2021/11/27
「残コンが貴重な未利用原料として注目される」月刊残コン Vol.52
この1ヶ月だけでも残コンに関する様々な変化があった。残コンは貴重な未利用原料である。そう考えると、僕たち生コン工場にはチャンスしかない。月刊残コン Vol.52
残コンは原料である
⚫︎今月の記事1: 「現場から出るときには廃棄物じゃないのに生コン工場から出るときは廃棄物っておかしくね?」
残コンは廃棄物でないことは商習慣上明らかなことである。
ゼネコンは残コンにマニフェストを交付し収集運搬業や中間処理業に委託していない。
この事実だけで十分だろう。
国が認めていることだ。
さて、その残コンは一体何なのか?
次はその点が論点となる。
法治国家ではその位置付けは法的に示される必要がある。
得体の知れない何者かであり続ければ僕たちはそれに何か手を加えることができない。
だから、RRCSなどが主体・受け皿となって国交省、経産省、環境省に関係省庁がまたがるこの問題について公的な活動が行われている。
残コンは原料とみなされる未来が理想だ。
そして僕たち研究者でもなんでもない生コンラストワンマイルはその理想を現実にする「実装」を意識して活動していく必要がある。
⚫︎今月の記事2: 「生コンスラッジの先端的活用事例の見学会開催」白石建設
そんな未来を望んで岡山県では残コン(生コンスラッジ)を原料として利用したマテリアルの見学会が開催されていた。
搾った翌日の生コンスラッジをトロンメルに放り込むだけ。
たったそれだけ。
あとは、スラッジケーキ同士が擦れ合って砂化していく。
もともとが骨材微粒分とセメント粒子だ。
スラッジ状ではないため、永遠に水和反応に供せられる水分が供給されることはない。
だから、硬化(安定化)する。
水和反応は一定のところで終結(厳密には集結はしないのだけれど)するから、六価クロムの溶出はない。
それをそのまま現地で炭酸カルシウム代替品として生コンに配合することもできるし、あるいは何か別の用途を模索することもできるだろう。
⚫︎今月の記事3: 《爆誕》「200m配管をセメントゼロ・カーボンゼロ・環境負荷ゼロで誘導する革命的な先行材(モルタル代替材)」《エコスルプラス》PUMP MAN
例えば先行材(1:3モルタル代替材、誘導材)への適応はどうだろう。
先日200mの配管をものともせずに通したエコスルプラスの原料に適用なんかどうだ。
使えば使うほど、残コンは未利用原料として再生される。
残コンが最終処分場を汚したり大地に蓋したりすることはない。。
そしてもちろん、使えば使うほど、普及が広がれば広がるほど、モルタル0.5m3という「確実に残コン化する」存在が減っていく。
つまり、残コン問題はいろんな角度から解放へ向かう。
問題ですら無くなってしまう。
物事の見方次第で全ては快方へ向かう。
長距離配管のような「絶対に1:3モルタル0.5m3じゃ心許ないから1m3頼もう」みたいな分野にもエコスルプラスのような誘導材が標準となる。
それらは生コン工場にストックされる。
エコスル2と違って、嵩張る(20kgとか40kgの袋販売)から、運賃を考えて生コン工場をその置き場、あるいは店舗として看做す。
パレット単位で生コン工場にストックしておけば、運賃の影響も消すことができるだろう。
圧倒的な安さが実現可能だから、モルタル0.5m3をわざわざ購入する謂れはもはやゼネコンや工務店にはない。
しかも、エコスルプラスはセメントを使っていないマテリアル。
これから本格的に迎えることになろうCN時代にセメントを一切利用していない破壊的なプロダクトとして重用されるようになるはずだ。
「へ?エコスルプラス使ってないの?」
周囲から白眼視されるように。
残コンは未利用原料である。
リスクではなく、チャンスである。
そのように見つめ直してみると様々な技術開発が動き出す。
僕たちにとってはもは解決されることを待つ問題ですらなく上記のように未来を開くチャンスになった。
もう、いわゆる「残コン」という生コン工場を苦しめる問題は当社では10年以上悩んでいない。
さらに、僕たちには「実装」という特技がある。
規格やら何やらは後から研究者の方々が積み上げていただくことに委ねるとして、やっぱ僕たちは現場にいるべきだと思う。
どのようにしたら売れるかを考えていなければならない。
具体的に世界の景色を変える術を考えなくてはならない。
それが僕たち生コンラストワンマイルの役割であるはずだ。
宮本充也