2022/02/16
「スーゼネ大成建設さん一流のメディア戦略に学ぶ」
単なる事故・過失「博多駅前道路陥没事故」を流動化処理土という古くからある材料を用いて1週間で復旧したことを「先端技術で世界の注目を浴びる復旧劇!」として美談にまとめ上げる大成建設の一流のメディア戦略。この度はなんと脱炭素で炸裂している。
いにしえの炭酸カルシウム利用を脱炭素最先端に
(出典:https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/20220131-05945144-kabukei-market)
(出典:https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/20220131-05945144-kabukei-market)
(出典:日経コンストラクションで紹介されたT-e コンクリートの記事)
(出典:朝日新聞夕刊)
みなさんご存知のように、炭酸カルシウム(CaCO3)の混和材利用はいにしえの技術
すごいよなあ。
本当にすごいよなあ。
さすがは単なる事故・過失「博多駅前道路陥没事故」を、「世界の賞賛を浴びた復旧劇」美談としてまとめてしまう、一流大成建設さんのメディア戦略だ。
⚫︎参考:博多駅前道路陥没事故
今度は、その一流の腕前が話題の「脱炭素」で炸裂している。
今や、猫も杓子もSDGs、ESG、脱炭素。
そんな中、NEDO(GI基金)の「CO2を利用したコンクリート等製造技術開発」をさも、中心にいるかのように見せるその腕前。
一流。
あっぱれ、としか言いようがない。
事実は、鹿島、安藤ハザマらのコンソーシアムが採択されたのであって、大成建設さんは住友大阪セメントらのCO2を利用したセメント開発に名を連ねているにすぎない。
⚫︎参考記事: 【350億】【NEDO】「GI基金《CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト採択》本当の意味について」(月刊残コン Vol.54)
なのに、この見出しは完全に我が国建設・コンクリートを代表して大成建設が堂々採択された、みたいになっている。
少なくともコンクリートのことに明るくない一般の方々はそのように捉えるはずだ。
すごい。
一流の情報発信。
実に、学びが深い。
さらに、排ガス利用の炭酸カルシウムに関しては既に日本コンクリート工業らが発表している「エコタンカル」が業界ではよく知られている。
⚫︎参考記事: 「【エコタンカル】って知ってる? 脱炭素時代の究極のコンクリートプロダクトの実装!」日本コンクリート工業
にもかかわらず、さも、「大成建設オリジナルです」かのような件りは天才の所業だ。
勝てねえ。
しかもである。
極め付けは、炭酸カルシウムを生コンクリートの混和材として利用することを「ひらめいた」「既成概念はとっぱらって」と取材に対して明かしている。
凄まじい。
僕など凡人にはとてもひらめけない。
業界の方々ならよくご存知のように、エコタンカルは鹿島らのコンソーシアムに名を連ねている技術。
炭酸カルシウムの利用なんてのは、高流動コンクリートで当たり前のように使われている。
フィラーや石粉の類だ、言って見れば。
いにしえよりアスファルト合材や生コンクリートに使われている。
炭カルなんて食品にも使われるような汎用品である。
それを持ってして、さも世界が驚愕するような大発明のように堂々と発表する。
まさに、「既成概念を取っ払った」一流のメディア戦略と言っていい。
まじ、やばい。
さすがは、スーゼネの中でもYouTubeチャンネル登録数を見れば一目瞭然、鹿島や竹中、清水や大林の中で頭抜けている。
だから、一般の方々はころっと、「大成建設が一番なんだ」と思ってしまいがちだ。
素敵だ。
本当は、鹿島とか竹中、あるいは安藤ハザマらが主になって採択されたものであって、しかも、大成ロテックという子会社(?)は安藤ハザマらのコンソーシアムに名を連ねている「CO2を利用したコンクリート等製造技術開発」。
その事実はこのメディア戦略の前ではそのように世間に伝わらない。
恐るべし、大成建設。
地図にももちろんだが、この快挙は人々の記憶や記録にも残ることになるだろう。
当社生コンポータルとしても建設・コンクリート産業におけるメディア戦略は関心事だ。
引き続き、一流の大成建設さんのメディア戦略から目が離せない。
これからもたっぷり学ばせていただこう。
今後ともご活躍を祈念致しております。
この度はおめでとうございます。
そして、ありがとうございます。
宮本充也