2023/08/24
「残コナAはAAMS用アルカリ刺激材で残コナTはCCUS。いずれも残コン・スラッジ・上澄水が原材料」
「残コン」「スラッジ」「上澄水」とその土地の「二酸化炭素」だけが原材料。白石建設武南さんが考案したプラントを実装した「残コンst」では地域の未利用資源を原材料として新たに地域経済に循環させる取り組みが始まっている。
CCUSとしての粒状骨材微粒分「残コナT」
上澄水散水養生の粒状骨材各粒度の炭素量分析
こちら、炭素量分析に回されるのを待つばかりの粒状骨材。左から右へ粗骨材、細骨材、石粉。下から上へ0回、5回、10回(上澄水散水養生)。
養生方法の効率化が今後の鍵を握る
こちらは、3回目の散水を終了し乾燥させている粒状骨材の写真。ブランク(0回)に比べて明らかに白色を呈しているのは気中CO2と上澄水のCa(OH)2が反応しCaCO3として析出したため。
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石粉(<0.15mm)に含まれてるCaCO3がやばそう
とりわけ顕著に色の違いが見られたのは、0.15mm>粒度の粒状骨材(石粉)。見た目からも明らかであるように、5回のものと、10回のものの成分の大半はCaCO3であることが窺われ、それはとりも直さず本技術がCCUSであることを示している。
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分析により散水回数と炭素量の関係性を明らかにする
粒状させた生コンクリートの0.15mm> が基準となり、5回と10回それぞれの炭素量との比較を検証することにより、効率的なCaCO3の生成方法を検討する。
5回の乾湿繰り返し試料。
5回との比較では色の違いはそれほど見られない。こちらは10回。
「残コナA」(スラッジ)と「残コナT」(残コン・上澄水)
写真「残コナA」スラッジケーキから得られたパウダーは豊富な水酸化カルシウムを含んでいるため、ジオポリマー(当社ら「ヌテコン」)におけるアルカリ刺激材(混和材)としてその性能が期待されていることから頭文字を付せられた。
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一方、今回の上澄水散水養生による炭酸カルシウムの析出により得られるパウダー(0.15mm>)は頭文字をとって「残コナT」と名付けられた。
「残コン」「スラッジ」「上澄水」が地球を救う
「残コナA」はスラッジ由来であるため生産量が膨大に及ぶことが特徴。現在、アルカリ刺激材としてだけでなく、粘性付与を目的とした混和材や流動化処理土「イワモル」の原材料として、または造粒材「セメドロン」として。その用途は無限の広がりを見せている。
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一方、「残コナT」は主成分が炭酸カルシウム、つまりCCUSとなっているため、各種カーボンニュートラルコンクリートなどに実装を予定している。また、上澄水に含まれるCa(OH)2と気中CO2にその製造量が委ねられるため、Aに比べて生産量は限定的。いずれも、白石建設武南さん考案のプラントで製造可能であり、いずれも「捨てればゴミ」残コン・スラッジ・上澄水のみを原材料として製造され、地産地消に回される(物流における余計なCO2発生の抑制)。
「コンクリートをもっと身近に」
よく勘違いされがちなんだけど、僕たちは薬とか機械を売って金儲けしたいって立場ではないんだ。だって、生コン屋ですから、生コン屋は生コンで勝負しなくちゃね。そのための手段として生コンキャンプでは各種技術開発に取り組んでいるのであります。インチキブローカーの皆さんにはすっこんでろということです、はい。
オワッコーン‼︎
ものづくりが、好きなんですね。。 とにかく、現場を一番大切にしていれば間違い無いですね。価値のない会議をたくさん繰り返しても世の中の景色は変わりませんね。。
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。