2022/08/25
【大阪】「なぜ(残コン)造粒骨材コンクリートは再生骨材コンクリートよりもフレッシュ性状に秀でているのか?」
一昨日から昨日にかけてゼネコン、生コン関係者が大阪・岡本生コンに集結し試験練り&模擬体施工祭りが開かれていた。主催は、建築研究開発コンソーシアムの万博研究会コンクリート系材料wgという長たらしい会だったが旧知の顔ぶれも多く大変楽しく学ぶことができました。
100%造粒骨材(全骨材)で作った生コンクリート
会場は岡本生コン。
玄関先で菅笠(すげがさ)姿で写真をバシャバシャ撮影していた所、職員の方が慌てて飛び出してきた。
「あんたなにもんですか?」と言ったところだったろう、すみません、宮本充也です。
ここ岡本生コンでは一昨日(2022/08/23)から昨日にかけて大イベントが開かれていた。
万博に実装を検討している数種類の生コンクリートの実機試験練り+模擬基礎部材打設。
そして、なんと。
我らが造粒骨材(Re-con ZERO 使用)も見事エントリを果たし、クリーンクリートやECMなど名だたる生コンと肩を並べて試験練りが行われたのであった。
ていうか、正直肩を並べるというか、頭抜けてると思っていますが、はい。
残コン造粒骨材そのままの粒度分布「全骨材」で2m3製造
こちらが通称「IWA骨材」と呼ばれる残コン造粒骨材だ。
あらかじめ、Re-con ZERO EVOを用いて残コンステーション方式で製造された。
こちらが残コンステーションで残コンはRe-con ZEROを添加され造粒される。
通常の発想では「2005」と「砂」に分けましょう、ってことになる所だが、サンコンは違った。
「全骨材しか道がない」
彼は生コン実務を知悉していた。
ビンを2つも開けたりふるいかけたりなんて絶対に生コン工場はやらない。
無理やり作ったその生コンは単なるゼネコンや大学のおもちゃでしかなくそんなものは売れない。
サンコンはそのことを言いたいのだった。
「全骨材で行くぞ」
驚きの生コン品質の骨材は全部残コン由来
見て、これ。
スランプ20.5cm。
あれこれ触ってみたけれど、V骨材100%で製造した生コンとの違いがわかりませんでした。
模擬基礎でのひずみ測定
淺沼組技術研究所のジャッキーこと山﨑さんによればこの模擬基礎にはひずみゲージが仕込まれるそうだ。
様々な種類の生コンクリートで打設されたそれぞれの部位ごとの歪みが計測される。
果たして造粒骨材生コンクリート(全骨材)はどんな特徴を有するのか。
乞うご期待である。
造粒骨材コンクリートの打設
作業にあたられていた職人の方々に「何か打設してて変わったところありました?」と尋ねると、「へ?特になんも。何か特殊なコンクリだったんですか?」と返事があった。
すげえ。
造粒骨材コンクリート(全骨材)すげえ。
あとは、強度とか耐久性の結果待ちとなるが、「どうせ撤去しちゃう万博の構造物」なら、こうしたチャレンジングなコンクリートの構造体適応も夢ではないのかもしれない。
すごいね。
造粒骨材コンクリートのフレッシュ性状 vs 再生骨材
じゃん。
こちら下の粒状化骨材2000の方が造粒骨材コンクリートのフレッシュ性状だ。
パネえすね。
その後の経過も悪くない。
サンコンによれば、残コンの塊をただ砕いただけの骨材よりも品質が良好だったそうだ。
彼一流の仮説によればおそらくその違いは「破断面」にあるのではないかということだ。
なるほど、一理ある。
破断面にはセメント粒子が活性の状態で残っている。
そいつが混和剤(凝血遅延剤など)と反応を起こすことで、本来反応を起こさせたいセメント粒子への作用が失われる。
すごい仮説。
だから、造粒骨材は表面積の全てはすでに安定した状態(活性ではない)にあるため混和剤が十全に機能する。
すごいな、サンコン。
多分、それだよ。
生コン工場フレンドリー 【造粒骨材コンクリートG】
プロダクトってのは研究者や技術者のマスターベーションでは普及を見ない。
実際の作り手にとってフレンドリーでなければならない。
まず、残コン問題がきちんと解消されなければならない。
そして、その解消方法のために生コン工場に一手間かけさせちゃダメ。
生コン工場はただこれまで通り残コンを排出するだけでなければならない。
また、管理にも特別な手間を想定してはならない。
養生方法を規定するなどもってのほかだ。
残コンステーションで造粒させたものをそのまま使えるようでなければならない。
また、出口(販売)を生コン工場に委ねてはダメだ。
仕組みを作って運用し生コン工場はただ出荷するだけという既往のポジションに位置しなければならない。
上げ膳据え膳で創業した生コン工場に高度なテクニックを期待するすべての意図は徒労に終わる。
そうなればきっとこの造粒骨材コンクリートは実装を果たすことになるはずだ。
万博に向けてご当地生コン工場ではチャレンジングな試みが多数並走している。
そのうちの一つに、当社らも長年携わってきた残コンステーションや造粒骨材コンクリートがエントリされているのはとても嬉しい。
なるべく僕も技術者の一として現地に伴走したいと思う。
やっぱ、現場って楽しい。
いろんなゼネコン、いろんな生コン工場を背景とした技術者たちと現場であれこれ語り合う時間こそが原点だ。
引き続き、残コン再生に現場で携わっていきたいと思う。
宮本充也