2024/01/09
「残コンは砂金」イタリア・MAPEIと伊豆半島・生コンポータル(長岡生コンクリート)協業の歴史を振り返る #6
これまで厄介者だった残コン由来の生コンスラッジを加工することで脱炭素/資源循環の現代における砂金(Gold Dust)を製造し新たな流通、新たな市場を構築することができるはず。その「可能性」をMAPEIとともに現実へ。
生コンスラッジの高度利用
みんなの困りもの「残コン」が脱炭素/資源循環の追い風を受けて新市場を拓く可能性について検討してまいりますー。。
「残コナ」(スラッジ由来の微粉末)
生コンスラッジを原料とした微粉末は「残コナ」と名付けられさまざまな用途(現代はCCUとして)に用いられている。
原材料は生コンスラッジ
こちら生コンスラッジ(汚泥)は世界中の生コン工場の厄介者として知られている。ほとんど全ては最終処分場での埋め立て処分に付されている。
スラッジケーキを「原石」とする
天日乾燥させた生コンスラッジをあたかも「原石」として定義し通常の砕石製造プロセスに通す。
整粒機(インパクトクラッシャ)
ふるいでオーバーサイズを分級されたスラッジ原石をインパクトクラッシャ(写真)で破砕する。
集塵機で捕集する「残コナ」
こちらもおよその砕石工場であれば設置されてある集塵機で「残コナ」(微粉末)を捕集する。
「残コナ」パテント出願済み
【請求項1】(方法:基本)
コンクリート製造設備の洗浄水を、スラッジケーキとスラッジ水とに固液分離する、分離工程と、前記スラッジケーキをふるい分け、スラッジ片とスラッジ粒体に分級する、分級工程と、前記スラッジ粒体を破砕して、スラッジ砂とスラッジ粉体からなるスラッジ混合体として排出する、破砕工程と、前記スラッジ混合体から前記スラッジ粉体を分離回収する、集塵工程と、を備え、前記スラッジ粉体の製造副産物として、前記スラッジ水、前記スラッジ片、及び前記スラッジ砂を、それぞれコンクリート製造用の練り水、再生粗骨材、及び再生細骨材として回収することを特徴とする、スラッジ粉体の製造方法。
【請求項2】(方法:振動ふるいで2.5mmアンダーも回収)
前記分級工程において、前記スラッジケーキからさらにスラッジ砂をふるい分けることを特徴とする、請求項1に記載のスラッジ粉体の製造方法。
【請求項3】(システム:基本)
乾燥状態のスラッジケーキをふるい分け、スラッジ片とスラッジ粒体に分級する、分級ユニットと、前記スラッジ粒体を破砕して、スラッジ砂とスラッジ粉体からなるスラッジ混合体として排出する、破砕ユニットと、前記スラッジ混合体から前記スラッジ粉体を分離回収する、集塵ユニットと、を備え、前記破砕ユニットが、前記スラッジ混合体を、前記破砕ユニットより下方の集塵室に落下させ、前記集塵ユニットが、前記スラッジ粉体の落下により前記スラッジ砂から分離して前記集塵室内に浮遊する前記スラッジ粉体を、吸引して回収することを特徴とする、スラッジ粉体製造システム。
【請求項4】(ジオポリマーの製造方法:基本)
請求項1又は2に記載のスラッジ粉体の製造方法における、スラッジ粉体を使いてなる、ジオポリマーの製造方法であって、活性フィラー、前記スラッジ粉体、粗骨材、細骨材、及び練り水を、所定配合で混合し、前記スラッジ粉体を前記活性フィラーのアルカリ刺激剤として用いることを特徴とする、ジオポリマーの製造方法。
【請求項5】(ジオポリマーの製造方法:活性フィラー)
前記活性フィラーが、高炉スラグ微粉末又はフライアッシュであることを特徴とする、請求項4に記載のジオポリマーの製造方法。
【請求項6】(ジオポリマーの製造方法:具体的配合)
配合設計において、前記活性フィラーを前記スラッジ粉体に内割で10~30質量%置き換えたことを特徴とする、請求項5に記載のジオポリマーの製造方法。
【請求項7】(ジオポリマーの製造方法:再生骨材)
前記粗骨材及び前記細骨材が、前記スラッジ粉体の製造副産物として回収した、前記再生粗骨材及び前記再生細骨材であることを特徴とする、請求項4に記載のジオポリマーの製造方法。
(山口特許事務所より)
出願中の「残コナst」に関する特許。なお、本方式で得られる微粉末(CCU)の用途は、①材料分離抵抗性を期待した混和材、②アルカリ刺激を期待する混和材、③CNを期待した混和材、④CLSMの原材料、⑤造粒材(Re-con zero EVO同様「残コン」や「コンクリート舗装」などに適用)など豊富な出口が実装されている。
国際的残コン流通網の創造
生コン工場も砕石工場も世界中あらゆるところに存在する。これまでの生コンクリート製造を動脈とするならば、残コン(生コンスラッジ)によるCCUほか非JISコンクリート向け原材料製造を静脈とする新たな流通構造が生まれていることを意味する。
「コンクリートをもっと身近に」
世界企業MAPEIと一緒なら僕たちがラストワンマイルで生み出したイノベーションを世界規模の流通網に発展させることができそうだねっ。今日も脇目もふらずに現場至上主義で生コンを楽しむよっ。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。