2023/07/08
「コンクリート工学会年次大会最終日(2023/07/07)午後の【再生コンクリート/リサイクル】レポート」
本日3本目最後のblgは1泊 2日で参加したJCI年次大会最終日午後の「再生コンクリート/リサイクル」の模様をご紹介。
再生コンクリート/リサイクル
粒状化再生骨材の全国試験
粒状化再生骨材の上澄水散水養生によるCO2固定技術の萌芽期において、白石建設武南さんからの本提案を「コンクリートではない」ことを理由に議題にも挙げることなく却下したCPコンソの安藤間白岩さんのプレゼンは、粒状化再生骨材の品質に関するものだった。
内容は、全国複数工場が参画するラウンドロビン(?)試験。各種粒状化アプローチ(薬剤を使用したりしなかったり)で得られた粒状化再生骨材がコンクリートにもたらす影響について語られた。https://confit.atlas.jp/guide/event/jci2023/subject/1156/tables?cryptoId=
PP繊維が混入した再生骨材コンクリート
PP繊維コンクリートの普及に伴い問題となる解体時のPP繊維が混入したコンクリート塊の再利用のための基礎研究。結論としてはL品としての性能は十全に満足するというもの。今後は粒状化再生骨材における同様の研究のリクエストを行った。「RRCSリサイクル分科会には参加しています」とのお返事を頂戴した。https://confit.atlas.jp/guide/event/jci2023/subject/1158/tables?cryptoId=
コーヒーカスを骨材として再利用したコンクリート
こちらは韓国で大きな問題となりつつあるコーヒー殻の再生を企図した研究。「リグニンを含んでいることからも脱炭素を意識してますか?」という質問には「は?」と言われ若干面食らったものの、その後指導教授の方から「今の所検討はしていません」という答えだった。https://confit.atlas.jp/guide/event/jci2023/subject/1206/tables?cryptoId=
強制炭酸化処理を行った再生骨材コンクリート
TEPCOらからは発電の際に多量に発生するCO2を用いて再生骨材を強制炭酸化させた再生骨材を用いたコンクリートの諸物性についての研究。https://confit.atlas.jp/guide/event/jci2023/subject/1207/tables?cryptoId=
なんとも興味深いことに、やはり CO2を用いて炭酸化させた骨材の密度屋吸水率は改善するようだ。さらに、細骨材で31kg-CO2/tのCO2固定がみられ、再生骨材コンクリートとしての圧縮強度の低下傾向を改善することが示された。散会後宮本さんから「上澄水を散水すればもっともっといけまっせ」とご挨拶したところ、大変興味を抱いていただいたようだった。
粒状化骨材を用いた流動化処理土
真打登場は横浜国立大学・細田暁研究室の船山さんから。本研究は残コンと流動化処理土を対象としており実装も果たしている。
IWAシステム(残コンstプロセス)で製造された粒状化細骨材と、フロー・強度には関係性が存在することや、含まれているカルシウムイオンがアルカリ刺激として高炉スラグ微粉末に作用していることなどが示された。船山さん、素晴らしいプレゼンでした。
新陳代謝するコンクリート
上澄水によるCO2を利用した骨材の性能改善が活用できそうな研究発表が目白押しでした。https://www.nr-mix.co.jp/jois/blog/post_595.html
そして、そんな分野で「新陳代謝するコンクリート」をきちんと生み出して、それを汎用化させることがコンクリート産業に求められていることです。研究と実装をバランスよく繰り返すことで見る見る景色が変化していく未来が今から待ち遠しくてたまらないねっ。宮本さんとしても、実装ラストワンマイルとしてall concreteで貢献していきたいと思ってます。
オワッコーン‼︎
真面目なテーマのblgが続いちゃったこともあり、宮本さんちょっと変なテンションになってますー。。これからもコンクリートの専門家集団として継続努力して参る所存でっす。
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。