2022/02/09
《コラム》「生コン車の排気ガス(高濃度CO2)を利用した残コン再生実験への協力と僕の信念について」
猫も杓子も話題にする「脱炭素」だが、転じて「活炭素」(鹿島建設坂田昇さん)はいい言葉だ。現在協力中の実験では生コン工場、とりわけアイドリングを止めることのできない生コン車の排気ガス(CO2)を活用する取り組みが行われている。
生コン車排ガス活用
⚫︎参考記事: 《コラム》「厄介者【スラッジケーキ】はCO2を固定化する媒介として今後注目される」その2
僕は基本的に自分で思いついたアイデアは直後にルーチンのブログで公開するようにしている。
公知になれば幸いである。
特許で守ろうなんて気持ちはさらさらない。
ただし、生まれたプロダクトを悪意の第三者に付け狙われるのだけは嫌なので、一応商標だけは取るようにしている。
ただ、僕が生み出してあれこれやってるアイデアを第三者に剽窃だと誹りを受けるのは甚だ不本意である。
とあるゼネコン(※安藤ハザマの池上副社長)が当社を訴えると息巻いていたと(RRCS事務局の藤井さんから)聞いた。
一昨年の12月から僕は一貫して中性化によるCO2の利用について、とりわけ、僕のライフワークでもあるポーラスコンクリートの表面積に注目した実装への活動は、全てブログで履歴を辿ることができる。
誰かのアイデアもパクったつもりはないし、そして僕のアイデアに面白いと共感してくださる方々と、それぞれの役割を分担しながら共同することに何らかの批判を受ける謂れもない。
僕の専門分野はあくまで「実装」(生コンを練って運ぶ)であるから、理論構築をしたり教鞭を振ったり、あるいは研究だったりは僕の領域の外にある。
だから、その手の分野の常識について不案内であるため、昨年数名のアカデミア(野口貴文先生と細田暁先生ほか)の方々にずいぶんとご迷惑をおかけしたことは深く反省している。
二度と、研究者の真似事や、徒党を組んだり群れたりなんかしないように、強く肝に銘じている。
一方、実装に関する僕のルーチン(毎日ブログ3本)の内容について、(とあるゼネコンに)「剽窃だ、訴える」と表示された一件については、人生を賭して忘れることはなかろう。
何もしないで第三者がお膳立てしてくれたアイデアに乗っかっただけで、よくも知らずにずけずけと剽窃だ、訴える、などとどの口がおっしゃったのだろう。
あまつさえ、協力くださっている生コン工場やメーカーのことを「下請け」と呼んでいたそうだ。
僕から何らかの攻撃をすることはないにしても、心からの協働は絶対にしない。
僕は僕の信念で物事を見つめ行動に移すだけだ。
仮に先だっての「訴えてやる」で万が一にも当社が多大なる損失を被って破綻したとしても、僕という個人は信念を曲げず、形を変えて、同じことをする覚悟でいたし、今もそのつもりだ。
「社運を賭けて」なんか、軽々しく口にするものじゃない。
みんな、命を賭けている。
そんな人と協働をするってのはそれなりに覚悟が必要となる。
軽々に近づいてきたら、本当に火傷するよ。
火傷くらいで済めばいいですけどね。
僕が降りるときは土台と柱の何本かをまとめて引っこ抜いてから降りる。
まあ、多少なりとも恩義のある人物が諌めてくるからあまり大人気ないことはしませんが。
前置きが長くなったが、生コン車の排気ガスを利活用した地産地消型混和材(あるいは骨材?)の実験についてである。
⚫︎参考記事: 「造粒ポーラスコンクリートに関する横浜国立大学の研究が国土交通省の事業として採択されました」オワコン
それにしても、映える絵である笑。
なんか、マフラーにつながっているホースがドラムに突き刺さってますよ、だ。
これ、実際に長岡生コンクリート(生コンポータル)で行われた実験である。
実際に現場で余った残コンは通常普通の状態で工場に戻ってくるのだが、排ガスのCO2濃度はおよそ10%前後だという。
それを教えてくださったのは東京大学石田哲也先生だ。
⚫︎参考記事: 「CO2地産地消・循環・調整のハブとして新しい役割を期待される生コン産業」
同氏の「生コン工場は飽和水酸化カルシウム溶液の泉」は素晴らしい表現だとも思う。
