2024/01/05
「たった5%のコンクリート舗装」イタリア・MAPEIと伊豆半島・生コンポータル(長岡生コンクリート)協業の歴史を振り返る #5
Re-con zero EVOの開発をきっかけとして2009年に始まったMAPEIと日本の協業(共同研究)。15年目を数える絆は多くの関係者らを巻き込んで95:5の5に甘んじている日本のコンクリート舗装を舞台として再スタートが切られる。
舗装コンクリート用造粒材の開発
もともとは残コンリサイクル限定
高分子/急結材などで残コンに作用し攪拌によって造粒をもたらすre-con zero evo(写真)。
そもそもの元々は残コン改質を目的として開発された製品がRe-con zero EVO。
日本で「オワコン」製造材として再定義
そんなre-con zero evoは「残コン」ではなく「生コン」に適用することでも当然造粒化が促される。2021年8月20日に「これ、そのまま、ポーラスコンクリート(透水性コンクリート)としていけるのではないか」という着想からre-con zero evoは「オワコンの素(Y弾)」として再定義された。
生コンが造粒・粒状化することで流動性が失われ、あたかも「冷たいアスファルト」のように手軽に取り扱いが可能になったことはまさにイノベーションだった。
管理画面:「残コン原材料の出口コンクリート舗装」イタリア・MAPEIと伊豆半島・生コンポータル(長岡生コンクリート)協業の歴史を振り返る #2
日本のAs:Conは95:5 これはチャンス!
車道はアスファルト舗装、コンクリート舗装、ブロック舗装の3つに分けられます。そのうち約95%がアスファルト舗装、残りがコンクリート舗装です。ブロック舗装は一部観光地などで使われている程度です。(引用:https://gazoo.com/column/daily/17/03/29/)
各国に比べて日本の道路舗装全体におけるコンクリート舗装の占有率はたった5%。つまり、マーケティングの観点で言えば「伸び代しかない」「失うもんない」ということができる。
舗装コンクリート混和剤としてはまだまだ発展途上
ただし、ローンチからまだまだ3年足らずの「オワコン」(造粒ポーラスコンクリート)は主に民間工事の「防草」「排水」「駐車場」といった要求性能のさほど高くない分野での適用となっているため、道路舗装などの分野に適用を検討する場合さらなる研究開発が求められる。https://www.nr-mix.co.jp/owacon/blog/
始まっている公共工事での適用
写真は熊本県玉名市で法面の防草や土砂流出緩和などを目的として適用された「オワコン」は公共工事で採用されたもの。
こちらも国土交通省が管理する簡易道路に適用された「オワコン」は結合材を高炉スラグ微粉末100%とし真っ白で見栄えする地元のランドマークとなった。なお、本ルートはMAPEIもスポンサーとして参画するエロイカジャパン2024の公式ルートとして採用されている。
ここからは、新章突入だっ。イタリアと日本の絆は残コンを卒業してコンクリート舗装分野に殴り込みだぜっ。
新章突入! MAPEIと日本の共同研究
2009年re-con zero evoの開発がご縁でMAPEIと日本の共同研究(協業)は今年で15年目を数える。日本ではすでに「残コン」はCCUなど有意な原材料として再生する方法は確立されており、これからの協業の骨子は「舗装用コンクリート向け混和材」としてさらなるバージョンアップを重ねていくことになろう。
「コンクリートをもっと身近に」
考えてみたら、再来週だからね、ミラノMAPEI訪問がさっ。とにかくポイントは「非JISコンクリート」とりわけ「コンクリート舗装」が「残コン」で協業してきたMAPEIと日本の突破口だよっ。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。