2023/08/17
「結合材【残コナ100%】で製造したコンクリートは強度発現するのかな?」
本日1400〜に先立ち、昨日(2023/08/16)は岡山白石建設で「残コナだけで製造する生コン」の試験練りが行われていた。もしも仮に、「残コナだけで製造する生コンがそこそこ強度発現しました」という結果が得られたら。世界のコンクリートの常識は一変してしまう。
吹き荒れろ「ヌテコン」旋風
結合材にセメントを用いず再生・副産物のみで製造されるコンクリートは「ヌテコン」と名付けられた。
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コンクリートの専門家ならご存知、「マニュアルには【固まらない】と書いてある」ということなのですが、いつだって答えは「やってみる」がモットーの生コンキャンプの真骨頂となりますー。
「ヌテコン」各種配合試験練りローンチ
左・特殊混和材(AAMs専用)mapecube geoと右・「残コナ」。岡山県白石建設では究極SCMsも用いないで製造される生コン、結合材を「残コナ」だけで作る生コン(当社呼び名「ヌテコン」、同社では「アメージングコンクリート」)を目標に試験練りが始まった。
SCMsも用いないで作れる?生コン
「残コナ」と名付けられたこちらのパウダーは特殊プラントでスラッジケーキを加工して製造されたもの。強塩基を呈するため、アルカリ刺激材として、また流動性の改善、さらには、流動化処理土の粘性助材など、多様な役割を期待されている。
こちら、結合材を「残コナ」だけで製造した「ヌテコン」(セメントを用いず、再生・副産物のみで製造した生コン)のフレッシュ性状はそこそこちゃんとした生コンとなっている。。「かたまれば凄いことなんでしょうが」(白石建設武南社長)。
「SCMsがなければ固まらない」みんな知ってるからこそやってみる
「誰も残コナ100%で練ることはないだろうし、日本初のデータでは?」(JIC森先生)。「そもそも、SCMs(高炉スラグ微粉末)が入ってなければ、いくらアルカリ刺激を加えたって強度発現なんかしない」なんてことは全員百も承知だ。一流の技術者JIC森先生をはじめ、100人が100人そのように考えているところにこそ盲点が存在するのも事実。「やってみる」ほど明快な答えを導き出す方法は他に類を見ない。
今日は18−8−20(BB)のセメント割合分を「残コナ」にした試験練り
30〜60%の高炉スラグ微粉末置換が高炉セメントB種と規定されている。というわけで、本日(2023/08/17)はアルカリ刺激材としてのセメントを「残コナ」に置換(45・高炉スラグ微粉末:55・残コナ)で試験練りを行うところをスタート地点とする。練り水は上澄水内割でGEO10kg(L)とする。
SCMs内割10%と90%「残コナ」置換も
アルカリ刺激材としての「残コナ」とSCMsとの関係性を理解するために極端に振った2配合の試験を行う予定。今後高騰が見込まれるセメントをなるべく使用しないためにも、新たなSCMsの探求に加えて、SCMsと「残コナ」がどのように互いに作用し合うかを見極める試験練り。
本日(2023/08/17)1400から生コンキャンプ
あいにく、昨日の豪雨で新幹線が麻痺しており、岡山から駆けつける予定だった白石建設齋藤さん(写真)と武南さんは足止めを食って参加を見送ることとなった。
なお、試験練りが終了した夕方からは毎週木曜定例、ご当地老舗酒店杉山商店らによる出張角内 in LUMBERが予定されている。「あ、今日、行ける」て方がいらしたら、試験練り参加に加えて飲み会に行こう。
「コンクリートをもっと身近に」
てなわけで、生コンキャンプではコンクリートの専門家ではない一般の方を完全に置いてけぼりにしたいわば舞台裏R&D、技術開発についてご紹介をしています。技術開発ってのは論文で生まれるものではなく、「やってみる」という泥臭い活動の先にあるってのが僕たちの持論です。生まれたばかりの「残コナ」そして「ヌテコン」の今後がとても楽しみですっ。
オワッコーン‼︎
さて、今日も暑くなりそうです。1400〜ICC試験室を舞台に各種「ヌテコン」試験練りが行われます。また、その後1700〜は隙間RUN(30分程度の地元インフラをめぐるランニング)を経て、1800〜出張角打ちで懇親会となります。ご参加できそうな方は是非いらしてください。。
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。