通常、CO2濃度は410ppmと言われているから(ごめん、数学まじで嫌いなので間違えるかもしれないが)、100万分の410なので、1万分の4.1、これが何%かというと、0.041%ってことになる。
一方、排ガスを投入されているドラムの中は10%。
これ、何倍かっていうと、10÷0.041だから、244倍だ。
244倍のCO2濃度にさらされている残コン、すなわちCa(OH)2の中性化(炭酸化)は促進されるのではないか。
つまり、残コンの成分があっという間にCaCO3(炭酸カルシウム)に変貌を遂げるのではないか。
それはそのまま、混和材、あるいは骨材として再利用できるのではないか。
これが、僕が建てた仮説だ。
誰のアイデアも剽窃なんかしていない。
で、これが、成果物。
Re-con zero evoという特殊な薬剤で造粒化させることで残コンの表面積を増やす。
そのことでもCO2との反応が促進されるのではないか。
やってみなけりゃわからんけど。
ほんで、これが2.5mmふるいでふるった試料。
横浜国立大学らの求めに応じて現在中研コンサルタントで成分分析に回っている。
ようわからんが。
対照実験してみなきゃわからんけど、もしもその炭酸化が促進されていて、「炭酸カルシウムじゃん」てことになったら、これはそのまま混和材として現地(生コン工場)で利用可能。
あるいは、ふるいにかけずとも、そのまんま「活炭素骨材」として利用可能かもしれない。
ブループラネットだかいう技術に似てるようにも思う。
当今の脱炭素はある意味バブルみたいなもので、僕個人的には多少距離をおいた方がいいと思っている。
ガッツリ時流に乗っかってしまうのはいささかダサいようにも思うからだ。
どこかのゼネコンは他所様があれこれお膳立てしてくださって自分では何もアサインできなかったのにちゃっかり、「脱炭素を推進します!」とかおっしゃっているようだがが、みていて滑稽だ。
まあ、それはさておき、この取り組みはCO2を利用することについて一切の余計なエネルギーを使っていない。
(多くのエセ脱炭素技術は、CO2を固定するためにふんだんにエネルギーを消費しているもののそこはカウントしていない。)
また、こちらの排ガス利用混和材の出口はふんだんに用意されている。
⚫︎参考記事: 《セメントフリー》「海水とスラグだけで作った造粒ポーラスコンクリート」granZ concrete
何せ、当社の強みは「実装」(生コンを練って運ぶ)ことだ。
お高く止まった売れもしない製品の研究開発などではない。
具体的にインターネットと企業間連携を通じて、プロダクトを世に出している。
ゼネコンに頼ったことなど一度もない。
今日から、明日から売れる。
悔しかったら、売ってみろ。
一昨日のなキックオフミーティングでいささか怒りが込み上げてきた。
なぜ、「剽窃」だと顔も見たことのない他人を批判してあまつさえ軽率に「訴える」まで言い、そのまま詫びることもなく、多くの人々の前でリーダーのように装っていたのか。
誰もついていかねえよ。
反省しなさい。
軽々しく「社運をかけて」とか、やめた方がいい。
こちとら、何年も前から、命張ってる。
最後の一人になっても続ける覚悟だ。
昨日今日の脱炭素ブームに踊らされて軽口で「社運をかけます」なんて、誰が信じるのか。
本物は口に出さずに命張ってんだ。
と、まあ、これだけ怒りを撒き散らしたので、気持ちも治まってきました。
僕は本当に本当にかけがえのない人々に囲まれて仕事をしています。
本当に苦しかった時に「チャンスとピンチ」「苦しみと楽しみ」というコラムで僕を励ましてくださった御仁(※鹿島の坂田昇さん)からの御恩は絶対に忘れない。
叱ってくださった御恩は胸が張り裂けそうになるくらい大切な思い出です。
「若さとは」というコラムに僕は泣いてしまいました。
また、渦中にいて本来なら僕を非難してもいいはずだったとある先生(※東京大学の野口貴文先生)の思いやりも心に刻みます。
この思いを形にします。
絶対に社会実装して見せます。
口先だけの欺瞞に満ちたゼネコンのようにならないよう努めます。
今後ともよろしくお願いします。
宮本充也