2024/01/27
担い手不足や需要減が深刻な生コン産業が持続可能であるために必要なICTのあり方
外の業界から生コン産業を眺めると多くの非効率や無駄、不要が蔓延る現実を知る。 進化するAIなどどこ吹く風で変化を拒む生コン産業を外側からではなく内側(現場)から役に立つサポートシステムの構築について議論された。
生コン工場アシスタントシステム
リバティーの皆さん
左からリバティーの井上さん、安藤さん、栗木さん、わざわざ神戸と名古屋からはるばる静岡県伊豆の国市を訪ねてくださった。 目的はこれまでの生コン周辺ソフトウェアとは一線を画した生コン工場向けアシスタントシステムの開発。
SBIR建設技術研究開発助成制度
建設技術研究開発助成制度は、建設分野の技術革新を推進していくため、国土交通省の所掌する建設技術の高度化及び国際競争力の強化、国土交通省が実施する研究開発の一層の推進等に資する技術研究開発に関する提案(ただし、鉄道、港湾、空港等運輸政策分野の技術研究開発に関 する提案は対象外)を企業や研究者から広く公募する競争的研究費制度です。
優秀な提案に対し、予算の範囲内において、補助金(建設技術研究開発費補助金)を交付します。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001719026.pdf
国土交通省が展開している補助事業が議論された。地方では深刻な担い手不足によりコンクリート産業そのものの継続が危ぶまれている現状をAIやITで打破する技術開発が議論された。
残コンの高度利用
およそ全ての生コン工場の困りごと「残コン」のリサイクル方法の存在は知ってはいても具体的に何をどのように始めたらいいのかわからない。 そんな現行をシステム面からサポートして負荷なく自然と残コンを付加価値原材料に変換させる構想が議論された。
業務効率化
JISの要求のみならず具体的実際的に業務が要求する作業を省略しうるシステムの検討。例えば非効率や重複などにより100時間要する作20時間で済むようなICTサポートが議論された。
新市場「非JISコンクリート」製造・出荷サポート
ドットコンはパネルを設置するだけで施工可能な透水性コンクリート。
オワコンは特殊薬剤を生コンに投入・撹拌するだけで製造される透水性コンクリート。
イワモルはSCMsを1m3に50kgしか配合されていない残コン由来の回収・粒状骨材を100%使用した安価なCLSM(Controlled Low-Strength Material)。激減するコンクリート産業にあって急成長を見せる各種非JISコンクリートの導入を円滑にサポートするソフトウェアのあり方など。
創発型R&D「生コンキャンプ」参加者募集
熱きディスカッションの後はお馴染みLumberでパーティー。写真はLumber名物ハンバーガーを平らげたところ。
コンクリートを志す人には常に門戸が開かれている「生コンキャンプ」ではそれぞれの興味・関心に基づいた挑戦が日夜繰り広げられている。今回の生コン工場サポートシステム開発もその1。
「コンクリートをもっと身近に」
改めて思ったけど、まずは現状に対しての課題意識や情熱が出発点にあるよね、何もかも。それがなければ、何も始まらない。 ICTを活用した生コン工場サポートシステムの開発、口で言うのは簡単だけど実際は茨の道が待っているはず。 けれど、井上さんや安藤さん、そして栗木さんのような思いを持ったエンジニアのみなさんとの協業はきっと何らかの形を生み出すはずだねっ。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。