長岡生コンクリート

2022/06/08

「内山アドバンス、大成ロテック、安藤ハザマらと協議した都市型残コンステーション構想について」

「内山アドバンス、大成ロテック、安藤ハザマらと協議した都市型残コンステーション構想について」

昨日(2022/06/07)GI基金(CO2吸収・固定型コンクリートの開発)キックオフ会議が東京証券会館で開催された後に別部屋で協議された都市型残コンステーション構想について内山アドバンス、大成ロテック、安藤ハザマらが膝を突き合わせて未来像を語り合った。この夏、パイロットタイプの残コンステーション完成。



残コンステーションとは

10年以上前から長岡生コンクリート(生コンポータル)の構内に設置されていた残コンステーション。

動画を見れば丸わかりだが、持ち戻された残コン、現場でブレードやシュートを洗った際に生じる残水、そしてプラントや設備を洗浄した際に発生する洗浄水。

いわゆる、生コン汚水3兄弟(残コン・残水・洗浄水)を未利用資源として付加価値製品に変換するものである。

こちらをベースに、現在万博残コンゼロを目指したロスコンstや大成ロテック城南島敷地内の残コンステーションなど各種残コンステーション構想が並走している。

無論、造粒骨材(残コンを高分子などで強制脱水して骨材化させたもの)だけではなく、残コンを用いたブロックの製造、あるいは残コンをマッチングさせるアプリなど、検討課題は山積みだ。

小島建材店の件で我々建設・コンクリート産業は嫌でも残コンと向き合わねばならなくなった。

一方、一口に残コンと言っても操業環境によって種々雑多なリアルがある。

今回は都心部で発生する残コンの有効利用について内山アドバンス・大成ロテック・安藤ハザマらと都心版残コンステーションの協議を持った。



都心版残コンステーション構想

プロジェクトリーダーは大成ロテック「パイセン」こと渡邊清隆さんだ。

以下のような循環をまずは「やってみる」ということで7月以降準備が始まり、8月にぐるりと一回転できるかどうかを検証する。


1.残コン発生
現場にて発生した残コン数量に応じて必要量の造粒材をホッパーから投入。通常の攪拌のままで大成ロテック敷地内に設置予定の残コンステーションに搬入。
※造粒材は仮に1m3あたり5000円として大成ロテック→内山アドバンスに販売。ちなみに、残コンの廃棄処分費は6000円超/m3とされているため、負担減。

2.改質された残コン荷下ろし(販売)
現場から残コンステーションまでの輸送時に残コンは粒状に改質されている。また、高速攪拌をしないためドラム内で成分が飛散することもない。
7F0E40FC-AB09-4ADD-A62F-8D03077BCFED.jpeg
※造粒化された残コンを「造粒骨材」として内山アドバンス→大成ロテックに販売。この場合の単価は仮に100円/m3とする。

3.全骨材の生コンプラントへの販売
大成ロテック目線で考えれば100円/m3で手に入れた造粒骨材を養生後「全骨材」(0mm〜20mmの連続粒度)として内山アドバンス(浦安工場)に納入。
※仮に1tあたり1000円(運賃込み)で大成ロテック→内山アドバンスに販売する。

4.舗装用コンクリートの製造・販売
内山アドバンスで1tあたり1000円で仕入れた全骨材を利用して舗装用コンクリート(再生骨材コンクリート、造粒ポーラスコンクリート)を製造。内山アドバンス→大成ロテックに販売。
※G+S=2t・2000円、セメント250kg・1000円、合計3000円原価の生コンクリートを10,000円/m3以上で販売すれば内山アドバンスは十分利益を獲得できる。


協議されたのはざっとこんな循環についてだった。

この絵のように循環すれば誰も困らないし、これまでの生コン製造フローを澱ませない。

もしもこれが8月以降の実証実験できちんと検証され問題なく回転するようならこのフローを肉付けする形で残コンステーションはさらに進化していくことになる。



ポータブル残コンステーション構想も

これからの課題だが、やっぱり生コン工場は現場からダイレクトに生コン工場に戻りたい。

そこで、清隆パイセンは考えた。

ポータブル残コンステーション。

ノッチタンクのようなものをあらかじめ生コン工場構内に設置しておく。

43832F70-CCF1-4054-BB02-E8FD1A5D30BA.jpeg

引用:https://www.r-taiki.co.jp/?p=576

あらかじめ、残コンステーション側(例えば大成ロテック)で用意されたノッチタンクに契約している生コン屋さんはただ残コンを流し込むだけ。

バッカン(着脱式コンテナ)に一切合切まとめて捨てちまう感じの手軽さ。

残混んでいっぱいになったらそれを残コンステーション側あるいは生コン工場側で残コンステーションまで運び込む(どちらの負担となるかは要協議)。

あとは、残コンステーションで処理される。

造粒材の費用負担は生コン工場側だが、残コンステーション(道路会社)ではきちんとその用途を作り出してくれる。

脱炭素や資源循環のトレンドは必ずや我が国にコンクリート舗装の市場を拓くはずだ。

そのパイオニアがパイセンこと渡邊清隆さん(大成ロテック)となるだろう。


内山アドバンスの柳内光子さんへ。

昨日初めて、娘さんのえりさんにお目にかかりました。

光子さん譲りのとても素敵な方でした。

話がガンガン進み、あっという間に上記のような運びとなりました。

「2年でやりなさい」

⚫︎参考記事: 「生コンはゴミじゃない」生コンみっちゃん60年【柳内光子】が語る残コンについて

2019年3月26日に訪ねた時、光子さんは「7年」と日和っていた僕にこうおっしゃいました。

その2年後、RRCS(代表理事・野口貴文教授)は発足から半年を数えいよいよ残コンに関わる具体的な動きが始まりました。

それから1年、今度はえりさんと具体的な残コン解決の道筋を示すことができました。

これ、きちんと循環すれば、新しい市場が拓きます。

ぜひ、生コンだけでなく、残コンの胴元になっていただけますようお願いします笑。

関東、日本中の残コン流通を光子さんが抑える。

市場としては結構ビッグな話だと思います。

しばらくお邪魔していないので、また喝を入れていただきに伺いたいです。

残コンステーション、気合い入れてやり遂げます。



宮本充也

宮本 充也

主な著者
宮本充也

危険物取扱責任者(乙4)/1級(舗装・造園・建築・土木)施工管理技士/コンクリート主任技士・診断士

毒物劇物取扱責任者/日本農業検定(1級)/エクステリアプランナー(2級)/運転免許証(大型・中型)

勉強中の資格:採石業務管理者/2級FP技能士