2022/11/29
「社会の循環器【残コンステーション】という胃袋はどんなものでも再生に向かわせてしまう」硫酸カルシウム
残コンはあらゆる副産物を再生・循環に向かわせる究極の媒介材として位置付けることができるのではないか。普段からそんな想いを抱いているが、ある日LINEにもたらされたDMでその想いはさらに強くなる。チョーク製造の廃材「硫酸カルシウム」の再生とその可能性について。
残コンステーションという循環器
【再定義】残コンステーションという胃袋
残コンステーション(ロスコンステーション・動画)では現場で用いられることなく戻ってきた生コン(残コンと呼ばれる副産物は社会問題)を造粒させ写真のように原料に変換することができる。造粒する過程で粒度分布は細かい部分(0.075mm U)を失い、グラフの分布としては等しく右側に移動する。つまり、微粒分が少なくなることで吸水率など各種物性の改善がもたらされる。
今朝、宮本さん、4時前に目を覚ましちゃったんだ。
で、最初に思いついたのが「残コンステーションは胃袋だ」っていう意味不明な1文だったんだね。
でも、こういうのって大切にしたいから、その後暗闇の中でじっくりと残コンステーションは何を飲み込んでしまうのか考えたってわけさ。
で、思い出したのが、先日LINEに届いた一通のDMだったんだ。
「チョーク製造の副産物 硫酸カルシウム は生コン工場でリサイクルできませんか?」
硫酸カルシウム の 残コンステーション による再生利用
個人LINEのQRコードを WEBに晒しているためこうしたdmは毎日のようにもたらされる。用向きはチョーク製造の際に発生する硫酸カルシウムという廃材(副産物)の用途開発について。
https://minorasu.basf.co.jp/80241
硫酸カルシウム(りゅうさんカルシウム、英: calcium sulfate)は、化学式 CaSO4 で表されるカルシウムの硫酸塩であり、固体はカルシウムイオンと硫酸イオンからなるイオン結晶である。石膏の主成分でもある。(Wikipedia)
よほど暇だな、おい。
ほどほどにしとけよ、新しもん好きも。
か、考えても見てください、知らなかったっす、まさかチョーク製造の過程で硫酸カルシウムが副産物として得られるなんて、知らなかったっす。
さながら、大規模印刷工場で発生する「紙粉」と呼ばれる副産物(廃材)がそのままセルドロン開発のきっかけになったかのようなご縁にちょっとワクワクしちゃってるんです。
https://sekokan-navi.jp/magazine/11182
邪魔にはならないばかりか、機能が向上したらそれはそれで儲けもんですね。
残コンステーション(胃袋)が副産物(硫酸カルシウム)を飲み込む
生コンポータルではこれまでも解体コンクリート塊から得られるモルタル粉(写真中央)や食料残渣、間伐材チップ(粉状)の残コンステーションにおける受け入れを検討してきた。どのような粉状の物質でも残コンステーションは一定の粒度分布の範囲に収める(0.075mm Uが極めて少なくなる)ことができるため、原材料としての利用が広がりやすい特徴を持つ。ましてや、元々コンクリートと相性の良い硫酸カルシウムはまさに筋がいいといったところだ。
そうなんだ、これまでもあらゆる副産物(食料残渣から間伐材まで)を残コンステーションで改質して再利用することを試みてきたんだけど、それこそモルタル粉とか今回の硫酸カルシウムなんてベストコラボだと思うんだよね。
もっといっちゃえば、不良在庫として残ったハイパーエクスパン(膨張材)とかだって残コンステーションで飲み込んで仕舞えば、原材料のいっちょ上がりってわけさ。
お前、残コンさん相手だとタメ口になるのなんでだ?
広がる用途開発 JIS外分野の生コンクリート
①流動性埋戻し材「イワモル」
「イワモルを3時間運搬するために遅延剤を用いた実機試験を行いました」
でも、確かに、残コンに飲み込まれた硫酸カルシウム入りの造粒材なら「イワモル」みたいな流動性埋戻し材に適応できますね、JIS関係ないですから。
そうなんだ、実はこの着想ってMAPEIの開発から着想を得てるんだ。
②有害物質を包膜するセメント安定処理(MAPEI)
「ごみ焼却場における飛灰という問題」 水素・重金属・塩化ナトリウム・リサイクル・無害化
Re-con zero evoで協働しているMAPEIではイタリア国内のごみ焼却場で発生する飛灰(ひばい)と呼ばれる重金属たっぷりの副産物をセメントとre-con zero evo(造粒材、つまり、残コンステーションと同様の作用を示す)をブレンドして無害化した事例を見学したんだ。
そう考えると、仮に硫酸カルシウムが何らかの悪影響を与えたとしても、残コンに含まれるセメントが安定させてくれるから、影響もあまり出ないってことですね。
これからの研究が楽しみでっす。
③JIS外再生骨材コンクリート(アメコン/ECON)
残コンステーションで生成された造粒骨材で製造した生コンクリートは捨てコンなどJISとは無縁の低品質コンクリートに用いられている。岡山白石建設では「アメコン」、伊豆中央コンクリートでは「ECON」と名付けられ地元経済で流通している。
JISは守ります。。
JIS外品での利用を頑張りますって意味っす汗。
あらゆる副産物を飲み込み付加価値を与える残コンステーション
【沖縄】「NETISに登録されたRe-con ZERO EVOをコア技術とする残コンステーションが沖縄に実装されました」南建工業
残コンステーションは日本全国に広く分布している。それぞれの地域のそれぞれの残コンステーションがそれぞれの地域で発生する副産物を飲み込み付加価値を生み出す。まさに、コンクリート産業が資源循環型社会における重要なハブとして機能を果たす。
考えれば考えるほど、残コンって面白いね。
これまで「疫病神」みたいな捉えられ方してきたし、実際現場ではゼネコン・生コン・圧送がさながら「ババ抜きのババ」のように互いに押し付け合ってるんだもんね。
でも、これからは「チャンス」になっちゃうんだよね、「リスク」がさ。
周回遅れで日経xtが話題にし始めた「残コン」(さらば残コン)だけど、実際残コンの不正利用で経営破綻に追い込まれるケースだってあるくらいのリスクだったのに、こうやって考えてみるとこれからは「チャンス」しかないんだからね。
実に面白い。
「コンクリートをもっと身近に」
でもさ、そんな残コンも結局「知られていない」ってことは引き続き「存在していないのと同じ」ってことになっちゃう。
だから僕たちに課せられた使命は「知ってもらう」を広げることなんだ。
情報発信さ。
残コンさん、残コン姐さん、引き続きよろしくお願いします!
作者・宮本充也