 2021/12/06)

「イノベーションは中枢ではなく辺境(ラストワンマイル)で起きる」(週刊生コン 2021/12/06)

先週の大事件といえばなんと言ってもスマホを紛失したことだが、そのトリガーとなった生コンキングクリムゾンという大発明に触れることにより一週間を総括したい。「イノベーションは中枢ではなく辺境(ラストワンマイル)で起きる」(週刊生コン 2021/12/06)



《キングクリムゾン》生コンの時を飛ばす世紀の混和材

⚫︎先週の記事1: 《生コンキングクリムゾン》「フレッシュ性状を2週間以上保ち、さらにそこから水和反応が再始動する」渋谷建材

あまりにも衝撃を受けすぎたため、直後の懇親会で前後不覚に陥るほど盛り上がり、結果スマホを紛失した。

貴重な日曜日を根こそぎ台無しにするほどの威力。

岡山移動というスケジュールごと飛ばしてしまう衝撃。

それが、生コンキングクリムゾンである。

(わざわざ、お店に掛け合っていただいた大曽根工場長、そしてわざわざスマホを僕の部屋まで届けていただきました渋谷社長にはこの場をお借りしてお詫びと御礼を申し上げます。一生頭が上がりません汗)

ここでは、昨日スマホがなかったものだから伝えきれなかった衝撃の写真や動画をふんだんに紹介したいと思う。

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その衝撃は「幸福のフクロウ」でお馴染み川越市の生コン製造渋谷建材で生まれた。

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その中心人物は大曽根工場長。

「いつでも現場に現れる男」がある日別件の実験に参加していたときにその現象「時を飛ばす」が生まれたという。

「これは何かある」大曽根工場長の琴線に触れた。

以下は、目の前で見せつけてくれた実験の模様だ。

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このデモンストレーションに供される試料は3種類。

いずれも、12月2日に製造された「生」コンクリートを容器に詰めてある。

左から、キングクリムゾン(混和材)をセメント量に対して1%、0.2%、3.0%。

それではいよいよ封が切られ「コンクリートに詳しい人ならわかるように絶対にカチコチになっているはずの」生コンクリートが姿を現す。

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えっと、これ、製造してから48時間以上経過した生コンクリートですが、信じられますか?

キングクリムゾン(混和材)の配合率によってそれは2週間でも3週間でもコントロールができる。

数週間単位で時間を飛ばす、溶かすことができる。

そして、何もなかったかのように、生コンは再び水和反応を始める。

固まる。

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これ、信じられますか。

タルルート風に尋ねれば、真珠られますか?

僕にはこの衝撃を形容するにふさわしい言葉の持ち合わせがない。

なんと、世界の生コンの常識を揺るがしかねないイノベーションが世界の片隅(埼玉県川越市)で起きていたのだ。



⚫︎先週の記事2: 《コラム》「造粒ポーラスコンクリートの基本物性の確認が進んでいます」

そう考えると世の中には「瑣末なこと」「重要でないこと」なんてないのではないかと思えてくる。

こちら「オワコン」(造粒ポーラスコンクリート)もそんな辺境(広島県福山市)で着想され今具体的に世界の景色を変え始めている。

中枢の特定の意図が仕向けた(要求した)開発ではない。

辺境・ラストワンマイルの創発で生まれたシーズは今研究機関の関心を得て着々と裏付けがとられている。

全く生まれたての単なる「可能性」でしかないそれは、可能性を少しずつ消費する形で具体的な形を帯びるようになっていく。

一体これがなんであるかが次第に明らかになる。

並行して、生コンクリートに関わる様々なイノベーションは同時多発で生じる。

それらは互いに無関係ではなく、インターネットによるラストワンマイルの創発のこの時代互いに結びつき合い、さらなるイノベーションを生み出す。

プロダクトミックス。

生コンキングクリムゾンもオワコンも、中枢からは「瑣末」と考えられている場所で生まれたが、中枢はおろか全体を揺るがしかねない発展を急速に始めている。

ものづくり、開発のパラダイムが変化した。



⚫︎先週の記事3: 【神奈川】「予算ないけどぬかるみや雑草はなんとかしたい。女性だけでもDIYできる脅威の材料オワコン」

この時代、「実装」は中枢からの上位下達を待つ必要がない。

ラストワンマイルが互いに結びつき合うだけで具体的な形は像を結ぶ。

誰かの指示待ちは必要ない。

そんな時間はもったいない。

実際に、あっという間に売れ始める。

需要と供給がいとも簡単に出会い、「売れる」。

この事実はものづくり、人々の共同のあり方を根本的に再定義しているのではないだろうか。



これまでのものづくり、開発って、一体どんなプロセス・フローを辿っただろう。

僕自身にも経験がある。

「新しいものができました。普及させたいと思います。まずは、公の認定、可能であればJIS規格を取得しましょう」

こんな感じだったのではないか。

その使用や採用に関していちいち誰かの指図を必要としていた。

それが、旧来のものづくり、開発のパラダイムだったとすることができる。

一方、生コンキングクリムゾンも、造粒ポーラスコンクリート「オワコン」もどこぞの認定を得るまでもなく具体的に用途が議論され形になっていく。

テクノロジーそれ自身ではなく、そのテクノロジーを生み出すための構造・プロセスに関するイノベーション。

僕たち生コンポータルが大切にしてきた「JIS外」「組合外(小口・少量)」そして、「土木・建築の外(舗装)」という分野であれば僕たちは誰かの顔色を伺うことなく羽を伸ばして新しい価値を生み出すことができるのだ。

このように考えると、全ての辺境で起きていることは、非常に貴重な現実だということがわかる。

「イノベーションは中枢ではなく辺境(ラストワンマイル)で起きる」

その現実を前提に、今日も辺境・ラストワンマイルたちによる創発は進む。



宮本充也

宮本 充也

主な著者
宮本充也

危険物取扱責任者(乙4)/1級(舗装・造園・建築・土木)施工管理技士/コンクリート主任技士・診断士

毒物劇物取扱責任者/日本農業検定(1級)/エクステリアプランナー(2級)/運転免許証(大型・中型)

勉強中の資格:採石業務管理者/2級FP技能士