2023/12/23
イタリア・MAPEIと伊豆半島・生コンポータル(長岡生コンクリート)協業の歴史を振り返る #1
協業の歴史はいつの間にか10年を越し、イタリア人職員アルベルト・フェラーリは日本で可愛い二人の子供のパパになっている。来年1月に予定されているMAPEI(イタリア・ミラノ)訪問に先立ち予習も含めてこれまでの協業の歴史を振り返る。第1弾はre-con zero evoと残コンstの進化と未来について
Re-con zero evoと残コンstの進化と未来
Re-con zero evoとは
共同で開発され誕生しRe-con zero evoと名付けられた製品はもともと現場で利用されることなく持ち戻されたドラム内の残コンに適用するものであり高分子や急結材などの作用で残コンを砂礫状(粒状)に改質し骨材として利用を促す意図でリリースされていた。
ドラムを用いない残コンstに進化
なお、現在では各種問題を孕むドラム内改質は推奨されず、残コンstと呼称された簡易なプロセスで粒状化処理が施されている。
トロンメル他で分級され骨材と微粉末に
分級前の粒状化残コンはRG原石と呼称されている。
粒状骨材(RG骨材)
RG原石(粒状化残コン)はトロンメルなど設備を用いて分級される。
こちらはRG細骨材。
砕石製造プロセス(インパクトクラッシャと集塵機)で微粉末
得られたRG細骨材をさらに砕石製造プロセス(破砕と粉塵の捕集)にかけることで、細骨材はダスト分が取り除かれ品質が安定する。
また、微粉末(「残コナ」と名付けられている)はそのまま混和材や造粒材、CLSMの原材料などCCU(Carbon Capture Utlization)への応用が期待されている。
微粉末や RG細骨材でも造粒ができた
なお、上記プロセスで得られた微粉末や細骨材(写真)はre-con zero evo同様造粒材として機能することがわかっている。こうすることで残コンstにおける造粒骨材や微粉末の製造原価は圧縮されている。かかる経費は設備(トロンメル、インパクトクラッシャ、集塵機、重機ほか)の償却費と関わる労務費だけとなり、今後残コンstでは近隣生コン工場からの残コン(またはスラッジケーキや回収骨材)の受け入れを強化する予定だ。
次回は残コン原材料の出口戦略について
真っ白なコンクリートの上でポーズするジョルジオ・フェラーリ博士。次回はせっかく作った残コン由来の各種原材料の用途・可能性について紹介する。
「コンクリートをもっと身近に」
ITやAIなど現代のテクノロジーは人々の協業に垣根を取り払ってくれて快適な技術開発ができるようになったよねっ。宮本さんが生コン工場に入職した頃には組合エリア外はもちろん海外の企業と協働するなんて考えもしなかったからね。万感去来中ですっ。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。