2023/10/12
「残コン由来の骨材による《サンディング効果》により軽減される負担と原価0円で生まれる大量のCCUは生コン工場の新しい操業のあり方を示唆している」
現在、ICC(伊豆中央コンクリート)の協力を得て行われている実験は未来の生コン工場の全く新しい役割とあり方を示唆している。生コン工場が自前でCCU(骨材・石粉)を製造し、自前でコンクリートを製造する未来について。
残コンとCCUで生まれる新しい生コン業
生コン工場で発生する副産物「残コン」
上澄水は洗浄水のスラッジ固形分を沈殿させた透明な飽和水酸化カルシウム溶液。
残コン由来の細骨材。いずれも、「残コン」が由来となっている。
製造出荷が終わったら掛け合わせる「上澄水」「細骨材」
生コン製造を終えたプラントの洗浄作業前に「上澄水」と「細骨材」のミキサによる練り混ぜを行うことにより「サンディング効果」を期待する。つまり、日中の操業でこびりついたコンクリート飛沫の除去を期待するもの。そうなれば、洗浄作業そのものが軽減される。
生コン車はそのまま排熱・排ガス発生源にGO!
こちら、ゴミ焼却場など排熱・排ガス発生源で「上澄水」「細骨材」を乾かす(つまり、高濃度CO2とCa(OH)2の反応を促しCaCO3の生成を促進)を模擬的に行っているもの。さらにこちらでも「サンディング効果」が期待されるため、無人・無動力(未利用熱を利用して発電)でドラムの中は紙やすりで削られるため、生コン工場で定期的に発生する重労働「はつり作業」の軽減も期待される。
原価0円でできるCCU
一晩CO2と排熱にさらされた後に排出された「上澄水」「細骨材」の成れの果て。
一晩CO2と排熱にさらされた「上澄水」「細骨材」は真っ白つまり炭酸カルシウムに変化していたことがわかる。これからの生コン工場ドライバーはゴミ焼却場などCO2発生源が出勤先になるのかもしれない。そのことで、プラントの洗浄作業や生コン車のはつり作業が大幅に改善され、さらには大量のCCUが原価0円で製造される。これはつまり、「残コン」が「金になる」ということを意味している。
骨材・石粉として生コンに利用
なお、これら工程の特徴は通常の生コン工場のフローになにも加えていないという点。生コン製造の最後に上述の製造を加えるだけで、生コンドライバーは最後の生コン車洗浄から解放されるし、プラントの洗浄も軽減される。さらに、出来上がったCCUは骨材または石粉としてプラントで利用可能。
20日の生コンキャンプで議論しようっ
写真はCO2養生が終了し排出された直後の「上澄水」「細骨材」はすでに濡れていながらも白い。なお、来たる20日神田で開催される生コンキャンプ定期演創会では多くの生コン工場実務者らと本CCU製造事業に関して討議が予定されている。
「コンクリートをもっと身近に」
無理にエネルギーや設備投資、労務をかけて得られる無理くりなCCUではなくて、自然の循環にそのまま従った結果、生コン工場にメリットまで生み出して製造される、ということなのかもしれないね。きちんと価値を発信してもっともっとお役に立たなくちゃっ。
オワッコーン‼︎
20日はおひとり様でも多くのご来場を心待ちにしていますー。ちなみに、会場は変更になっていますので、もう少しご参加いただけますのでどうぞ遠慮なくお問い合わせくださいー。。
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。