2021/03/24
「《戻りコン逃れ》生々しい実態と生コン屋さんが評価する《ゼネコンランキング構想》について」内山アドバンス・RRCS
昨日(2021/03/23)内山アドバンスではRRCS 残コン・戻りコン内山分科会が開かれていた。生コン製造者やゼネコンに加え関係企業ら多数集めた文化会で明らかにされた「戻りコン逃れ」生々しい実態。
戻りコン逃れからわかること
左から内山アドバンス佐野常務、同柳内光子、東京大学野口先生、東京都立大学上野先生。
業界関係者40名以上を集めた分科会では内山アドバンスの川野辺から残コンの実態についてのソウルフルなプレゼンが発表された。
「話には聞いていたんですけど、《戻りコン逃れ》って本当にあるんですね。生々しい話を聞かせていただけませんか?」
戻りコン逃れ。
関東エリアでは戻りコンと残コンを区分して定義している。
戻りコンは全く荷下ろしされずサラの状態で戻されるもの。
一方残コンは荷下ろししている最中に型枠が満たされて不要となって戻されるもの。
生コン協同組合ではこうした定義に基づき戻りコンに関してはキャンセル料を設定しゼネコンに費用請求をする慣わしとなっている。
(日本全国それぞれのエリアでそれぞれの運用がされている)
そこでゼネコンもトンチ(?)をきかせる。
「全く荷下ろししないと費用請求されるなら、一輪車1杯荷下ろしすれば残コンだから支払いを免れる」
頭がいいとしか言わざるを得ない。
いい大学を出て一流ゼネコンに入った人々はやっぱり頭の出来がいいのだろう。
生コン製造者では歯が立たない笑。
話には聞いていたが、まさかそこまで酷いことがまかり通っているなんて。
川野辺のプレゼンはとてもショッキングだった。
まじか。
そして、質問コーナー。
すぐさま手をあげて尋ねた。
「話には聞いていたんですけど、《戻りコン逃れ》って本当にあるんですね。生々しい話を聞かせていただけませんか?」
現場を担当するとある工場長曰く、
「1台が荷下ろししていて、もう1台待機している時に『もう少しで終わりそう』ってなると、現場監督の指示で荷下ろし途中の生コン車は工場にも戻され(残コン)、1台まるまる余っていた待機中の生コン車をポンプにつけさせ少量荷下ろしさせられている途中に打設終了、戻りコンではなく残コンが戻される」
耳を疑いたくなるような事実である。
これ、あまりにもひどい。
弱いものいじめだ。
そのまま泣き寝入りでいいんですか?
もう、子供じゃないから、知っている。
そのゼネコン、その現場監督が悪いのではない。
仕組みが悪いのだ。
人を鬼にさせる仕組み。
産業構造。
縦割り・階層で整理される産業構造では人と人が分断される。
ゼネコンの中にさえ多段階の階層と壁がある。
取るか引くか。
手に入れるか、奪うか。
俺のやり方か、お前のやり方か。
階層構造では本当の協調関係は生まれない。
人々は二項対立から脱することができない。
ゼネコンか、生コンか。
どちらが利益をより多く得るか。
曰く、
「実は組合ではこうした戻りコン逃れの実態を事細かに記録しています。ただ、公表していないだけです。どのゼネコンがどれだけ余らせているか。そして、戻りコン逃れを行なっているか。詳細に」
RRCSが公表する主要ゼネコン残コンマナーランキング
三人寄れば文殊の知恵とはこういうことなのだろう。
なんと痛快なアイディアを人々は生み出すことだろう。
仕入れ先である生コン製造者がゼネコンをランク付するのだという。
「〜〜組は戻りコン逃れを頻発させている」
「〜〜工務店はなるべく戻りコン・残コンが発生しないように組織的に工夫している」
といった具合にゼネコンが評価される。
実際に余らせた数量は記録されているので、その数量で順位付する。
主要ゼネコンが1番からビリまで公表される。
その内容はRRCSを通じて日建連に提出される。
ビリは組合から生コンを買う際に一番高い生コンとなる。
トップには割引が与えられる笑。
半分冗談にしても、縦割り・階層で風通しが良くないから、人々の心も荒む。
だから、戻りコン逃れみたいな意地悪なクソガキみたいな現場監督が現れる。
犯罪は見えないところ、暗闇で起きるというのは、古今東西の本質だ。
だから、圧倒的な光で照らす。
隠し事をさせない環境を整える。
まずは、そこからだ。
残コンは今はまだ「ないもの」になっている。
あるのに、ないもの。
やおら立ち上がる柳内光子。
生コン製造者たちよ、声をあげよう。
おかしいもんはおかしいと正論を叫ぼう。
どうして戻すんだ?
正義を押し通せ。
言いなりになるな。
やることをやってない、努力をしていない。
それぞれが覚悟を持つべき。
「これ、誰が責任を持つの?」
内山アドバンスがリーダーカンパニーとして残コンについての正論を唱える。
コンクリートは鉄と違って建設会社しか買ってくれない。
だから、敵にしちゃだめ。
だからこそ、残コンという問題をしっかりと直視する。
ゼネコンと生コンがパートナーとしてしっかりと共同歩調を始める原点として残コン問題を直視しよう。
生ける伝説柳内光子はそう宣言し会場を後にした。
すごすぎる、光子。
この凄さを目の当たりにしたら戻りコン逃れというみみっちいインチキをやっていることが恥ずかしくなるだろう笑。
残コンに初めて出会ってから21年が経過する。
あの当時と今ではずいぶん景色は様変わりしているものだ。
「誰がやるの?宮本君、あんたがやるの?」
「やります」
光子さんもやります。
僕もやります。
みんなやります。
すると景色は一変してしまうのでしょう。
いよいよといった感がある。
残コンを新しい市場として捉えることで問題はチャンスに変貌する。
「《戻りコン逃れ》生々しい実態と生コン屋さんが評価するゼネコンランキング構想について」
ここから数年で建設、生コンは激変の時代を迎えることになるだろう。
⚫︎参考記事: 「生コンはゴミじゃない」生コンみっちゃん60年【柳内光子】が語る残コンについて
宮本充也