2023/01/25
【提言】「もしも生コン協同組合で《残コンステーション》を運用したら一体どうなる?」
残コンはもはやリスクではなくチャンスだ。生コンポータルが提言する「もしも生コン協同組合で《残コンステーション》を運用したら一体どうなる?」。結果は新たな月収3,600,000円/月。そのシミュレーションについて。
生コン組合による残コンステーションモデル
残コンのイメキャラ「残コンさん」です 。
今日は生コンポータル(伊豆中央コンクリート)など全国各地で一部の生コン工場に実装されている残コンステーションを「組合ぐるみで運用したらどうなる?」について提案していきたいと思います。
残コンステーションとは?
現場で発生した残コンを組合が運用する残コンステーションにもっていくようにする。また、組合主導でゼネコン・工務店への請求を代行する(※仮に1m3あたり1万円とし、うち5000円/m3を組合員・工場に運賃・手間代見合いで支払う)。
残コンステーションで製造された造粒骨材(写真は5mmU)は組合が保有する資産となる。
組合残コンステーション運用シミュレーション
組合員(工場):10工場
残コン平均発生量:100m3/月/工場(※1000m3/月)
残コン処理費用請求:10,000,000円/月(※うち、5,000,000円は組合員に還付。1工場あたり500,000円/月で残コンを残コンステーションに運び込む
残コンステーション売上予算:5,000,000円/月
かかる費用は造粒材・地代家賃・減価償却・人件費ってところだ。
あたいは小卒だから、詳しい解説は、残コンさんが担当だ。
残コンステーションにかかる費用(残コンm3単価)
関連記事:「残コンステーション運用に関わる地代家賃・設備損料・材料代から試算する骨材原価について」
写真はre-con zero evoという造粒材。残コンステーションでは補完的にこうした材料を使用することで骨材製造フローを最適化している。
参考blgにあるように、1m3あたりにかかる造粒材の費用は2,500円/m3。
また、敷地や設備損料などにかかる費用を仮に300,000円/月と設定します。
材料代:2,500円 × 1000m3 = 2,500,000円/月
敷地・設備費:300,000円
合計2,800,000円/月
造粒骨材の生産量1,000m3で徐すると、2,800円/m3という製造単価がわかります。
組合が残コンステーションに計上している予算は5,000,000円ですから、
5,000,000円 - 2,800,000円 = 2,200,000円 が利益となって残ります。
仮に、残コンステーションに2人職員(給与300,000円/月)をアサインしたとしても、1,600,000円/月は利益として残る勘定となります。
組合主導でJIS外品の生コン骨材を造粒骨材に!
出典:平成26年度 公正取引委員会年次報告(附属資料3 独占禁止法適用除外関係)
生コンクリート協同組合は独占禁止法の適応除外を受けているため、ゼネコン・工務店に対して共同で商行為を優位的に進めることができる。
つまり、生コン組合は「ゴリ押しOK」が国に認められてる立場を利用して、造粒骨材を利用した生コン(当面はJIS外品)を売りつければいいってことだ。
仮に、生コン組合が組合員工場に対して普段仕入れている骨材の半額(例えば、1000円/t)とかで売りつければ、組合員も喜ぶし、組合もトンあたり1000円(つまり、2000トン生産されるため、2,000,000円/月)儲かるな!
(※キャラクター設定上一部不適切な表現がありますが事実とは異なります)
生コン組合が残コンステーションを運用すれば月額3,600,000円の利益
生コン工場が製造する生コンクリートの中にはJIS規格の要求が及ばない各種生コンがある(写真はからねりコンクリート)。例えば、ラップルコンや捨てコン・均しコン、先送りモルタルなどのJIS外品を組合が主導して造粒骨材を用いた生コンを宣伝することによって、残コン問題はリスクではなく収益源に生まれ変わる。
造粒骨材の密度は2.0なので、1m3の残コンから2トンの骨材が製造できます。
つまり、組合員工場に1000円で販売すれば2000トン売れるので残コンステーションの利益に加えて2,000,000円/月が売上(=利益)として生まれる計算です。
残コンステーションの利益(1,600,000円)と合計すれば3,600,000円/月が組合にもたらされる新しい利益になるのです。
組合員にシェアで還付してもいいし、内部留保にしてもいいし。
RRCSの活動なども評価されて、ゼネコン・工務店もいよいよ残コン処理に関する負担に重い腰を上げ始めている今だからこそ、産業秩序の生コン組合自身がこうした取り組みを推進すべきなのです。
生コン組合の残コンステーションが残コンをリスクからチャンスへ!
Google画像検索「生コン組合」の結果ページはぼかしなしでは掲載できない内容のもの汗。しかしこれが現在の生コンに対する世間のイメージであることは疑いの余地がない。現代の要請にきちんと応えていくために、生コン産業の秩序たる生コン組合自身が変化していく必要がある。
「コンクリートをもっと身近に」毎日張り切って情報発信してるけど、これじゃ、ちょっと、みっともないよね。。
でも、残コンさん、姐さんが示してくれたように、「これまで厄介者だった」残コンを別の視点で捉えると、新しい事業として成立することがわかるんだ。
「押し付け合う」「見て見ぬふりをする」んではなくって、各地の生コン組合が率先して火中の栗「残コン」を掴んできちんとチャンスに変貌させることが求められているのさ。
さあ、引き続き、誰かや他人に委ねるのではなく、自ら自分自身が変化して世の中の景色を変えていこう。
残コンさん、残コン姐さん。
引き続き、よろしくお願いしますっ。
作者・宮本充也