2022/08/26
「残コンは生コンポータルが【買って】差し上げますので待っててね」(月刊残コン Vol.61)
前回記念すべきVol.60でも宣言したように、今後残コンは捨てるべきリスクではなく購入すべきチャンスへ変貌している証拠が今月も目白押しに寄せられた。残コンをリサイクルせずに廃棄したら逮捕される時代がやってくる。資源循環のキーマテリアル・未利用資源この1ヶ月の「残コン」。
残コンはH骨材、SCM、脱炭素のキーマテリアル
H骨材が残コンから簡単に得られる
⚫︎今月の記事1:《残コン売ってください》「クローズドループ・資源循環へ向かう最強の未利用資源【残コン】争奪戦が始まる」#8
こちらのフローには多くの事実が示されている。
>10mmが仮に>5mm、つまり2005骨材を得た場合でも、JIS A 5021(コンクリート用再生骨材H)相当は満足するだろう。
つまり、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に採用可能な骨材を得ることを意味する。
JIS生コンに使用することができる骨材だ。
製造工程は実に単純。
動画にあるように残コンステーションで造粒させた残コンを直後に振動ぶるいで処理される。
ふるい目を5mmに設定しておけば、2005と砂に分級される。
「みかんの皮を剥くように」造粒骨材の骨材を取り巻くモルタルペーストを除去する。
つまり、残コンは熱や破砕工程を経過することなくH相当の骨材としてその場で生まれ変わるのだ。
そこに輸送もない。
ただただひたすら振動ぶるいが稼働するだけ。
例えば、あなたが生コン工場だとして、自社で発生した残痕を買い取ってくれる存在(例えば当社)がいて、しかもそこからH骨材(原産地はあなたの工場)をV骨材並み(あるいはもっと安く)売ってくれるとしたらどうだろう。
(※現在毛ほども流通していないH骨材の単価はV骨材よりも高い)
買わない理由があるようなら教えてください。
その理由を潰せば、結果、あなたの工場は安価な骨材で生コン製造できることになるわけだ。
<5mm は乾いたらセメントパウダー入りの砂
「!」で示された<5mm は粗骨材以外全部ということになる。
現在当社らではこの<5mm を「ライブパック」と名付け混和材用途に販売を始めようとしている。
⚫︎今月の記事2:《後添混和材ライブパック》「クローズドループ・資源循環へ向かう最強の未利用資源【残コン】争奪戦が始まる」#10
こちらに関しては基本生コン工場に販売するつもりはない。
脱炭素(CCUS)のSCMとしてゼネコン・工務店への販売
たちまち明らかにされるように、含有成分の多くはCa(OH)2でありCO2と反応する性質を持っているため、kgあたりのCO2固定量は計算可能。
理想は後添で工務店やゼネコンの判断でJIS生コンに投入され実装されるCCUS生コン。
お手軽SDGsってわけだ。
何せ、こちらを投入すればするだけ、脱炭素としてお上に評価され、あなたは晴れてSDGs。
特に上場企業などは今後さらにESG評価にさらされその取り組みを厳しく監視される。
口だけじゃない脱炭素を実施しているのか。
その時にこのCCUSが助け舟としてあなたの元に届く。
ちなみに、こうしたCCUSはおそらくセメント外割で使用されることになるだろうから、その場合の品質の変化については今後の研究に委ねられることになろう。
元々残コンだったのだから大きく品質を損ねるばかりか改善に向かうことが予想される。
SCM(Suplimentary Cementious Material)としての利用が促進されることになろう。
ポーラスコンクリート「オコシコン」のキーバインダーとして利用
オコシコンは現在陽光物産が製造・販売するキーバインダ「Y材」を後添することで曲げ強度を満足したポーラスコンクリートである。
Y材の成分は高炉スラグ微粉末であり、ポーラスコンクリート舗装のセオリー。
既往のポーラスコンクリート(※ドライテックなど)に比してさらに曲げ強度が増加する。
今後、このY材の厚生原料として「ライブパック」の利用も期待されている。
ちなみにオコシコンはすでに複数現場に実装されており、当社らが開発した「ドライテック」と並んで大地に蓋しないコンクリート舗装を展開している。
⚫︎参考:https://www.g-mark.org/award/describe/50567
無論、類似品として当社らで取扱いのある「オワコン」に関してもその性能改善に十分有効であり、コストオンとはなるものの「脱炭素」の文脈から利用が進む可能性もあるだろう。
生コン誘導材の原材料としての利用
⚫︎今月の記事3:「CN、CCUS、資源循環、省エネルギー具体的コンクリート技術のデモンストレーション」京都生コン工組青年部 #2
なお、PUMP MANらは現在こちら<5mm を生コン誘導材シリーズ「エコスル」の1つとして発売を検討している。
現在保管時の固結が起きないかが白石建設らで実験され、問題がないと判断されれば直ちに仮称)エコスルCNとして発売が始まる。
モルタル誘導に比してxxkgの二酸化炭素が削減できることが立証されればゼネコン・工務店がこの製品を選ばない理由は消滅する。
他にも続々「残コン」の利用方法
ため池遮水性ゾーンのマテリアルを残コンから
⚫︎今月の記事5:【神戸大学訪問】「巨大市場《ため池メンテ》を出口とすることで残コン問題は完全解決を見る」
話は生コンから一気に変わってため池だが、遮水性ゾーンのマテリアルとして生コンスラッジを活用しようとする研究が始まるかもしれない。
現在オクドや泰慶、白石建設らと神戸大学・鈴木麻里子先生を訪ねこちらの協議を予定している。
すでに白石建設らではエコ認定間近まで資料が整理されており、それらを活用して研究を進めれば優良なる遮水性材料を得ることができるはず。
豪華プールを残コンで?!
⚫︎今月の記事6:「豪華プールが自宅やオフィスに? 《残コン》 無限の可能性について」泰慶・beton block
また、こんな事例も面白かろう。
まさか、残コンで豪華プールが自宅につくなんて。
大体、残コンだから施工費が格段に抑えられているだろう。
こんなプール大体一部の金持ちしか所有できなさそうだけど、残コンで作るなら敷地さえあればどこにでも作れそうだね。
おもしろ。
というわけで、残コン周辺の1ヶ月を総括してみた。
気づくことに、いつしか「残コン」は生コンポータルもう一方のテーマである「ポーラスコンクリート」と統合され始めている。
別々の脈ではなく同じ脈として当社としても取り組むことができさえすれば経営資源も浪費することもない。
結果両者ともに20年という歳月を投じられた事業ではあるが、残っていること自体に理由があると今ではこのように整理している。
途中でやめちゃった事業は山ほどある。
ここ数年はほぼほぼこの2大テーマ(あるいは、流動化処理土やヌルコンなど補修もやってはいるけれどそれらも徐々にこの2大テーマにより始めている)ばかりを取り扱ってきた。
残コンとポーラスコンクリート。
まさか結びつくなんてね。
とっても面白い。
生コンを選んだ自分の人生を価値あるものにするか否かは結局自分自身にかかっている。
これからも信じる道を突き進もう。
また次回。
宮本充也