2022/06/28
#JISを作ろう 「小島建材店のニュースは誰かが責任を取っておしまいにしてはならない」(月刊残コン Vol.59)
読売新聞に始まって生コン工場小島建材店の残コン不正利用が話題になったのはこの1ヶ月のことだ。論点を整理したい。小島建材が凶悪犯で、それ以外は被害者、ちゃんちゃんっ、て単純な出来事ではない。みんな知ってるのに、動けない。まるで、残コンと同じだね。
企業努力? 独占禁止法適応除外? JIS規格?
⚫︎今月の記事1:《解説》有限会社小島建材店がJIS規格に適合しない疑いのあるコンクリートを出荷した事案について(関東地方整備局)
このひと月の残コンに関する話題はこれで持ちきりだった。
庭コン・生コンポータルのPVもスパイクを記録した。
今もまだ、当該記事のPVは比較的大きい。
まだまだ世間の関心は完全に途絶えたわけでもないようだ。
しつこいようだが、当然ながら小島建材店のやったことは悪い。
断罪されるべきであり、そこに議論の余地はない。
ただ、世間を騒がすニュースの常だが、「たくさん視聴率を稼げました。よかったよかった」とされてしまっては取材に協力した僕たちも切ない。
そんなことはさせない。
これからも、しつこくしつこくことの本質に迫っていきたい、そしてそれを発信していきたい。
特に都心部における残コン事情は逼迫している。
誰に皺寄せされているかっていうと、生コン工場・圧送業者とパワーバランスでゼネコン・工務店に比して弱者。
そんな残コンには法的位置付けがない、廃棄物と断じられてるわけでもないし、建設発生土のように公に格を認められているものでもない。
だからこそゼネコン・工務店は余ったそいつ、所有権移転が済んだそいつを、マニフェストを交付することなく、生コン工場・圧送業者に押し付けている。
社会全体が容認する衆人環視の大人のパワハラだ、悪質ないじめだ。
「子供に誇れる仕事」どの口が、となる。
苛烈な物言いかもしれないが、事実をそのまま書くと苛烈な印象となるってだけだ。
やったことは当然悪いが、それをそのようにさせた幹や根っこの部分に刃を向けねば、こんなもん何度だって発生する。
起きた事件だけに注目して騒ぎ立て犯人を糾弾するのは世間知らずのPTAモンスターペアレントみたいなもんだ。
あるいはクレーマーか。
文化レベルが低すぎる。
人はいう。
「残コンに関していくらでも再利用方法はある。企業努力すべきだ」
企業努力。
少なからず残コン問題を解消するためのソリューションは存在する。
それを導入するなどの努力を怠ったからこうなったのだ。
その立場は確かに真かもしれない。
一方、独占禁止法適応除外という生コン産業の秩序は「出る杭」を許さない。
他所よりも目立つ、優れる、秀でるを許さない。
品質管理監査だって、前提は減点法。
これ、はみ出るなよ、という秩序の中、何をどのように企業努力すればいいのか。
事実、20年以上残コンをテーマとして仕事しているが、ソリューションを生み出し提案しても、それを形にできる生コン工場はまれだ。
常に「出口」残コンを再生したその骨材なりを利用する市場を開くことができず諦めてしまう。
「再生生コン」という努力をしても、組合の中では褒められることはなく、貶され、課徴金まで取られる始末だ。
さらにJIS A 5308も輪をかけて「目立つな」「決められたことだけやれ」と圧力をかけてくる。
試験問題に「新技術を積極的に取り入れ」などと正解としての設問が出てくると、鼻白んでしまう。
本音と建前ばかりを続けるのであればこの産業に未来はない。
1発テレビで話題になりました。
1発新聞で世間を騒がせました。
それじゃ、ダメだ。
もっと継続してことの真相を産業全体で共有する。
その受け皿、母体が、一昨年発足したRRCS(生コン・残コンソリューション技術研究会)なんだと思う。
⚫︎今月の記事2:#JISを変えよう 「生コン製造者を縛るJISって一体どうやってできてるの?」(週刊生コン 2022/06/06)
RRCSは生コン工場の駆け込み寺
⚫︎今月の記事3:「内山アドバンス、大成ロテック、安藤ハザマらと協議した都市型残コンステーション構想について」
⚫︎今月の記事4:《CPコンクリートキックオフ》「ポーラスコンクリートも残コン再利用も全部俺たちが10年前からやってたことじゃん」野島安広(三和建業)
⚫︎今月の記事5:「GI基金採択の勢いで目指せ伊豆地方連携型のゼロカーボンシティ」
現在 RRCSの取り組みには50以上の全国各地の生コン工場が参画している。
そして、宮崎や大阪兵庫、福島や高知、さらには新潟、京都と工業組合単位での協力が寄せられている。
RRCSの代表理事は野口貴文先生(東京大学大学院)だし、理事の面々も大学・研究機関・ゼネコン役員などが並ぶが、主役は生コン工場だ。
誰がなんと言おうとも、僕が言う。
RRCSは生コン工場のためのものだ。
そもそも、RRCSの始まりは「残コン」と言う社会問題に関して現在事務局をされている藤井さんと僕で野口先生を尋ねたところに端を発している。
紛れもない事実。
RRCSha生コン工場のための団体だ。
万が一そこがブレたら、僕はさっさと踵を返す。
いつでもやめる。
立ち去る。
組織の目的化ほどくだらない現象はない。
そんなRRCSでは現在生コン工場の協力を得て、残コン由来のマテリアルを用いた新しいJIS規格の創造が議論されている。
生コン工場の味方のような面をして結果生コン工場をいじめるJIS A 5308に囚われることのない新しい規格だ。
#JISを変えよう
あるいは、
#JISを作ろう
それは誰がって、生コン工場が作らなければ、これまでの規格と一緒「絵に描いた餅」。
⚫︎今月の記事6:#JISを変えよう 「NEDOから認証を得た公式のCPコンクリート・プレゼン資料」RRCS
ホワイトカーボンとて同じことだ。
素晴らしい提唱であることはいささかも揺るがないのだが、もしも僕たち生コン工場がその梯子を外したら脆くもぶっ壊れる。
形にならない。
結果、形って誰が作って運んでるのか。
誰でもない、僕たち生コン工場(ラストワンマイル)であるから、そこをなおざりにしたらどうなるかなんて誰もが知っている。
柳内光子風に言えば「これ以上生コン工場を置いてけぼりにしないでちょうだい」である。
だから、生コン工場諸君には安心して堂々とRRCSに登場してもらえればいいと思う。
生コン工場であるあなたが主役なのだ。
東大だろうと、鹿島だろうと、これまで雲の上のようになんだか凄そうなもの、として捉えられてきた全ては、僕たち生コン工場を必要としているのだ。
自信を持って力を貸せばいいだけのこと。
怯む必要はない。
RRCSに登場しよう。
お会いしたこともないし、関係したこともない小島建材店さんだが、やったことは悪いのできちんと贖罪されればよろしいと思う。
ただ、これまでの六合問題や関東宇部問題と同様、根っこや幹にヤイバを向けることなく終わらせるつもりは毛頭ない。
しつこくしつこく発信し続けるつもりだ。
さもなくば、生コン工場は永久に底辺だ。
搾取される対象である。
負け犬。
「お父さんのやっている仕事は底辺・負け犬なんだよ」
そんなふうに子供に誇れる親はいなかろう。
ならば、動け、働け。
逃げたら逃げ癖ができて一生逃げることになる。
#JISを変えよう
#JISを作ろう
宮本充也