2024/02/12
「コンクリートは建築and/or土木の領域だけで論じるべき技術体系か」(週刊生コン 2024/02/12)
コンクリートは建設、つまり建築and/or土木の領域だけで語られて然るべき技術体系なのだろうか。 そのような問いが覆った1週間を振り返り、新たな時代に答えを出せる新たなコンクリートという新しい系について論じる。
ダムやビルではない分野
求められる性能は「排水」「防草」
「オワコン」はコンクリートだけど本来用いられるビルやダムなど基礎資材として用いられていない。目的は「防草」や「排水」で普段コンクリートの貢献する領域ではないところに用いられる。 そんな「オワコン」を十把一絡げに扱うこと事態が間違っていることを強く実感した1週間。
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「吸音」が目的
そもそもこちらのコンクリの目的は「オコシコンの空隙がドリブル音を吸収することで少しでも周辺環境との調和を図りたい」というもの。既往の建設が一本槍で目的としてきた「強度」「耐久性」は二の次のテーマとなっている。
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「建設」にとらわれないコンクリート
コンクリートといえば建築・土木など「建設」に用いられる資材と考えられ、その主な目的である「安心」「安全」を担保するための性能として「強度」「耐久性」が論じられ産業が形成されてきたが、果たしてこれからの時代の新しいコンクリートは変わらず「強度」「耐久性」なのだろうか。超高齢化・資源循環・脱炭素などといった社会テーマに応えるコンクリートに求められる新しい性能について。
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既往の建設の目的「強度」「耐久性」の外「脱炭素」
具体的な技術開発として知られるCO2-SUICOMなどの先端コンクリート技術の目的は脱炭素社会の創造。一方、「建設」を前提に置いた従来のコンクリートの目的は「強度」「耐久性」による安心・安全の創造。 既往の規画・基準類が新たな時代の要請である「脱炭素」に寛容であることはありえない。 新たな時代の要請を容認しうる領域はつまり既往の規画・基準類の外「非JISコンクリート」にあることがわかる。
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適切な場所での議論を進めよう
「強度」「耐久性」を目的とする建設領域において「中性化」(CO2固定)が悪だったように、新たな時代の要請を既往の系で論じることは二項対立を生み出す。これからの社会の目的ともいうべき各種テーマを既往の建設領域で論じるのではなく、新たに生まれている領域としての「オワコン」「オコシコン」「イワモル」といった目的が「強度」「耐久性」ではない非JISコンクリート領域としてまとめその系において考察するアプローチが求められる。
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「強度」「耐久性」ではないコンクリート
生コンキャンプではコンクリートに関わる様々な属性の方々との協働・連携が生まれています。
「コンクリートをもっと身近に」
毎日3本以上書いてるブログだけど、その主な目的は「伝える」情報発信を通したコンクリートのPRだったんだけど、ここ数年は自分自身の仕事を振り返る大切な時間として位置付けられてもいます。 普通書かないでしょ、毎日ブログ3本365日丸8年とか、きもいでしょ。 でも、やり切った先に見えるものもあるのも事実なんだっ。 日々、地球はぐるぐるまわってて、いろんなことが起きるけど、自分自身はブレずに進んでいきたいよね。そのためのルーティーンとしても役に立っているのさっ。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。