2024/02/10
「CO2-SUICOMをはじめとしたイノベーションが社会実装を果たすために必要なコンセプト」
今日は白石建設武南さんから共有されたCO2-SUICOMの説明(鹿島・取違剛さん)の動画を視聴していて思った宮本さんの意見。多くの技術者が勘違いしているように、市場と顧客は専門家らにより構成される会議室の決定に従うのではなく、市場と顧客の要求に応えることで製品はその価値を認められ世の中に実装されていく。
イノベーションが人口に膾炙するまで
通常の製品の場合イノベーター理論は適用されますが、コンクリート産業においては何十年もそのコンクリートの大半は18-8-20(BB)とか21-18-25(N)など見栄えしない手垢のついたものばかりが製造されていますー。。
【参考】イノベーター理論
コンクリート分野におけるCO2排出削減・有効利用と『CO2-SUICOM』【鹿島建設株式会社】
まさに、現代の最先端技術・イノベーションとされる鹿島らが開発したCO2-SUICOMのプレゼン動画。一般の方向けにわかりやすくコンクリート技術CO2-SUICOMの説明がされている(話者:取違剛さん)。
名古屋商工会議所YouTube
*----------------------------------------------------------------------------------------------------------------*
◆『産×学連携<クリーンテック・技術展>オンライン』【見逃し配信】
*----------------------------------------------------------------------------------------------------------------*
本動画は、3/25・26に行われたクリーンテック技術展・オンラインの
参加団体別の見逃し配信です。
<主要テーマ>
◆水素・アンモニア
◆太陽光・バイオマス発電
◆CO2削減技術・デジタル化
◆新素材・リサイクルなど
<詳細はリンク先へ> https://cleantech.nagoya-cci.or.jp/
セメントコンクリートについての概要説明から、主要成分の1であり結合材として用いられているセメントを製造する過程で発生するCO2を抑制するための既往技術として高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどSCMsを用いる紹介に続いて、コンクリートの主要成分である水酸化カルシウムが気中CO2と反応して石灰石(CaCO3)に戻る過程でCO2を吸収するメカニズム、最後に取違さんらが開発したCO2を吸収しながら硬化するCO2-SUICOMの説明。 聴衆が一般の方であったため専門家でなくてもわかるように配慮された名プレゼン。
https://youtu.be/i2p-xVk-QyU?si=rdEYpnRpJhT3tjin
脱炭素が実装されるために必要なこと(宮本さんの意見)
現在の建設に求められる最大の価値でありニーズは安全・安心で、それを支えるために長年かけて規格(再現性を支える)基準が整備されてきたとするならば、非JISコンクリートではニーズそのものがガラリと変わる(防草、充填、仕上げ)ため、現在の規格を適用しようとすること自体に無理があるように思います。
まずは、市場と顧客が何を求めているかをじっくりと理解した上で、それに応えられる製品を開発し流通させていくマーケットとのキャッチボールの過程でニーズを満足させるに足る再現性をサポートするには一体何が求められるのかを問い、その答えが規格、ということになるのが自然なあり方だと思います。
(動画が共有されたチャットグループで表明した宮本さんの意見)
黒部ダム。https://www.jalan.net/news/article/139881/
橋脚。https://www.n-sharyo.co.jp/business/tekko/result/r37tanigawa.htm
ダムや橋脚に用いられるこれまでのコンクリートに求められる性能は「壊れない」(強度)「長持ちする」(耐久性)つまり、人々にとっての安心・安全・防災などが主要テーマとなっており、そのためJIS A 5308をはじめとする規格・基準類は整備されてきた。
防草・仕上げ「オワコン」
一方、生コンポータルらで普及が進んでいる「オワコン」「オコシコン」に求められる要求性能は、「防草」「排水」「仕上げ」(歩行性)など、既往のコンクリートに求められるニーズとは距離のある種類。
関連記事:【愛知】「ご当地オワコンの代表選手 【毛受ブラック】 で防草・排水・低コストを実現」毛受建材
埋め戻し・充填「イワモル」
こちら「イワモル」もその空間が固い土程度の強度で埋まる(充填される)だけが求められるため、規格・基準類が求めている強度や耐久性の出る幕はない。そもそも、フィールドが違う。細田暁先生風に言えばDown Grading Strategyの分野。
今欲しいのはそれじゃない
これまでの、安心・安全・防災を第一に置いた強度・耐久性ありきののシステムの中でこれからのニーズである資源循環や脱炭素を論じることはできないし相応しくない。それはあたかも晴れの日に傘を貸すようなもの。これから求められるニーズに応えるコンクリートはこれまでの規格・基準類からスタートしてはならない。 マーケティングとは製品や技術からではなく実際の市場や顧客が求めているニーズから始めなければならない。ましてや、現在の規格・基準類がそうであるからといって、新しい時代にも会議室の決定に市場と顧客が従うなどという妄想に浸っては断じてならない。
(引用:https://note.com/ya___man/n/n3ddc67b2ee60)
実践から始まる理論構築「生コンキャンプ」
「生コンキャンプ」では日夜実務家や技術者らが交流し、新しい時代の新しいコンクリートの実践と理論構築が進んでいる。
「コンクリートをもっと身近に」
僕たちは考え方をゼロベースで変えなくてはならない時代に生きているのだと思うんだ。 みんなが思っている「コンクリートはこういうもの」という決めつけを捨てて、社会や環境(市場と顧客)が求めていることに対してコンクリート(技術)からできることを模索する、そんなあり方が求められているんだと思うよ。さもなければ、僕たちの技術はいつまでたってもイノベーションじゃなくマスターベーションのままなのさっ。気をつけようっ。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。