2023/10/01
中性化(CO2の吸収・固定)の一方でスラグブルーと酸化(O2の吸収・固定)が生じるコンクリート
コンクリートが中性化することによってCO2を吸収固定する「だけ」と考えられていたところに「スラグブルー」とコンクリートの「酸化」という現象に出会い新たな問いが立てられた。光合成に準えるのであれば、脱炭素コンクリートも「酸化」(O2の固定)も考慮に入れるべき?
スラグブルーとコンクリートの「酸化」について
このところ、脱炭素一色のコンクリート業界ですが、「酸化」という現象が一方で行われることをきちんと考慮した技術開発も検討課題となり得るかもしれません。。
高炉スラグ微粉末100%生コンを運んだ生コン車のはつり
結合材に「セメント」を用いず、すべてSCMs(高炉スラグ微粉末)で製造したコンクリートの製造・出荷が始まっている。
関連記事:【ヌテコン】「伊豆中央コンクリート(静岡県東部エリア)では 【▲1,000円】 すでに製造・出荷が始まります」
こちらは、実際にその生コンを運搬した生コンクリートのドラム内部を清掃(はつり作業と言われている)している様子。「あれ? 青くね??」。
スラグブルー
なんと驚いたことに、はつり直後のコンクリート片は見事に真っ青。これ、細田先生から伺ったところによると「スラグブルー」と呼ばれる現象だそうだ。
あれ? 数分後「白色」になってる??
左が直後に対して、右は数十分前に排出された「さっきまで青かったコンクリート片」の比較。白色になっている。もしかして、こんなに早く中性化なりが発生して炭酸カルシウム(白)に変化したのだろうか?
スラグブルーが白色になるのは「酸化」が原因
青いのは、酸化現象で色が無くなるようです。
過去、高炉セメントのコンクリートで施工されたボックスカルバートの調査をしたとき、コアを採取しましたが、
中性化深さはせいぜい5mmくらいだったのに対し、スラグブルーが消失していた深さは70mmくらいだった記憶があり、その深さが酸化していた領域のようです。
中性化(CO2の固定化)よりも酸化(O2の固定)が大きい??
宮本さんの疑問:
CO2よりもO2の方がコンクリートとの反応(つまり固定)が速いってことはホワイトカーボンの理屈が成り立たないってことなんでしょうか??
グリーンカーボンはCO2を吸収するけど、同時に比較的少ないけれどもO2も呼吸している。CO2マニアの方からすると、CO2はどんどん減らしてO2増やしたい。そう考えると、ホワイトカーボンは成り立たない?
どうでもいいことかもしれませんが、もしご助言いただけるようでしたら勉強になりますのでどうぞよろしくお願いします。
細田先生からの答え:
そもそもCO2の固定、ということ自体にほとんど興味がないので、あまり頭が働きませんが、植物がCO2を固定する、と皆、思い込んでいると思いますが、光合成で吸収するのは成長の著しい若い部分だけ、とのことです。大きな木になると、成長している部分はほとんどないので、吸収能力も大したことない、とのこと。
そもそも石炭、石油を使い始めたのもたった200年くらいの話であり、人類はいずれ、別のエネルギーを手にするはず。核融合なのか、素粒子なのか分かりませんが。
もっとまともなことに人類は努力すべきですよね。
誰もがご存知グリーンカーボン「光合成」(CO2を利用してO2を生み出す作用)は一方で「呼吸」(O2を利用してタンパク質やエネルギーを生み出し、CO2を排出する作用)が行われ、相殺勘定が行われ「CO2を固定してO2が増えました」とされている。その理屈を踏襲するとするならば、仮に脱炭素コンクリートとされている高炉スラグなどを用いたコンクリートの削減したCO2だけでなく、酸化して失われるO2もきちんと計算に入れる必要があることになる。一口に「脱炭素コンクリート」と言ってもまだまだ明らかにされるべきことは多いようだ。
「生コンキャンプ定期演創会」は10月20日
なお、今回宮本さんの素朴な疑問に答えてくださった細田先生は来たる10月20日の「生コンキャンプ定期演創会」でメインスピーカーを予定している。この機会にぜひ直接ガシガシ質問を投げかけてみよう。
関連記事:【生コンキャンプ定期演創会】「おかげさまでリアル参加の受付は終了。あとはリモート参加のみとなります」
「コンクリートをもっと身近に」
この手の話題はかなり技術技術してて、いわば舞台裏的なものになるけど、そうした舞台裏もきちんと共有する(読まれる、読まれないは別として)ことで宮本さんたち自身も進化・成長して行くことは、コンクリートの貢献の領域を広げることに置いて有益だよねっ。というわけで、「伝える」情報発信これからも頑張るぞっ。
オワッコーン‼︎
この「酸化」という現象はスラグ特有なんでしょうか。まだまだ知られていないことってたくさんあるようですー。。
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。