2022/11/26
「毎日戻ってくる【残コン】を使って各種高付加価値製品(オワコン、イワモル、混和材利用)の製造をしませんか?」(月刊残コン Vol.64)
この1ヶ月を締めくくるように、イタリアから3年越しで来日したMAPEIフェラーリ博士と国内の残コンに関する要人らとの情報共有が行われた。現代、もはや残コンはリスクではなく純粋なるチャンスでしかない。月刊残コンでこの1ヶ月を振り返る。
残コンステーションで製造する造粒骨材の多様な使い道
残コンステーションで製造されるチャンス
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「長野県コンクリート診断士会ご一行様が生コンポータルの視察・研修にいらっしゃいました」
工場に持ち戻された残コンや汚水(残水、洗浄水)は全て残コンステーションで改質され、写真にあるような造粒骨材に変換される。これら残コン造粒骨材は豊富なCa(OH)2を含む原料であり、新たに製造される物ではない(副産物)であるため、カーボンネガティブの効用も期待されている(養生中のCO2との反応)。この1ヶ月は生コン工場で手に入れることのできるこうした原材料の有効利用が想定される分野の技術開発が相次いだ。
今回は毎月配信されているメルマガでこの1ヶ月の残コンに関する技術革新を振り返りたいと思います。
これまで見て見ぬ振りだった経営者連中も若い職員から「ブラック企業!」とかって名指しで匿名のSNSに槍玉に挙げられてる証拠かも知れねえな。
残コンステーションで生み出される残コン造粒骨材についてはこれから宮本が登場してじっくり解説されることになるが、実に多様な用途開発の可能性が秘められている。
特にこの1ヶ月はMAPEIから3年越しで来日したフェラーリ博士もいらしたこともあって、ずいぶん進んだみてえだな。
おい、宮本。
出番だ。
喋れ。
バッチャープラントだけで製造可能な流動性埋戻し材「イワモル」登場
「イワモルは残コン(造粒細骨材)と水とセメントをバッチャープラントで混ぜた流動性埋戻し材です」
残コン造粒骨材を所定のサイズのふるい(写真は5mm)でふるった粉状の材料(細骨材)をバッチャープラントに荷揚げし水とセメントと練って製造される流動性を帯びた材料は、LSSや流動化処理土など、流動性埋戻し材の代替品として使用可能であることが判明した。なお、すでに流動性埋戻し材の市場が成立している地域の生コン工場であれば直ちに新規事業として製造を開始することができる。
残コンさん、残コン姐さん、お勤めご苦労様です、宮本です、はい。
さて、今月1ヶ月も残コンをめぐる実に目まぐるしい変化がおきました。
まず、1点目が、これ、イワモルと呼ばれる流動性埋戻し材の開発です。
なんと、生コン工場で発生する副産物(捨てればゴミ)残コンをただ残コンステーションとトロンメルなどで加工しただけの原料を、セメントと水でねるだけで出来上がりの製品です。
はい。
既往の流動性埋戻し材と違って、全自動で決められた配合で製造するだけ。
運搬も生コン工場にある生コン車を使うことができる。
その土地に流動化処理土やエアモルタル(埋め戻し用)の流通があるようであれば、今日から明日から残コンを使って高付加価値製品のいっちょ上がりってわけです。
とりわけ、組合さんなら組合員工場さんの残コンを集約することもできるですしね。
もっともっとたくさん見学者来そうですね。。
高流動コンクリートのフィラとして活用
「生コン工場の中にあるものだけで高流動コンクリートを製造する」陽光物産・JIC
高流動コンクリートに材料分離抵抗性を付与するために用いられるフィラとして利用された残コン造粒骨材も同じく同様の性能を発現した。今後、後添水溶性袋にパッケージされた製品としての実機実験が予定されている。
ちょっと解説しろ、この高流動コンクリートについて、詳しく。
そのため、フィラと言ってつまりは石粉、粉状の炭酸カルシウムとか硫酸カルシウム・石膏(CaSO4)が用いられたりするんだね。
で、それら粉の代わりに残コン造粒骨材を使ってみたらうまくいきました、みたいな話なんだ。
いいとこに目をつけたな、宮本でかした。
オワコンに100%利用
これまで再生骨材のリサイクルは粗骨材・細骨材それぞれの出口やバランスが問題となって遅々として進んで来なかった。例えば、既往のポーラスコンクリート(砂抜きコンクリ)に粗骨材を用いようとするならば、等量発生する細骨材の用途開発が求められるからだ。一方、造立ポーラスコンクリート(オワコン)であれば、粗・細骨材をいずれも利用することができるため、有効なソリューションとして注目されている。
実際、川越の渋谷建材さんでは100%骨材をリサイクル骨材に置き換えたオワコンが出荷されているんですよ。
み、宮本さん、でかしてますか?
未知なるマテリアルの混和材としての可能性
【岡山】「広がる未利用資源残コンの用途開発(出口)。今度は地産地消型コンクリート混和材」
そんな残コン造粒骨材の可能性は現在全く明らかにされていない。元々リスクとして忌み嫌われ無視され続けてきた残コンは現在可能性を期待されるチャンスに変容しようとしている。今後多くの研究者らの手により残コン造粒骨材が一体なんであるかが明らかにされていく。都市鉱山としての無限の可能性が期待されている。
現在この残コンをめぐる技術革新に巻き込まれている法人や個人は国内外に広く及んでいるんだよ。
みんな、コンクリートの専門家でみんな残コンをチャンスだと思っている人たちさ。
創発系オープンイノベーション。
これまでは、しがらみや既往の取引関係などが障害となって自由に意見を出し合う技術開発ってなかなかなかったよね。
でも、今や、インターネットが法人や個人、国籍や所属といった壁に風穴を開け始めているんだ。
南アフリカにいるコンクリートの専門家と、静岡県の伊豆半島に住む僕とが、無関係でいられなくなる世界って感じかな。
だって、みんな、残コンには困っているはずだもんね。
それが、チャンスになるっていうなら、そんなに喜ばれることもないからさ。
「コンクリートをもっと身近に」
こうした技術開発の様子は包み隠さずどんどん発信すればいいと思っているよ。
もちろん、秘密保持契約とか知的財産権とかってのも大切だから、そこは慎重に尊重しながらね。
でも、革新は直ちに全体に共有されるべきだという僕の信条は変わらないよ。
だから、もっともっと、知ってもらう努力をする。
それだけ知ってもらえれば、コンクリートの果たせる貢献は偉大だからね。
イメージキャラとして残コンさん、残コン姐さんに課せられた使命は大きいです!
よろしくおねしゃす!!
りょですーー。
作者・宮本充也