長岡生コンクリート

2022/02/20

【JISを変えよう】「資源循環型社会の要衝としての生コン産業というモデルを世界に示す」 #4

【JISを変えよう】「資源循環型社会の要衝としての生コン産業というモデルを世界に示す」 #4

前回は発生抑制、いわば入口論を述べた。今回はその再生用途出口論について考察を深めたい。抑制したとしても発生は不可避な残コンや生コンスラッジ。大阪万博の建設を残コンゼロで締めくくるために必要で実行可能な具体的各種取り組みについて。



発生、即、再利用も?

この世紀の対談を「JISを変えよう」という呼びかけと受け止めたのは僕だけではないはずだ。

そんな付託を受ける形で始まったプロジェクト「大阪万博残コンゼロプロジェクト」が今垂直的な立ち上がりを見せている。

産業構造の中で分断され孤立していたラストワンマイルがシームレスなプラットフォームに参集した形だ。

そこには具体的な目標がある。

世界が注目する大阪万博2025建設に関して、「水の次に流通する材料」生コンクリートを完全循環型資材として見せることで、毒性ゼロ・廃棄物ゼロの完全クローズドループの生コン産業のモデルを示す。

そのあり方を持って、JIS規格に圧力をかける。

変化を促す。

「残コンゼロ」を達成する過程で、エネルギ消費(CO2発生)や資源採掘のない生コンクリートの流通を果たす。

そのためには、呼びかけだけではなく、達成するための具体的な手段が必要となる。



残コン由来の資源の再利用用途

⚫︎参考記事:【JISを変えよう】「スラッジの素《残水》《洗浄水》の入口論【発生抑制】技術について」 #3

前回は発生抑制、いわば入口論について述べた。

公的な位置付け、定義づけがなされていないばかりに、残コンに関するソリューションは辺境で埋もれている。

「大阪万博残コンゼロ」をきっかけに、仮に入口論で述べたように残コンそのものに脚光が集まるのであれば、次は具体的にどのように循環させていくか、いわば出口論に話頭は転じる。

生コンポータルらで推進している残コンステーション(残コンステーション)は敷地さえあれば簡単に設置できる。

電気など動力を用いることはない。

プールと、鋼管を重ねたフィルターと、重機(バックホーやホイルローダー)さえあれば稼働できる。

洗浄水などを由来とする残渣(スラッジ)や残コンはここで全て処理される。

夏場など気温が高い時には天日乾燥(自然脱水)で砂粒状に改質することもできる。

また、時間をかけたくない、と言う場合には薬剤(Re-con ZERO EVOでも、セルドロンでも、なんだっていい)を投入すれば効率は上がる。

出来上がるのは、20−0の再生骨材だ。

時間が経てば、水和反応も高じて、六価クロムなどの溶出リスクは消滅する。

それは、つまり、単なるコンクリートだ。

だから、骨材として万博に供給しうる生コン工場で再生骨材コンクリートの原料として、あるいは舗装の路盤材として、または造粒ポーラスコンクリートなどの原材料として、理屈では再生利用が可能となっている。

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残コン由来の再生骨材(20−0)。

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こちらは残コン由来の再生骨材を再利用した造粒ポーラスコンクリート。


残コンの再生のことをつらつらと考えて散歩をしていたある日のことアイデアが降ってきた。

「何も、残コンステーションを通して砂粒化させる必要はないのではないか」

生命・有機的に、これまで生コンポータルとして、あるいは、宮本充也として経験してきたいろいろがとたんに結びついたような経験だった。

お分かりのように、残コンが発生した時点でY弾(造粒ポーラスコンクリートのキーマテリアル、Re-con ZERO EVO)を投入して万博建設地の舗装現場(たとえば、歩道など)に直行すればいいわけだ。

万博建設予定地近隣で発生する残コンは全て万博に集まればいい。

そこでは残痕だったそれは新しいプロダクト(造粒ポーラスコンクリート)として販売される。

なんと、これまで処分に苦慮していた残コンがワンストップ(あるいはゼロストップか)で利用される。

(無論、品質管理上、ある一定以上の要件を備えた残コンに限定されるであろうけれども)

こうすれば、残コンが発生しないまま、偶発的に降ってきたような生コン(造粒ポーラスコンクリート)で万博会場は舗装される。

それは、「大地を削らない、汚さない、蓋しない、循環するコンクリート」の顕現である。



「偶発的に発生する材料(残コン)に頼れるわけないじゃあないか」と言う反論は尤もだ。

だが、足りない部分は、従来の残コンステーションで生成された再生骨材を利用して製造すればいいだけ。

さらに、先端技術では、セメントを用いず、副産物(スラグや再生骨材)のみで製造された造粒ポーラスコンクリートも誕生している。

⚫︎参考記事: 「超特殊コンクリート《granZ con》が果たして社会実装を見るために必要なこと」

しかも、製造元はなんと大阪のゼネコンではないか。

なんだ、この奇跡的な偶然は。

ちょっと鳥肌たっちゃうー。

なんか、僕、あれなんです、論文みたいな文章とか、ビジネスで通用する文章、書けなくなっちゃったんです。

昔は書いてたんですけどね。

せっせと、誰かを説得するために、工夫を凝らしてね。

でも、誰も説得できないことに気づいたので、今はもうやめちゃった。

誰かを説得して自分の思う通りに動かそう(たとえば、素晴らしい技術であることをわからせて、大阪万博で実装してもらうよう促す、とか)とする全ての意図は無駄、作用しない。

そんなことに、生コン歴(あるいは営業歴とでも言おうか)も高じてきたこの僕宮本は気づいちゃったのである。

他人あるいは外部世界を変えようとする全ての意図は無駄なので、自分が変わる、つまり、万博に実装できる自分になれるよう努力するだけだ。

なんとしてでも、どんな形でも、仲間たちと万博残コンゼロを持って世界に完全クローズドループの生コンを示したい。

資源循環型社会の要衝としての生コン産業と言うあり方を示したい。

と言うわけで、みんなと楽しく、そんな感じのことをやっていきたいと思う。



宮本充也

宮本 充也

主な著者
宮本充也

危険物取扱責任者(乙4)/1級(舗装・造園・建築・土木)施工管理技士/コンクリート主任技士・診断士

毒物劇物取扱責任者/日本農業検定(1級)/エクステリアプランナー(2級)/運転免許証(大型・中型)

勉強中の資格:採石業務管理者/2級FP技能士