2024/01/19
「何でもかんでも情報管理の名の下に隠そうとする規制をかけようとするのは実に日本的でくだらない慣習」MAPEIラボ訪問
15年前に初めて訪ねたMAPEIラボを再訪して感じたこと。日本のものづくりには失われつつあるシームレスでオープンな組織構造は技術者や研究者のエネルギーを閉じ込めるのではなく解放する。
MAPEIラボ訪問(1)
イタリア・ミラノ到着
丸1日かかってようやく到着したミラノ・マルペンサ空港で記念撮影。 左から、マルコさん(エロイカジャパンの親善大使)、ジョルジオ博士、山口イケメン(fmいずのくに)、エブサさんとヤンさんは横浜国立大学細田暁研究室在籍。
ウェルカムランチ
マルコさん、山口イケメンとは別行動、ジョルジオさんに連れられてウェルカムランチでは「オワコン」を卒論のテーマとしているヤンさん(左)とCLSM「イワモル」を担当するエブサさんとともに、「残コン」を巡るMAPEIと生コンポータル15年の歴史などが共有された。そういえば、もう、15年も経つことになる。
MAPEIラボ訪問
世界80ヵ国に展開しているMAPEI最大のラボは同社発祥の地(ミラノ)にそのまま残っている。受付の看板の前で記念撮影。
分析センター見学
最初にCentral Analytical Lab つまり、分析センター的な施設を見学。言語が英語で文系出身ということもあって宮本さんには9割型何言ってるかわからない説明だったが若き研究者たちは相当興奮を覚えていたようだった。そして、振り返ってみればエチオピア出身のエブサさん(29歳)とそんなに変わらない年齢(30歳)の頃にMAPEIを訪ねていたことを思い出し感傷に浸りながら写真撮影をする宮本さんは現在45歳。
「寄りかかって倒れたりしたらとんでもない事件になるんだろうなあ」と思わせる高額そうな機器が所狭しと置かれているさすがは一流企業MAPEIのセンターラボ。残コン(「残コナ」や「残スナ」ほか原材料)の分析にとっては申し分のない内容のようだ。
国際的塗料メーカーMAPEI
15年経過して当時30歳の頃の宮本さんよりも英語力が向上したこともありMAPEIの凄さがよくよく知れることになったところでは、塗料メーカーとしても国際的に一流どころ。「混和剤だけじゃないんだね、なんだよ、もっと早く教えてくれよ、こんなすごい会社が当社の主要仕入れ先なんだね」と宮本さんご満悦。
極め付けはタイル接着剤
こちらはMAPEIのプロダクトラインの中でも最も重要な地位を占めているとされるタイル接着剤のラボ。そういえば15年前もAdhesiveとかSealantとかって言葉が連発されていたことを今は昔と懐かしく思い出す。そもそも、このAdhesiveがMAPEI創業のきっかけ。ローンチした1973年はたった7名のザ・零細企業だったMAPEIは現在雇用11,000人を突破する押しも押されぬ巨大企業。
そんな大躍進MAPEIを支えた重鎮とも言えるおじ様(接着剤ラボのボス、お名前失念)直々に一流Adhesiveのラボについて説明を拝聴することができた。
Can I take a picture? と声をかけると誇らしげに表情を作る。 こういう表現が適切なのかわからないが、まるでアート作品を作っているかのように、あるいはピザやガラス細工を作っているかのように、ラボにいる誰もが自身の仕事に誇りを持っているように見えた。 これぞ、一流のものづくり企業MAPEI支える精神なのかもしれない。
シームレスな情報共有とオープンなものづくり
こちらの設備は時間経過における材料のごくごく微細な変化を検知するための設備。全ての設備において全く包み隠すところのないオープンな説明は日本の研究所にありがちな「写真撮影禁止」とか、「念書にサインください」とかと全く逆。 また、創業家でもあり経営者でもあるマルコ・スクインジィさんから入社直後の若手研究者に至るまで情報共有は階層を辿ることなくシームレスだという。
「コンクリートをもっと身近に」
ていうか、隠し立てするようなもんは実力でもなんでもないってことだね。隠す・保護する必要のあるものは所詮その程度。もちろん、知財として確立し防御のは必要だけど、何でもかんでも情報管理の名の下に隠そうとする規制をかけようとするのは実に日本的でくだらない慣習だと改めて思いました。引き続き宮本さん、毎日3本今年で9年目のブログでは100%オープンスタンスを貫いて本物の実力を磨いて参る所存ですっ。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。