2022/11/28
「事件は会議室で起きているんじゃない。現場で起こっているんだ」(週刊生コン 2022/11/28)
MAPEIがもたらした生コン工場で生産できるジオポリマー用混和剤をはじめ、先週1週間も様々な技術開発がラストワンマイルで進んでいた。こうした辺境の創発系オープンイノベーションにはリーダーもフォロワーもいない。誰もが意図しない方向に循環するエコシステムのように。付加価値は随所で生み出されていく。
週刊生コン(2022/11/28)
セメントのいらないコンクリートが当たり前になる?
「ジオポリマー や AAMs セメントクリンカー の潜在性をブーストする全く新しい混和剤の誕生」MAPEI
先週1週間はほぼMAPEI一色つまり残コン一色・コンクリート先端技術一色となった。ミラノで開発されたMAPECUBE GEOはセメントベースのジオポリマー・AAMs刺激剤として開発されセメントを含まないコンクリートでもセメントコンクリート以上の強度・耐久性が示されている。
今日は月曜日、先週1週間を振り返る大切なルーティーン「週刊生コン」の日ですね。
それにしても、この牛乳みたいなドロドロの混和剤でセメントを使わないコンクリートが当たり前にできちゃうってすごいことですよね。
それにしても先週は実に目まぐるしく過ぎ去っていったよ。
とりわけ、「生コン工場で製造可能なジオポリマー用混和剤」MAPECUBE GEOには驚いたね。
いわゆる通常の液体混和剤(化学混和剤)だからふつーに生コン工場で取り扱えるってのと、高性能減水剤やSCMs(高炉スラグ微粉末やフライアッシュ)との相性がバッチリ(セメント以上の強度発現が期待できる)っていうんだから、度肝抜かされるよね。
先週はまさにこの技術体系が中心となって進んだといっても過言ではない1週間だったんだ。
なんで残コンは造粒されるのか? メカニズム解説
「ジョルジオ先生のポリマーと生コンクリートの関係性講座」Re-con ZERO EVOメカニズム解説
Re-con ZERO EVO(MAPEI)などポリマーが生コンクリートに訴求することで造粒物が得られる。その「理屈」について、開発者であるMAPEI上級研究員Dr. Giorgio Ferrariより詳しく解説がされた。
一般には馴染み薄の「化学」をこうして、「タコの足が絡めとる」みたいな感じでわかりやすく解説してもらえるととってもありがたいですね。
なんか、化学が身近になるし、普段やっている残コンステーションのプロセスに関する理解も深まります。
昔コンクリート業界のドン長瀧先生の講話を聞いててつくづく思ったんだ。
やっぱすっごい技術者や研究者ってのは「伝える」が上手なんだ。
逆にサンシタ偽物技術者であればあるほど、物事を難しく自分を大きく取り作ろうとするから、伝わらないんだね。
生コンポータルもこの点については十分注意が必要さ。
「伝わらない」ってことは「知られていない」ってことで、それはつまり「存在していないのと同じ」ってことなんだ。
だから、業界内側の自己満足に奔走するのではなく、世間一般を意識した情報発信が非常に重要ってことなんだね。
生コン工場(残コンステーション)が産地の混和材開発
【岡山】「広がる未利用資源残コンの用途開発(出口)。今度は地産地消型コンクリート混和材」
残コンステーション(動画)で生成された造粒骨材を加工することで得られる各種サイズの原料はその過程で待機中のCO2と反応CaCO3に変換されることがわかっている。残コン(カーボンゼロ)の炭素固定量は今後の研究に委ねられている。
SDGsおじさんたちがみんなこぞって「地産地消」っておっしゃってるくらいだから、まさに排出場所でそのまま生産される混和材って時代のニーズに適ってます。。
これまで生コンポータルではオワコン(造粒ポーラスコンクリート)やイワモル(流動性埋戻し材)といった出口をすでに発掘して、それらは徐々に実装し始めている。
でも、「混和材」って見方で考えれば、まださらに潜在性は広がるんだ。
例えば、高流動コンクリートのフィラとしての活用だったり、分野は違えど地盤改良材ってのもあり得るよね。
それらも全て今後の研究に委ねられていくはずさ。
