2022/08/12
「豪華プールが自宅やオフィスに? 《残コン》 無限の可能性について」泰慶・beton block
残コンの再利用については日増しにアイディアが量産されているものの最も古典的な再利用方法としてはやはりブロック製造が挙げられる。 兵庫県神戸市に操業する泰慶生コンが発信するオーストリア発のBETON BLOCKの可能性について紹介。
自宅やオフィスに豪華プール
これ、残コンでできてます
一部のセレブしか手に入れることのできなかった豪華プールはなんと残コンのおかげで身近になった。
こちら、なんと、残コンでできてます。
そもそも残コンって何?
残コン(ざんコン、残コンクリート)とは、工事現場で使用されずに余ったり残ったりしたレディーミクストコンクリート(生コン)のこと。 配管に残った生コン.(引用:
建設現場ではおよそコンクリート(生コンクリート)が用いられる。
というのも、「水の次に流通する材料」と言われ、橋やビルやお住まいの住宅の基礎などあらゆる場所に用いられる汎用製品が生コンクリートだから。
また、特有の性質として「半製品」という側面が挙げられ、それだけでは完成品ではなく現場で施工者らにより成形・管理されることでようやっと完成を見る。
あらゆる製品と異なる生コン固有の特徴として流動体(液体)で運ばれるという特徴がある。
そのため、製造現場と施工現場では数量の調整が図られ「ピッタリちょうど」で運ばれることは絶えてない。
そのため施工現場では足りないことの内容にあらかじめ余分に生コンを注文するのが慣わしとなっている。
そして、余分めに注文された生コンは結果型枠に打設されることなく余る。
それが、残コンだ。
なぜか施工現場の「余り物」を製造現場で処理負担している
例えば鮮魚屋さんがレストランに魚を販売したとして端材(料理に使われない部位)はレストランで処分するのが慣わし。
それもそのはずで、伝票が発行され荷渡しが完了すればその所有権は当然のことながらレストラン側に帰属する。
後で呼び出されて「端材余っちゃったから処分してよ」なんて呼び出される筋合いは鮮魚屋にはない。
ゴミ屋じゃないからだ。
一方、そんな当たり前のことが生コン周りではそう入っていない。
なぜか、余った生コンは製造し荷下ろしして伝票にサインをもらった生コン工場が押しつけられ処分している。
ゴミ屋じゃないのに。
超不思議じゃね?
個人的にこの点に課題を立てた僕の今ではライフワークとも言っていいのが「残コンソリューション」の開発だ。
生コンポータルは残コンソリューションのトップ企業
当社らがそんな残コンに課題を立てたのはもう20年以上も前のことになる。
さまざまなステークホルダーらと協業の末に出来上がったシステムは「残コンステーション」と名付けられ全国各地の主に生コン製造業者の敷地内に実装されている。
また、最近では後工程として生産物(残コン由来の粒状物)を原石と見立てて骨材と結合材(フィラー)を生成するなどの取り組みもなされている。
⚫︎参考記事:《未来型生コン製造》「クローズドループ・資源循環へ向かう最強の未利用資源【残コン】争奪戦が始まる」#5
実装が先か、規格が追いつくか、当社らの取り組みの末に近い将来に必ず残コンは現在のようにリスクとしてではなくチャンス・機会として認知されることになるだろう。
残コンの古典的な再利用方法
一方で、生コン製造の現場では一般に残コンはブロックとして再生するケースが多い。
土留壁や隔壁、あるいは重石などといった用途で近隣の農業従事者や建設業者らへの販売が進んでいる。
ただし、残コンソリューション常なる課題が「出口確保」で、売れなければ結局構内を広く占有してしまうことになる、やがては捨てる、つまり廃棄処分を迫られることになる。
急がれる用途開発
残コンブロック利用促進協議会(会長・石原功治)ではそんな困り物「残コン」を由来とした製品「残コンブロック」(Beton block)の利用促進を推進している。
加盟工場は全国に数十拠点に及び同一規格で品質管理されたブロックがさまざまな用途(土留、隔壁、ウェイトその他)に出荷されている。
残コンはいやでも発生するため、この用途開発こそが残コンブロックをも含む残コン再生プロダクトの喫緊の課題となっている。
残コンブロックでプールを作ってみよう
所定の形にブロックを積み重ねていく。
ブロックの隙間から水漏れがしないようにコーキングで防水をして周囲を埋め戻す。
これで構造体は完成。
プールサイドなど周辺には張り物など床材や仕上げ材を施工する。
完成。
照明を工夫すればお見事、残コンがこんなに素敵なプライベートプールに大変身。
残コンは基本的に処分するのにお金がかかるもの。
それを工夫して再利用することで豪華プールに様変わり。
僕たち生コン工場にとってはあまりにも身近な光景であり、このブロック欲しい人がいらしたらいくらでも差し上げたいところ。
ただ、生コンが全く一般に身近なものになっていないばかりにそうした工夫は生まれにくい。
インターネットの現代情報は発信可能になっている。
これまで分断されてきた人々が繋がって交流することによって豪華プールのみならずいくらでも楽しいアイディアは生まれるはずだ。
僕が20年以上前に「不条理」「パワハラ」として出会った残コンは今なんとチャンスや機会に変貌しようとしている。
普段はオワコンやオコシコン、ヌルコンばかりを強調しているが、未利用資源「残コン」の潜在性はそれに匹敵するくらいの無限な可能性を秘めている。
宮本充也