2022/03/03
CE減水剤「炭酸(ナノ・マイクロ)バブル水(混和剤)で製造した生コンクリートについて」
先日白石建設を訪ねていた時に武南さんから飛び出したAEならぬCE(CO2/Carbon Entrained)減水剤という着想。仮にCO2の連行空気がボールベアリング効果を発揮し、水和物のCa(OH)2と結合することにより空隙の中で炭酸カルシウムとして結実するのであれば。これからの時代の新しいものづくりのあり方について。
CE減水剤
会話していたのは、白石建設武南さん、安藤ハザマ白岩さん、そして僕。
先に採択されているカーボンナノバブルを利用した再生骨材へのCO2固定化について話頭が及んだ。。
「カーボンナノバブルをAE減水剤みたいに使ったらいいのでは? CE減水剤的な」
この手のアイデアってのは鮮度が重要だしうまくいく行かないはそれだけの生命力をそのアイデアが持っているかどうかに左右される。
でも、その場にいた全員が「面白い」って思った。
かなり専門的な話題となるが、以下の通りのことを議論した。
⚫︎カーボンナノ(マイクロ)バブル溶液を減水剤のように利用する。
⚫︎バブルはエントレインドエアとカウントすることができるはずだからボールベアリング効果によって生コンの流動性が高まる。
⚫︎流動性向上が見込めるのであれば単位水量、つまり、セメント量を減じることができる(脱炭素)。
⚫︎さらに、コンクリート内部に残る空気泡(CO2バブル)を埋めるようにCa(OH)2と反応し生成された炭酸カルシウムCaCO3が生成されるのではないか。
⚫︎それによって空隙に結晶構造物で埋まるならコンクリートの緻密化が期待され、それはそのままセメント量を減じる(Carbon Cureの理屈)ことになるのではないか(脱炭素)。
ざっと、こんな感じだ。
後で、「訴える!」くらいのこと言われないように、ここにキチンと記しておこう笑。
白石建設武南さんが想起したアイデアであって、後からお飾りゼネコンに「俺のアイデアだ」くらいのこと言われないように注意が必要だ。
そして、その後の飲み会はずいぶん盛り上がり、なぜか白岩さんのメガネにマジックでいたずら書きされている光景を最後に気絶した。
翌日は知らないホテルからたくさん電話がかかってきて、「お姿を現さなかったようなのでお電話しました。是非、今後はお控えください」とたしなめられた。
ものづくりって楽しい。
それにしても、脱炭素を考えた場合、上記理屈(水酸化カルシウムと二酸化炭素の反応から水と炭酸カルシウムが生成される)を使わない手はない。
その意味で、生コン工場は「飽和水酸化カルシウム溶液の泉」だ(東京大学・石田哲也教授)。
さて、その、炭酸ナノバブルであるが、果たしてそのナノバブル化の過程でどのくらいエネルギーを消費するのだろう。
CO2に換算したら、固定量よりたくさん発生させてました、みたいなオチにならないようにみんなで注意したい。
これって、脱炭素あるあるだと思う。
件のカーボンキュアもそうだが、どこにゲートを設けるか、ってすごい重要だと思う。
例えば、液化二酸化炭素を原料としているようだが、それを生コン工場に運び込む際に発生する排ガス量とか、液化させるためのエネルギーとか、ちゃんとカウントしてるのだろうか。
セメント量を減じる量と、実際にCO2を固定化する量とはトレードオフされているだけだったりしたら笑えないとんちだ。
とんちというより、とんちきだ。
加熱する脱炭素は上記のような議論をきちんと踏まえて前進すべきだと野口先生や坂田さんもおっしゃっていた。
それと、あれこれ伺ってみると、「脱炭素」そのものが正しい議論なのかどうかも疑問が残る。
むやみにCO2を減らす方向に扇動されているようにも見える。
それよりも、大切なのは、省エネルギーであるはずだ。
エネルギーを省いてもなお、より大きなアウトプットが生まれれば、それでいいはず。
その意味で言えば、カーボンナノバブルの混和剤利用(ナノじゃなくて、マイクロでもいい?)なんて炭酸カルシウムの析出による強度増進や、ボールベアリング効果による流動性の向上など、むやみに「脱」するのではなく、「活」かしている。
坂田さん他が主張されている「活炭素」に通じる。
大切なことは、アイデアが生まれたらすぐに実行してしまうこと。
眠らせないこと。
稟議だの予算だの、余計な手続きに翻弄されるのはわかるし気の毒とは思うのだが、世の中の動きはそんな組織の都合を待ってくれはしない。
思いついたら、即実行。
やっちゃえ、ってやつだ。
その意味で、今日はとても楽しい会議に参加することができた。
件の、「大阪万博残コンゼロ」について今日キックオフの会議があった。
明日その模様については詳しく説明するが30〜40代のとりわけ女性の姿が目立ったプロジェクトだった。
活気があった。
そして、明確な目的もある。
大阪万博で日本のコンクリート技術を世界に示す。
わかりやすい目的である。
そして、その活動の中でJISをはじめとする業界慣習に切り込む。
錚々たるお歴々が見守るこのプロジェクトのように。
手段と目的が逆転しちゃったような硬直化したプロジェクトや団体ではない。
常に、目的にまっしぐらの流動的で有機的、生命体のような活動がきっとこれからの時代のものづくりの標準になるだろう。
明日のブログに続く。
宮本充也