2023/11/23
「流動化処理土(LSS)とCLSM(ACI)の比較検討から生まれるコンクリートの新市場」
我が国では土質改良の分野が先行して開いた流動化処理土という技術体系。一方、アメリカではCLSMとして主にコンクリート産業(ACI)がその分野を支えている。このずれ、歪みに着目して今後「イワモル」の研究開発が推進される。
日本独自のCLSM標準を創る
HAYN隊の新人エブサさん工場研修
「オワコン」を研究しているヤンさん(左)と共にLUMBER名物「生姜焼きプレート」に舌鼓を打つエブサさん(右)はこの度YNUで主に「イワモル」の研究に携わることになったHAYN隊の新入隊員。カンボディアからのヤンさんに今度はエチオピアからのエブサさんと随分国際色豊かになってまいりました。
「イワモル」を日本のCLSM市場開拓の鍵に
CLSM(Controlled low-strength materials)は,低強度制御材料などと訳されており,北米で普及しているスラリー状の埋め戻し材である。この材料は使用目的に合わせて最大強度を制限しており,ACI(アメリカコンクリート協会)は圧縮強度が材令28日で1200psi(8.3N/mm2)以下の材料としている1)。
(引用:電力技術土木協会)
エブサさんによればアメリカではすでに「イワモル」のような市場はCLSMとして開拓されておりその規格・基準類と比較の中で研究を進めることを志向していた。
【気づき】日本のCLSM担い手はコンクリート産業ではない
我が国におけるいわゆるCLSMは流動化処理土研究機構らが推進するLSSとなっている。なお、LSSはLiquified Soil Stabilizerとあるように「土」が主原料となっており、つまり我が国における担い手はアメリカとは異なりコンクリート産業ではないことを象徴している。(写真引用:TAIYO)
今こそ主権をコンクリート産業へ
なお、生コンポータルでは「イワモル」に並行して「残渣式流動化処理土」の製造も行なっている。工場見学に訪れたエブサさんはそれぞれの違いや特徴についての宮本さんの説明に熱心に耳を傾け大量の質問を寄せてくれた。舗装についても95:5でアスファルトに覇権を握られているだけでなく、CLSMについてもコンクリート産業は全くと言っていいほどその存在感を示していないことをチャンスと捉えた新たな市場開拓についてディスカッションを行なった。
日本のCLSMは残コンやSCMsが原料
残コンst視察。
残コンstで得られた粒状骨材の原石。
得られた細骨材はそのまま「イワモル」の原材料として100%用いることができる。
なお、残コン由来の微粉末「残コナ」やSCMs(高炉スラグ微粉末やフライアッシュなど)は結合材などが貯蔵されるサイロに同様に貯蔵可能。つまり、生コン工場であれば生コンクリートを製造するようにCLSMとしての「イワモル」の製造が可能であることを意味している。
拓く日本CLSM市場の担い手はコンクリート産業
四国から見学に訪れていた松尾建材の松尾ご夫妻と共に記念撮影。日本のCLSMは我々コンクリート産業が担うことを約束し合う。
「コンクリートをもっと身近に」
てなわけで、組合とか秩序はもちろん大切だけど、その上に胡座をかくのではなくてきちんと活用して新市場を広げていく必要があるよねっ。仲間たちと共にそんな新たな産業を開くべくこれからも全集中するよっ。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。