長岡生コンクリート
創発により紡ぎ出される
コンクリートソリューション

2023/06/22

「セメント工場で上澄水散水養生すれば石灰岩の採掘量を減らせるし排出されるCO2も固定できんじゃね?」

「セメント工場で上澄水散水養生すれば石灰岩の採掘量を減らせるし排出されるCO2も固定できんじゃね?」

最近ハマってる上澄水(飽和水酸化カルシウム溶液)による散水養生の要諦は「立地」「熱」「CO2濃度」となっている。三拍子揃った場所はセメント工場。「セメント工場で上澄水散水養生すれば石灰岩の採掘量を減らせるし排出されるCO2も固定できんじゃね?」について。



バージン骨材に上澄水散水養生

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上澄水(飽和水酸化カルシウム溶液)で養生、乾湿を1回予定している。

 残コン女の子

今日は今宮本さんらが熱中している「上澄水養生」をバージン骨材に適用した二見メンバーからのご報告と、例えばこれを「石灰砕石(CaCO3)」で行ったらという仮説についてまでご紹介しまっす。
セメントがなぜ、CO2を大量に排出しているかなども含めてじっくり検証していきますー。

プレウェッティングのついでに脱炭素

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徐々に乾燥する過程で大気中のCO2と反応(Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O)して炭酸カルシウム(CaCO3)が骨材細孔や表面に析出する。

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一夜明けた現在の様子。まだ表面には湿り気が残り見た目においての違いは見られない。

炭素量の分析をすればわかるはずだが、上澄水による1回の乾湿養生で得られる炭素量からCO2固定量(/t)がわかれば、生コン工場でいとも簡単にカーボンクレジットがゲットできるようになるよな?

 残コン姐さん

もっと効率的にするためには?

 残コン女の子

この「上澄水散水養生」というアイディアなのですが、ポイントになる要素として「CO2濃度」「温度(乾燥を促す)」「立地」があげられますー。こうした条件を全て満足させる場所は果たしてどこでしょう? そこで宮本さんが思いついたのが「セメント工場」だったのでした。

セメントはどうやって作るのか

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石灰岩(CaCO3)がキルン(写真)と呼ばれる設備の中で高温で焼成される過程でCO2が発生する。その(CaCO3 → CaO + CO2)過程でもさらにCO2が発生している。こうしてセメントが作られているため、世界の7%の人為的CO2の発生源とされている。 https://newswitch.jp/image/18782

キルンには「排熱」「大量のCO2」「石灰石」が揃ってる

①石灰石

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セメントの原料石灰岩はセメント工場に大量にストックされている。https://www.todaka.co.jp/product/aboutlimestone.html

②排熱

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燃料を燃やす(CO2排出)することで1500℃もの高温で焼かれる工程で「排熱」は容易に得られる。https://www.taiheiyo-cement.co.jp/oofunato/html/sv_koutei01b.html

③化学反応によるCO2

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セメント工場で発生する CO2シェアの6割は原料由来。https://www.taiheiyo-cement.co.jp/csr/feature_fr.html

おお! つまり、セメント工場に密閉空間を作りそこに石灰岩をストックしCO2と排熱をガンガンかけながら上澄水(飽和水酸化カルシウム溶液)による散水養生効率的に行えば石灰岩(CaCO3)の量そのものを増やせそうだぜ!
この工程で得られるCO2固定量もさることながら、得られた炭酸カルシウム分は新たに山を削る必要がねえっ! まさに、SDGSだっ。

 残コン姐さん

上澄水からセメント作ろう

残コンさん、残コン姐さん。今日は宮本さんの思いつき、「セメント工場で上澄水散水養生すれば石灰岩の採掘量を減らせるし排出されるCO2も固定できんじゃね?」のご紹介ご苦労様でございました!
まあ、でも、宮本さん、セメント屋さんではないし、セメント屋さんにイマイチ好かれてない感じでもあるので、このアイディアを検証する方法がないんだよ汗。困ったね、人気者は。。
「コンクリートをもっと身近に」
そんな人気者の宮本さんだけど、このアイディア少しでもありならどなたかご一緒に取り組んでみませんか。誰か身近にいないかなー、キルン持ってたりする企業。あ、いた。埼玉方面にいたっ。久しぶりにジブリに浸りに行こうかなっ。
オワッコーン‼︎

 宮本

 残コン女の子

ぉ、おわ?
キルン・石灰石・上澄水さえ揃ってれば簡単な実験はできそうですー。でも、宮本さん達って人気者だから、なかなかアイディアが採用されないんですよね。。
残コン‼︎ オワッコーン‼︎

 残コン姐さん



作者・宮本充也

残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー

未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。

Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。

After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。

宮本 充也

主な著者
宮本充也

1級(舗装・造園・建築・土木)施工管理技士/コンクリート主任技士・診断士

危険物取扱責任者(乙4)/毒物劇物取扱責任者/日本農業検定(1級)/エクステリアプランナー(2級)/運転免許証(大型・中型)

勉強中の資格:採石業務管理者/2級FP技能士