2022/01/15
「残コン改質剤《Re-con ZERO EVO》の生コン車ドラム内使用マニュアル」
「ゼリーみたいなのがドラム内に引っ付いて取れない!」。散々嫌な思いを経験してきた生コンポータルでは原則としてドラムを用いた残コン改質を撤廃していた。造粒ポーラスコンクリートを経験した今だからこそできるドラム内改質。その、使用方法について。
生コン車での残コン改質
我が国残コン改質剤の草分け、ゼロコン(販売中止)やWA-21からしてそうだった。
若い頃の僕は騙し騙し、この「ドラム改質」というやつをやっていた。
実際の現場から戻ってくる残コンの水分量はまちまちだ。
アンコントローラブルであり、その毎度変幻自在の残コン(生コンクリート)に対して、薬剤は一定の状態を用いる。
多くは水溶性の袋に詰められたパウダーをホッパーから投入して高速攪拌の刺激を使って脱水(あるいは酸による中性化)を起こす。
それで、カチコチに固まることなく処理を楽にする。
そんな感じ。
でも、気づくのだ。
経営者とか実際に車両をメンテしたり洗浄したりしない人にはわからない。
ばっちり正確に水分量が知れている生コンに対して薬剤を投入すればそれはきちんと効果が期待できる。
一方、期待された水分量ではない(例えば荷下ろし後たくさんの水を使って洗浄してしまった)残コンの場合はうまくいかない。
結果、「ゼリーみたいなのがドラム内に引っ付いて取れない!」みたいなことが発生する。
僕は見て見ぬふりをして、とにかく売れることを優先していた。
若かった。
今では、そう振り返る。
で、たどり着いたのは、これ。
残コンステーションと呼ばれる設備で対象となる残コンの水分量をコントローラブルにした。
その結果、所定の必要最低限のre-con zero evoを用いて砂粒状に改質する。
ドラムを用いないので、洗浄で苦しむみたいなことも発生しなかった。
これが、ある意味、完成形に近いのではないか。
そんなふうに思っていた矢先に、全く別の角度「ポーラスコンクリート」という視点からまたしてもドラム内改質が復活するとは夢夢思わなかった。
⚫︎参考記事:家周りの雑草・水たまり・ぬかるみから解放
昨年8月下旬に溶鉱物産の西野社長と会話していた時に突然降ってきたのだ。
「残コンを造粒させたアレ、そのままポーラスコンクリートとして使用できんじゃね?」
今となっては神のささやきだったと振り返る。
瞬く間に形になって、今力強く普及を伸ばしている。
そんな造粒ポーラスコンクリート「オワコン」だが順風満帆に思えた舞台裏で実はRe-con ZERO EVOドラム内改質と同様のトラブルに見舞われていた。
なんとかしなきゃならん。
この、ゼリーみたいなのがドラム内部で引っ付いて取れない問題を解消せねば、普及はおぼつかない。
全力の改善が行われた。
※参考:オワコン製造のフローと注意事項
まず、あらかじめキーマテリアルY弾を生コン車のカラのドラムの中に所定量投入しておく。
ここがポイントとなる。
その後、上記配合の生コンクリートをバッチングプラントで製造し、生コン車に投入する。
この時、高速攪拌ではなく、低速で攪拌を行う。
Y弾のベース材料はMAPEIのRe-con ZERO EVOであり、内容物に高分子を含んでいるため高速攪拌によるパウダーの飛散、さらには高分子がドラム内のブレードなどに付着して残留する、といった不具合を防止するための措置。
投入が終わり、1分程度低速攪拌を行い、生コンクリートとY弾が混ざり合い馴染んだら、高速攪拌を2分行う。
Y弾が生コンクリートを強制脱水し、ドラムの回転により骨材周囲にモルタルペーストが積層し始めると明らかに攪拌の音が変わってくる。
それを目安に、目視で材料を確認しながらホッパー入り口まで材料を排出、その後投入側にレバーを戻す、を3〜4回繰り返す。
ワンパターンの一定方向の攪拌ではなく、イレギュラーな動きを与えることにより、造粒を促す効果と、さらにはドラム内部に高分子の残留物が残らないように、サンドペーパーの要領でドラム内部を擦る(残留付着物の除去)作用を期待している。
ウサギのフンのように材料が脱水されポロポロになったらオワコンの完成。
参考:https://www.nr-mix.co.jp/owacon/blog/post_520.html
「ホッパー口まで残コンを排出して、なるべく奥に袋のまま材料を投入、1分間の低速攪拌の後に、2〜3分高速攪拌、改質後もまめに排出・投入(出し入れ)を繰り返す。極め付けは、Re-con ZERO CLEANER!!」
今では、残コンドラム内改質はこの一行に集約されるようになった。
まず、ホッパー口まで残コン排出、の意味は、薬剤がドラムの鉄板とかブレードではなく生コンに投入されるよう意識したものだ。
もしもブレード直あたりでパウダーが散らかってしまったら、それはゼリー状・ブヨブヨの物質を作り出しかねない。
なるべく奥に投入、も同様の効果を期待している。
さらに、1分間の低速攪拌は、最初から高速攪拌してしまうと、衝撃で袋内部のパウダーが悲惨しドラム空間内を汚染してしまうことを避けたものだ。
最初は低速でしっかりと生コンと薬剤が馴染むようにする。
そこから、高速攪拌となる。
刺激を与えられることで強制脱水と造粒が促される。
2分もすれば砂粒状に改質されてしまっていることだろう。
改質後もまめに排出・投入(出し入れ)を繰り返すことはドラム内部のセルフクリーニング効果を期待している。
サンドペーパーの要領だ。
生コン従事者ならご存じのように砂利・砂のような砂粒状の物質(改質された残コンもそう)をドラム内部に投入して攪拌すると、ドラム内部がきれいになることがわかっている。
基本的に上述の通りオペレーションすればドラムに滑り気が残る、ということはない。
ただ、それでも、心配性な方は極め付け、Re-con ZERO CLEANERがMAPEIから登場。
「宮本さん、感動ものですよ」
無骨な無頼漢として名を馳せている遠藤肇(生コンポータル在籍)がこのように評した。
嘘ではない。
間違いのない、効果だ。
この液体を200ml程度生コン車の水タンクに入れておく。
改質後、その水で洗浄する。
信じられないほどきれいにペーストは流れ落ちる。
これは例えば、粘性の高い水中不分離コンクリートやまたはドライテックの荷下ろし作業後にも効果的かもしれん。
これだけでも、結構売れるんじゃないか、って感じの効果だ。
と、このように、今では残コンのドラム内改質も実現できるようになっている。
無論、上記方法はre-con zero evoに限ったことではなく、他の類似商品にも同様のことが言える。
どうぞどうぞ、パクってください笑。
みんなで高めあいましょう。
結局、僕たちが勝っちゃうんだけど汗。
なぜって、僕たちは生コン工場だから。
金儲け目当てに類似商品を作って売りつけるようなブローカーとは違う。
製造ラストワンマイルで常に残コンに苦しんできたし今もまだ完全に解決しているってわけじゃない。
自分ごと。
だから、負けない。
そもそも、勝ち負けですらない。
「残コン改質剤《Re-con ZERO EVO》の生コン車ドラム内使用マニュアル」
これで結構助かる人いるかもね。
生コン車でのドラム内改質。
困った時は、これだね。
宮本充也