生コンポータルでは、そうした可能性に「実装」という形で貢献していきたいね。
所詮ものづくりはラストワンマイル(生コン工場)で行われているのだから。
誇りを持って進みたいよね。
広がる実装は生コン工場が主役
「毎日戻ってくる【残コン】を使って各種高付加価値製品(オワコン、イワモル、混和材利用)の製造をしませんか?」(月刊残コン Vol.64)
イワモル、オワコン、ECON/アメコン(JIS外・再生骨材コンクリート)は力強くコンクリート産業の辺境(ラストワンマイル)で実装が果たされている。例えば、岡山の白石建設や生コンポータルが運営に参画している伊豆中央コンクリートがその実例だ。残コン由来の原材料で高付加価値製品を製造することができれば、「排出に関するコスト」「高付加価値による粗利益増」というWで美味しい生コン製造業が創造される。
あくまで価値が生み出される場所は学会やカンファレンスではなく「現場」ってことなんだと思います。
だから、現場での知恵をベースに、あらゆる研究を意図した活動は構築されなければならないっていう宮本さんの理念ですね。
共感です。
さておき、そんな大言壮語を衒うつもりはないのだけれど。。
でも、ものづくりを含めるあらゆる循環にはそれぞれの役割ってものがあるだろ?
研究ばかりが先行しても現場がついていかない(練らない)ってことになると「絵に描いた餅」なんだよね。
内山アドバンスの光子さんも常に言ってるだろ?
「おい。宮本君。誰が主役?」「はい!生コン工場っす」「ぶれてないわね?」「はい!大丈夫っす!」「(立派な研究は結構なことだけど)生コン工場を置いてけぼりにしないでちょうだい」
これって、けだし名言だったと思うんだ。
だから、僕たちは浮き足立つことなく、常に現場に身を寄せて、ものづくりに何が求められているかを知ろうとする努力が必要なんだね。
辺境で進む創発系オープンイノベーションは誰にも止められない
【福岡】「レンガ調・石張り調の透水性コンクリート(オワコン)はスタンプコンクリートの技法を利用して出来上がる?」オリジナルガーデン・all round
スタンプコンクリートを参考にオワコンの締め固めの際に型を押すことで作られるレンガ調など多様なテクスチャ。こうした取り組みも誰かに指図されるのではなく、辺境・ラストワンマイルでその機会に気づいた人の手によって生み出される。
なるほど、しっくりくる言葉ですね。
既往の組織や機関の考え方は常に意思決定権はピラミッドに例えられる組織構造の最上部に集中し、その決定が伝達系(会議や権威付)などを徐々に伝って最下部(ラストワンマイル)にもたらされる。
その構造において、ラストワンマイルはつまり「底辺」。
士農工商で言うところの商人。
あるいはカースト制度における不可触民を意味してますよね。
啓蒙が必要な庶民(ラストワンマイル)は上層部が顎を使って指図しなければならない、と言う大前提が朧げながら見え隠れします。
公平です!と言っておきながら、本音と建前を見事に使い分けているというか。
いちお、僕も社会人としての位置付けががっつりあるし、いちお代表取締役っていう属性も備えているから、その話題にがっつりログインしにくいところもあるんだよ汗。
ただね、実際問題これまで20年以上の生コン工場人生を振り返るに、生コン工場は底辺だってのが僕の見ている結論さ。
独占禁止法適応除外(カルテル)やJIS A 5308(1時間半の壁など)と言う足枷と鎖でがんじがらめに自由を奪われて、羽ばたくもの作りを制限されてしまっているんだ。
「コンクリートをもっと身近に」
そんな過酷な産業構造の底辺にあって、それでも僕たちは自由なものづくりを志向したいよね。
だって、一生底辺でうだつの上がらない仕事をするの嫌じゃないか。
もっと主体的に自分が求める境地に全速力で走りたいよね。
そのためには、僕たちが作っているコンクリートの貢献を伝えていかねばならない。
「伝える」ことで「知っている」になって、知っていればその価値はそのまま役に立つんだからね。
そのためにも、残コンさん、そして残コン姐さん。
引き続き、pr活動よろしくおねシャス!
残ッコーン‼︎
作者・宮本充也