2023/01/27
「スラッジ水と高炉スラグ並びに回収骨材や残コンステーション他を活用した各種生コンクリートの試験練り」白石建設
岡山県白石建設を訪ねると試験練りが行われていた。スラッジ水+回収骨材(造粒骨材)+高炉スラグ微粉末全て副産物を利用して製造されるコンクリートは「呼吸・新陳代謝するコンクリート」の実践だ。
各地で進む「呼吸・新陳代謝するコンクリート」開発
高炉スラグ微粉末
岡山・白石建設では昨日(2023/01/26)各種試験練りが行われていた。写真は高炉スラグ微粉末の計量。
「わざわざ作る」のではなくて「発生しちゃうもの」という意味では、フライアッシュや、残コンとも類似であることがわかりますね。
つまり、ゼロエネルギー、ゼロカーボンです。
スラッジ水+高炉スラグ+回収骨材で製造した生コンクリート
繰り返される試験練りの結果「ちゃんとした生コン」が完成。原材料は、スラッジ水+高炉スラグ微粉末+回収骨材。また、こうした生コンはJIS外品としてももちろん、造粒させることでポーラスコンクリート(オワコン)としても利用可能。
スラッジ水とは?
スラッジ水とはいわば生コン工場で発生する汚水(残コンや設備を洗浄し、砂・砂利を回収したもの)。通常はフィルタープレスなど圧搾され廃棄物として処分されてきた。
回収骨材
残コンを洗浄した際にスラッジ水になる手前で回収される砂・砂利のことを回収こつざいと呼ぶ。
で、作った「オワコン」ってどんな製品?
関連記事:【岡山】「雨天時のぬかるみや夏期の雑草を予防するために採用されたご当地製品スラッジオワコン爆誕」白石建設
こちらは、回収骨材(造粒骨材)+スラッジ水+高炉スラグ(セメント)で製造した生コンを造粒しオワコンにして雑草・ぬかるみ対策として実装されたもの。
さらに、水セメント比が高く(40%以上)ポーラスであれば、二酸化炭素の固定(水酸化カルシウムが二酸化炭素と反応固定して炭酸カルシウムに変化)が生じるため、「カーボンマイナス」が謳える製品だ。
【参考】造粒骨材って?
回収骨材と異なり、造粒(粒状化)こつざいとは、残コンにそのまま造粒材(高分子他)で訴求することで得られる骨材。残コンステーション(動画)のプロセスを経て生成される。
スラッジ水+高炉スラグ微粉末+回収骨材 だけで製造した「オコシコン」
セメントを用いずに副産物だけで製造された「オコシコン」はカーボンゼロであるばかりでなく、スラッジ水に含まれている水酸化カルシウムがポーラス(空気との接地面積が大きいい)であることを武器に二酸化炭素と反応・固定して炭酸カルシウムを生成することでカーボンマイナスを実現。
それらが組み合わされ、さらに副産物や生コンに含まれている水酸化カルシウムなどが活用されることで、これからの時代に求められている「資源循環」や「省エネルギー」「脱炭素」を化体します。
さらに! 造粒材も副産物へ!!
関連記事:「いよいよアフリカデビュー」インフラ整備に活躍する残コンソリューション
今、なんと造粒材についても、自然由来のカーボンネガティブができないかをチャレンジしているところなんだ。
写真は元々自然由来の「セルドロン」が農業で発生するコーヒーの殻や落ち葉を原料にできないか実験している様子さ。
セルドロンに限らず、竹チップ(放置竹林対策)は吸水性を有することがわかっていて、造粒材にも利用ができたとしたらこれは完全カーボンネガティブを意味するよね。
社会的問題を解決しながら、有効な建設資材として循環させていくこうした取り組み。
残コンを視座に20年取り組んできたからこそこの場所に到達したんだね。
さあ、変わらず、「現場に寄り添い価値を伝える」情報発信に邁進しようっ。
作者・宮本充也