2024/05/27
革新的カーボンネガティブコンクリートの材料・施工技術及び品質評価技術の開発概要(日本材料学会第73期学術講演会)
長崎県長崎市で開催されていた日本材料学会第73回学術講演会では国際的な元祖CNコンクリート取違剛さんから貴重なCNコンクリートについての基調講演があった。改めて、CNコンクリートについて。
革新的カーボンネガティブコンクリート
取違さんは今のように誰も彼もが脱炭素を叫ぶずっと前からCNコンクリートの研究をされてきた国際的第一人者でもありますー。。
元祖CNコンクリート! 取違剛さん(鹿島)登場
脱炭素ブームが始まった途端に飛び乗って我が物顔で爆走する宮本さんと違って取違剛さんはブームの以前からCNコンクリートを研究してきた国際的第一人者ぢきぢきの「CNコンクリートとは?」はマニアなら垂涎の的。このためだけに長崎に来たと言っても過言ではありません。
CNコンクリートの位置付け
全産業を横断して眺めたカーボンリサイクルにおけるCNコンクリートの位置付けについて。CCUSにはさまざまな利用用途がある中でその大いなる1つにコンクリートが位置付けられている。
GI基金について
2年経過した総額2兆円のGI基金はコンクリート分野におよそ500億円の補助金がつけられ鹿島らを筆頭に2050年カーボンニュートラル社会に向けたプロジェクトが進行している。
CNコンクリート3つのアプローチ
これまでも CNコンクリートには3つのアプローチがあることを紹介してきたがここでは元祖がかかるCNコンクリート3つのアプローチを改めてご紹介。
①セメント低減型
生コン1tm3が排出するCO2の内訳。コンクリートが排出すると言われるCO2 255kg/m3の内250kgがセメントによるもの。つまり、このセメントをなるべく使用しないアプローチ(SCMsの積極利用)が第1のCNコンクリート。鹿島らでは ECMなどがその象徴。
②DACなどCO2固定型
CO2濃度の管理を行った小屋の中で養生されたテトラポッドはコンクリート(に含まれるγC2Sという鉱物)自身がCO2を吸収し硬化するアプローチ。鹿島らが開発したCO2-SUICOMはあまりにも有名。
③CO2を粉体や骨材に固定したコンクリート
人為的にCO2を固定した各種材料を用いるアプローチ。鹿島らではエコタンカルの使用などが有名。また、生コンポータルではCNコンクリートとして残コン由来の骨材や混和材料(CCU材料)の利用を推進している。
日本が向かうべき将来を見据えた研究開発と社会実装
最後に取違さんから脱炭素、セメント抑制の声が喧しい現状に待ったをかけるべく、そもそもセメント製造の過程でリサイクルされる多くの産業副産物とその貢献について話があった。また、SCMsを追い求めすぎれば火力発電所が停止した場合に得られる資源もなく多産業副産物の未来と調和の取れた「行き過ぎない」CNコンクリートについて提言があった。
CNコンクリートの貢献を広げる鍵は情報発信!
質疑応答の際にどちらかの学校の先生から「こんなに素晴らしい貢献を埋もれさせておくのはもったいない。もっと発信の機会を作るべき」というような発言があった。取違さんからは中央官庁、各地方の行政に向けた個別の「打ち込み」を展開中という回答があった。宮本さんたち生コンポータルとしても情報発信や懇談の場の設定には激しく同意する立場であり、引き続き連携を通してコンクリートの貢献を広げていく構えだ。
「コンクリートをもっと身近に」
そんな同志たちの活躍や生み出した価値を埋もれさせない。鍵は情報発信。それは宮本さんも365日毎日ブログ3本を発信して8年と3ヶ月が経過しつくづく感じ入っていることです。絶対に埋もれさせない。絶対に貢献を知ってもらう。そのために、尊敬する先人たちがいうように「コンクリート一致団結」で果たしていきたいと思いますっ。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。