2023/07/08
「JCI九州大会最終日午前中のプレゼン【環境配慮型コンクリート】について」
一泊二日の強行軍で訪ねた九州・博多ではたくさんの知見に恵まれることができた。今をときめく脱炭素コンクリート技術の最先端と生コン工場の貢献について。
環境配慮型コンクリート(材料)4
https://confit.atlas.jp/guide/event/jci2023/session/70/tables?bYQdcfVlea
Experimental investigation on the effect of mixing dry ice and γ-C2S in concrete
鹿島所属のKUMAR Avadhさんのプレゼンでは、あらかじめペレットタイプのドライアイスを材料として練り混ぜる順番を工夫することでCO2とγc2s(CO2と反応することで硬化する物質)を配合したコンクリートのフレッシュ性状や強度の改善が見られたという研究。時間の関係で質問ができなかったが、ぜひ実機でやってみたいものだ。https://confit.atlas.jp/guide/event/jci2023/subject/1198/tables?cryptoId=
アミンを添加したセメントペーストの力学特性に関する基礎的研究
こちらは我らが北海道大学の北垣先生(RRCS理事)の発表。宮本さんも知らなかった「アミンはCO2を取り込み水酸化カルシウムとの反応を媒介する」という性質から、アミンを含浸させることで硬化コンクリートをCCUSとして活用できる。その研究をさらに応用して、フレッシュコンクリートにあらかじめアミンを配合することによる力学特性とCO2固定性を把握しようとする研究。さすがっ。https://confit.atlas.jp/guide/event/jci2023/subject/1199/tables?cryptoId=
軽質炭酸カルシウムを用いたCO₂吸収コンクリートの埋設型枠としての適用性に関する検討
そしてこちらも我らが鹿島(CUCO)から山野さんの発表では、まず、コンクリートのCO2削減技術について「セメントを用いないことによる発生抑制」「コンクリートそのものをCO2固定に用いる」「各種CCUS材を配合して作るコンクリート」の3点が概要として紹介された。
なんとも恐るべきことに、γc2sとCCUS(CO2を固定して得られたCaCO3:軽質炭酸カルシウム)Wの効果で62kg/m3のカーボンネガティブが達成できるコンクリートを埋設型枠として適用しようとする研究。
軽質炭酸カルシウムを10kg/m3配合する程度ではフレッシュ性状に悪影響もなく、また、硬化コンクリートとしての品質も現場打ちコンクリートと同等以上が確認されている。ごいすー。実際に現場適用しちゃってるところが、ほんと、ごいすー。練らせてください、僕に練らせてください。https://confit.atlas.jp/guide/event/jci2023/subject/1200/tables?cryptoId=
【検討】上澄水養生を行った粒状化再生骨材を用いたらもっと!
プレゼン終了後矢も盾もたまらず山野さんに個別質問。現時点で最大の問題点が、軽質炭酸カルシウムの供給となっているそうだ。そこで、「上澄水を散水乾湿繰り返ししてバッキバキにCO2を吸わせて炭酸カルシウムで性能改善した特に細骨材を大量に用いればさらに1トンあたり楽勝で30kgをネガティブに持っていけます」という提案を申し上げたところ大変興味を持っていただけた。https://www.nr-mix.co.jp/jois/blog/post_595.html
生コン工場にとっちゃ、学会の論文発表は「直ちに実装可能なアイディアの宝庫」とも言えるから、学会内側で盛り上がるんじゃなく、実務家(生コン屋や施工管理者など)や広く一般の人々に向けて発信することで、より大きな成果が生まれるはずだ。
後半は「再生コンクリート/リサイクル」
ブース展示には国内55の組織が協働するCUCOが紹介されていた。今回の論文発表でも「CUCO」ロゴの露出が多く一際目立っていた。
さあ、次は「再生コンクリート/リサイクル」さらに、現場・実装に寄った論文が目白押しとなります。乞うご期待。
オワッコーン‼︎
技術開発の進展に伴った産業の刷新が望まれるってことですね。
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。