2022/11/24
【岡山】「広がる未利用資源残コンの用途開発(出口)。今度は地産地消型コンクリート混和材」
来日しているジョルジオ・フェラーリ博士との国内行脚はエキサイティングな展開を見せている。これまで生コン工場にとっての厄介者が突如有益な可能性として再定義されていく。立ち現れる巨大市場を前に生コン工場の姿勢が問われている。
問われる生コン工場の在り方
白石建設の残コンステーション視察
Re-con zero evoで改質された残コン。岡山県白石建設ではこの残コンの原石を砕石製造の工程にかけることによって3種類の最終製品が製造されている。
概念図。残コンが改質され写真のような原石になったものをホッパーに投入。乾いていれば第一にそのままふるいにかけられ0.75mm Uのフィラが得られる。また、次の工程でインパクトクラッシャで砂サイズまで砕かれ集塵機で2番目のフィラが得られる。最終製品は砂となっており、再生骨材コンクリート(アメコン)やオワコンなど JIS外生コンに有効利用されている。
残コン姐さんと知られざるコンクリート産業の「闇」残コンを明るく照らすことでリスクをチャンスにしたいと思ってまっす。
さて、今週はイタリアからre-con zero evoの開発者ジョルジオ・フェラーリさん(MAPEI)が来日しているんですね。
なんでもイタリアを含む欧米ではフィラをあらかじめブレンドしたセメントが一般的に流通しているそうなんだ。
(※フィラはCaCO3)
日本で言うところのBBみたいなもんだな。いわば、混ぜもん、純トロじゃねえってことだ。
生コン工場に実装された残コンステーションでフィラが製造できればそれはそのまま混和材として計量することができる。
地産地消の混和材ってわけさ。
残コンフィラの分析が始まる
手前フィラ(集塵機で補修される)奥5mmU(細骨材)。砂はそのままJIS外品に用いられ、フィラの用途開発が白石建設では目下の課題となっている。
左・フェラーリ博士(MAPEI) 右・武南社長(白石建設)。両者のご縁は10年に及び、ミラノと岡山を行き来する間柄。
それはさておき、EUではセメントにフィラ(CaCO3)をあらかじめ混ぜておくのがフツーだったんですね。
フェラーリさんや宮本さんが心血を注いでいる残コンから有益なフィラが得られるならそれはちょっとしたイノベーションですよね。
今回の旅行で得られたサンプルの分析がMAPEIで始まるそうです。
今度はさらに細かい部分「フィラ」についてその可能性が今後明らかにされていく。
まだ、知られざる、残コンのポテンシャル。
何が飛び出るかしれない未知の領域さ。
残コン再生(5mm U) これまでの領域
①ECON/アメコン など 再生骨材コンクリート
About the aggregates, are you sure your supplier hasn't a quarry in other planets?(残コン再生コンクリート)
白石建設や生コンポータルらで最初に開発された用途がJISの関係ない領域に用いられるコンクリート。
写真は捨てコンと呼ばれる構造体ではないコンクリートですね。
5mm目でふるっておけばビン内閉塞も起きずにハンドリングも良好だそうですよ。
②オワコン(造粒ポーラスコンクリート)
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造粒ポーラスコンクリート「オワコン」は普通のコンクリート(オコシコン/ドライテック)と違って「砂も使える」が特徴なんだーー。
だから、残コンから得られた5mm Uも無駄なく再利用できるんだねーー。
③イワモル
「イワモルを3時間運搬するために遅延剤を用いた実機試験を行いました」
なんと、残コン5mmU(細骨材)にセメントと水を加えるだけでできてしまう流動性埋戻し材。。
世界に目を転じればフォームドモルタルやLSSなど各国で類似製品の流通が確認されています。
生コン工場で発生する副産物だけで出来上がる流動性埋戻し材は残コンの大きな出口として期待されるはずです。
残コン 地産地消の混和材へ
残コンから生成されたフィラには一体どんな性能が秘められているのか。残コンは日本のみならず世界中で発生している。仮にこの普遍的な副産物がlocal consumption型混和材として再定義されるとしたならば。巨大な新市場の萌芽は日本で生まれた。
ジョルジオさんと同行する毎日が充実しすぎてて、しかも昨晩はドイツを2:1で日本代表が下すなど、なかなか睡眠時間が確保できなくて苦しんでいる宮本さんだぞっ。
しかも、今朝は11:00から2組お客さんが来社するってことで、まあまあハードです。はい。お腹空きました。フェラーリ博士ももちろんいらっしゃいます。なかなかハードっす汗。
それはさておき、この残コンの多様な用途はどうでしょう!
再生骨材コンクリート、透水性コンクリート、流動性埋戻し材、そんでもって極め付けは地産地消型混和材!!
そりゃ、テンション上がりますわ汗。
そもそも、再生骨材コンクリートも透水性コンクリートも流動性埋戻し材も生コンポータルではそれぞれ10年以上の製造実績があるちゃんとした用途分野だからね。
きっとこれからの生コン工場の新市場として広がっていくはずなんだ。
その原材料が「残コン」ってちょっとすごいことだろ?
無料なんだよ。
ってか、マイナス原価なんだ。
これまで生コン工場を苦しめてきた存在なんだよ!!
「コンクリートをもっと身近に」
そんなエキサイティングなプロダクトも「知らない」では永遠に世間様のお役に立てないから、「知っている」にしなければならないんだ。
つまり、コンクリート・建設が苦手な「情報発信」さ。
これからも生コンポータルでは常に現場に寄り添って、そこにあるリアル・現実を余すことなく発信していこう。
その継続の先に、全く新しいコンクリート産業があるはずなんだ。
「大地を削らない、汚さない、蓋しない、循環するコンクリート」
ホワイトカーボン(野口貴文)。
エコシステムと完全同期するコンクリート産業。
夢は果てしないね。
頑張ろう!!
作者・宮本充也