2023/11/29
「残コン由来の粒状骨材にCO2を固定させCCUを得るだけでなくドラム内を洗浄(研磨)して汚水・残渣を抑制する実験」
ICCではいよいよ残コン洗浄CCU製造システムの実験が始まった。残コンから得られた粒状骨材を洗浄水の代替として位置付け、密閉された空間であるところのドラムを用いて高濃度CO2を固定しCCUを得ることを期待したもの。
残コン洗浄CCU製造システム実験
1日の作業が終了した生コン車
通常、1日の作業が終了した生コン車は大量の水でドラム内を洗浄する。そのため、大量の汚水が発生しそれは残渣やスラッジ水など生コン工場にとっては負の遺産となって経営を圧迫している。
【実験】水じゃなくて残コン粒状骨材で洗って(磨いて)みた
ガラガラ音を立ててドラム内部の付着モルタルを削ぎ落とすことで水で洗うのと同様の効果を期待した実験。一定期間水洗浄との比較を行い検証を行う予定。
この洗浄作業をCO2排出源で行う想定
こちらは、生コン車のマフラーから排ガス(CO2)をドラム内に供給した実験。上述洗浄方法はCO2排出源(ゴミ焼却場や発電所、製鉄所など)で未利用熱による電気で排ガス・排熱とともに効率よく行うことを想定している。
なお、本実験では大量のCO2を効率よく固定化することがわかっている。仮に、本洗浄方法が水による洗浄に比べて遜色がないと判明した場合は、生コン工場(と近隣CO2排出施設)がCCU製造拠点となる。
排出したらそのまままた生コンの出荷へ
排出後のドラム内部の様子。
ブレードやスクープ、シュートの様子。
粒状骨材洗浄の懸念点
生コンのような流動体と違って骨材を満載して回転させることで負荷が過大となりドラムを作動させる油圧ポンプが故障してしまう恐れが指摘されている。ドラム回転数と洗浄性の因果関係が明らかになれば一定の回転数に達した際に自動的に回転が停止するなどの措置が検討される。(写真引用:https://www.zennama.or.jp/park/agitra/a2_shikumi.html)
完全クローズド操業の生コン工場へ
汚水の大半は生コン車のドラム洗浄となっているためもしもこの方式が確立されたらトロンメルやフィルタープレスは不要となり得られたCCU(粒状骨材や微粉末)はその場でそのままCLSMやポーラスコンクリートなど非JISコンクリートの製造に用いることができ、それはとりもなおさず完全クローズド操業を意味する。
「コンクリートをもっと身近に」
残コンで残コンを改質(粒状化)に引き続いて今度は残コンで残コンの付着したドラム内部を洗う(磨く)ってんだから、残コン恐るべし。こうした一連のプロセスはコンクリートを購入される方々にとっては舞台裏なわけだけど、そうした裏側も隠さずガラス張りにしておくことが産業としてより貢献できるようになる重要な活動だと思うからこそ生コンキャンプではご紹介していますっ。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。