2023/02/14
「生コンスラッジも残コンも余すことなくリサイクルできる究極の残コンステーション構想」
資源循環・脱炭素の時代にこれまでの「リスク」だった残コン・スラッジはR&Dと業界秩序が連携することで「チャンス」に変貌する。その具体例を紹介する。尚、本稿で紹介する技術は来年度運用に向けてすでに具体的な準備段階に移行している。
(冒頭の写真は高炉スラグ微粉末を計量しているところ)
生コンスラッジ
写真は生コン工場でよく見かける光景「スラッジ水」。残コンや設備に付着したモルタルなど飛沫を洗浄した際に発生する汚泥。トロンメルであらかじめ砂・砂利などを回収した最後のスラリー。
スラッジ水は一般に最後はフィルタープレス(写真)で処理(濾布で圧搾)されるとスラッジケーキとなる。この処分コストは年々暴騰の一途を辿り生コン工場の経営を圧迫している。
残コンステーションで造粒骨材を製造する
残コンステーションでは残コン・残渣(スラッジ)などを一部造粒材を利用するなどして造粒骨材にリサイクルしている。
セメント代替で高炉スラグ微粉末(ジオポリマー)
奥村組土木興業の「ゼロセメントコンクリート」や竹中工務店らの「ECMコンクリート」など、高炉スラグ微粉末(SCMs)をセメント代替で用いる技術開発が急ピッチで進められている。
セメント0kgに高濃度スラッジ水と回収骨材で製造された生コンクリート。試験練りを実施した白石建設によれば捨てコンなど非構造部材のコンクリートであれば十分使用に耐えるとのこと。
造粒骨材(残コン)に含まれる水酸化カルシウムも刺激剤
ジオポリマーコンクリートとは、主原料としてフライアッシュ(石炭灰)および高炉スラグ(製鉄時に発生する副産物)を使用した建設材料であり、普通コンクリートに比べて、耐熱性、耐酸性が高く、製造過程で発生するCO2を75%以上削減できるなど環境の面でも非常に優れています。(引用元URL)
アルカリ刺激剤スラッジ水・MAPECUBE GEO
「ジオポリマー や AAMs セメントクリンカー の潜在性をブーストする全く新しい混和剤の誕生」MAPEI
MAPEIの開発したMAPECUBE GEOはジオポリマーの強度発現を「アルカリ刺激剤」としてスラッジ水同様に促進する。データによれば、通常のポルトランドセメントを用いた以上の強度発現が確認されている(リンク参照)。
練り水をスラッジ水に採用することで含まれている水酸化カルシウムもジオポリマーの強度発現を刺激する役割を果たす。
生コン組合とR&D(研究機関)の二人三脚
「脱炭素時代に残コンステーションは生コン工場や生コン組合の新たな収益源となる」
「スラッジ水と高炉スラグ並びに回収骨材や残コンステーション他を活用した各種生コンクリートの試験練り」白石建設
「脱炭素時代に残コンステーションは生コン工場や生コン組合の新たな収益源となる」
「ジオポリマー や AAMs セメントクリンカー の潜在性をブーストする全く新しい混和剤の誕生」MAPEI
リンクは全て関連する記事を一覧でまとめたものです。本blgはかなり専門的な内容に終始しているため、参考blgを眺めながら理解していただければ幸いです。
さて、こうしたR&Dは結果「出口(市場と顧客)」に出会うことで日の目を浴びることになるのですが、現在は残念なことにR&Dと生コン組合(業界秩序)の連携が機能不全に陥っていることで出口を見出せていない状況が続いているんです、とほほ。
今こそ、「R&D(大学やゼネコンなど研究開発)は生コンを置いてけぼりにしないで」という柳内光子(内山アドバンスグループ総帥)の至言を第一に行動に移す時期がやってきたわけです。今やGI基金をはじめとする各種研究では「生コン工場を置いてけぼりにしない研究」「いかなる生コン工場でも製造できるプロダクト開発」が第一に優先されるようになってきました。そう、結局僕たち生コン工場が製造しないことにはあらゆる研究開発は徒労に終わるということなのです。
さらに言えば、生コン工場単独個社での参画というよりも生コン組合としてのR&Dへの積極参加が求められているのです。
今日はなんだかテンションが「真面目」で変な感じですが、業界秩序たる生コン組合が今刷新を迎える時期に来ているのだと思います。
後少しで念願の「呼吸・新陳代謝するコンクリート」産業が実現するようです。テンション上がるねっ。
オワッコーン‼︎
(※キャラクター演出上事実と一部事実と異なる表現があります)
作者・宮本充也