2021/03/25
「生コン工場がどうなってるのかまずは理解しよう」RRCS内山アドバンス分科会
日本の生コンのお母さん。生ける伝説柳内光子の取り計らいで3月23日に開催されたRRCS内山アドバンス分科会では、RRCS加盟企業向けに「生コン工場がどうなってるのかまずは理解しよう」普段なかなか機会のない生コン屋さんの運営状況の見学会が開催された。
都市型生コン工場
3月23日生ける伝説柳内光子の取り計らいで開催されたRRCS内山アドバンス分科会。
⚫︎参考記事: 「《戻りコン逃れ》生々しい実態と生コン屋さんが評価する《ゼネコンランキング構想》について」内山アドバンス・RRCS
前半の川野辺によるソウルフルなプレゼンに次いで、会場を移して「生コン工場がどうなってるのかまずは理解しよう」工場見学となった。
RRCS加盟企業は生コン製造者や建設会社ばかりということではない。
実際生コン工場って外から見たことはあるけど中を見たことがない。
そんな加盟各社にとっては日本最大級の生コングループ内山アドバンスの基幹工場の見学は都市部の生コン製造の実態を理解する上でこの上ない機会となる。
ご丁寧に実際に生コンクリートのスランプ試験をデモンストレーションいただく。
どちら様も溌剌と気持ちの良い挨拶で見学者を迎え入れてくださった。
都市型の生コン工場(内山アドバンス浦安)では一般に振動ぶるいやクラッシュファイヤなどの設備を用いて残コンは砂利と砂を回収され処理されている。
都市型の生コン工場では一般に残コンは一連の設備で洗われ骨材は回収される。
上野先生曰く、「綺麗に洗われて不純物がないから天然骨材よりもこっち使いたい」と評される回収骨材の実態はほとんど廃棄されている現実がある。
また、骨材が回収された後のセメント・微砂からなるスラリーは圧搾器(フィルタープレス)にかけられてスラッジケーキとして減容化され最終処分場で埋め立て処分される。
年々その処分費は高騰し現在内山アドバンス17工場グループでは年間3億円の処分費が嵩んでいるそうだ。
残コンが洗浄され、砂利、砂、セメント粒子、微砂が回収された後の上澄水。
「宮本さん、なんで上澄水は緑色かわかる?」
やにわに野口先生からのツッコミ。
居眠りしながら授業を受けているときに突然さされたように硬直してしまった笑。
そう言われてみれば、なんで緑なんだろ。
長岡さくら工場の上澄水も、いろんな工場で見かける水も、全部緑色。
野口先生は何気なく降って湧いたこの問いに魅了され「家に帰ってから調べてみよう」とおっしゃっていた。
その横顔にアカデミア、学者の素顔を見た思いだ。
こうして色々な物事は明らかにされていくのだろう。
閑話休題。
40名を超える人々がそれぞれにそれぞれの視点で生コン製造のリアルを視察した。
こちらの工場では年間17万m3もの生コンクリートが製造されているという。
ディズニーランドやディズニーシー、ディズニーリゾートのコンクリートはほぼほぼここから出荷されているという。
その膨大な生産量の3%は残コンとなって工場に戻ってくるという。
その膨大な残コンは毎日少量ずつ工場で処分されている。
1日の残コンはせいぜい数m3からあっても数十m3程度。
だけど、1年で計算すればそれは5000m3規模となる。
大きなビル1棟建っちゃう。
それが日々少しずつ世界の片隅で捨てられているのだ。
その分大地はさらに削られ、汚され、蓋されている。
その分余計なCO2が焚かれている。
そのリアルを実体験することになった。
フードロスとかはわかりやすい。
みんな実際にお腹いっぱいになって残したりする経験があるからだ。
一方の残コンは「水の次に流通する材料生コン」の規模でありフードロスなんか目じゃないくらいの環境負荷を発生させていながらも、問題提起されにくい。
それは、わかりにくいからだ。
見えないから。
知らないうちに世界の片隅で起きていることだからだ。
生コンポータルでは常にこの点について課題設定をしている。
「知られていないことは存在していないのと同じこと」
「生コンをもっと身近に」
良いも、悪いも、知られる、身近になる、そのことで物事はより良くなっていく。
犯罪とは隠れてこっそりと暗闇で行われるもの。
ならば、生コン産業はその逆を志向すればいい。
イメージの決して良くない生コン産業は実は素晴らしい。
辺境で不条理に苦しんでいる人たちがいる。
日本最大級の内山アドバンス総帥、生ける伝説、日本の生コンのお母さん。
柳内光子の取り計らいでいろんな属性の人たちと改めて眺めてみた生コン工場。
残コンに課題意識を持つ数十名が改めて生コン工場のリアルを見ることのできる貴重な体験となった。
宮本充也