2023/08/08
「オコシコンは高炉セメントB種、スラッジ水、回収骨材または粒状化骨材による製造を標準といたします」
「セメントは使うもの」こうした考え方にとらわれているかもしれないが、「やってみる」という実にシンプルな手段では次々とこれまでできないとされていたことや常識が覆されていく。「オコシコンは高炉セメントB種、スラッジ水、回収骨材または粒状化骨材による製造を標準といたします」について。
オコシコンは高炉セメントB種でも十分?!
以前、白石建設さんで行われた試験練りの結果が続々ともたらされる中で、「セメントを用いなくても結構強度ができる」ということがわかったのでした。
オコシコンにはセメントいらない?
白石建設で行われた「セメントを用いないオコシコン」の試験練り1週強度結果(mapecube GEO配合)。
関連記事:【岡山】「セメント0kgで製造する環境負荷ゼロのオコシコン開発」白石建設
AAMs専用混和剤 Mapecube GEOとは?
AAMsやジオポリマーと呼ばれる「セメントを用いないコンクリート」専用に開発された混和剤。アルカリ刺激を行うことによってSCMs(高炉スラグ微粉末やフライアッシュなど)の硬化を促す。
関連記事:「ジオポリマー や AAMs セメントクリンカー の潜在性をブーストする全く新しい混和剤の誕生」MAPEI
GEO入れなくても結構強度出てる
瞠目すべきは、こちらの結果。GEOを入れた強度8.81に対して、GEOを入れていない強度7.37は「誤差の範囲」と断じてしまってもいいのではないか。つまり、スラッジ水とスラッジ粉、または回収骨材から供給されるカルシウムイオン(Ca2-)だけでも十分SCMsに刺激を与えていることの証左。
通常のオコシコンとの比較
こちらは、通常のセメント(N)で製造したオコシコンは3日強度で11.9の値を示している。
【仮説】セメント(BB)とスラッジ水、回収骨材で強度は十分
上記から導き出される問いは「高炉セメントB種(表)程度セメントが含まれていれば十全にアルカリ刺激としての効用を発揮し、スラッジ水や回収骨材で製造したとしてもセメントN種で製造したオコシコンと比較して同等以上の強度を発現するのではないか?」。
(引用:https://kentiku-kouzou.jp/tekkinkonkurito-kourosement.html)
@Koji Takenami
スラッジ水の一般的(?)な濃度ってあるんでしょうか?固形分の溶質量/液体量*100って感じですか? 仮にスラッジ水に一般的な濃度があるとしたら、セメント(BB)に回収骨材・粒状化骨材、スラッジ水、おこし材で製造したオコシコンと、通常のオコシコンの強度比較を早急に行いたいです。
早速試験練りを準備するためにチャットグループで白石建設の武南さんに質問している様子。(生コンポータルではこれまでスラッジ水を利用したことがないため知見が乏しい)
スラッジ水や回収骨材、高炉スラグ微粉末は生コン工場が一番喜ぶ!
スラッジ水(写真)は生コン工場であれば必ず発生し一般には「廃棄物」として減容化されて処分(有価、つまり、生コン工場の経営を逼迫)されている。
残コンからは粗骨材(写真)や細骨材などがトロンメルなどで回収されるものの、生コンクリート骨材としての再利用は限定的となっており厄介者の一つに挙げられている。
さらに、セメントB種もサイロに空きさえあれば、高炉スラグ微粉末を自由に計量して最適な配合を組むことでさらにコスト減が期待できるってわけだなっ。
「オコシコン」は生コン工場の味方
旧製品と違って、改良して開発された「オコシコン」はコンクリートの純潔な専門家が独自で産み出した透水性コンクリートブランド。だから、「オコシコン」は生コン工場のためのポーラスコンクリートとして多くの共感を呼び力強く普及している。
関連記事:《第1土曜日》「朝の用事が片付いたら行こう! 箱根の向こう側!」オコシコン・懇親会 編
「コンクリートをもっと身近に」
いやはや、こりゃ、やべえな。今後「オコシコン」は生コン工場にとってスーパーフレンドリーな製品になっちゃうね。だって、これまでごみとして処分していたものを大量に使える生コンだってんだからさっ。みんな、食いつくよね。うちに練らせてください!みたいな笑。現場をとにかく大切にする白石建設さんにはいつも刺激しかもらっていないよ。僕たちも僕たちの最も貢献できる分野を常に意識して進化し続けていられるようにしたいものさっ。
オワッコーン‼︎
生コン工場さんや工事業者さんのことを「下店」「代理店」として軽んじてるようなポーラスコンクリートブランドがある一方で、「オコシコン」は本当に現場に寄り添って現場1stの姿勢を忘れずに進みたいですー。
※参考:【注意】「xxさん(生コン工場)のところもオワコン使ってますよね?ですから販売が難しいかもしれません」【取引先情報の漏洩】
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。