2023/07/18
「いかにしてイワモル(流動化処理土)をオワコン(造粒ポーラスコンクリート)のように売るか」
一足お先にB2Bつまり一般消費者に広くその効用が認知され世界の景色を変えている「オワコン」に続き、横浜国立大学・細田暁研究室らと共同している「イワモル」を健全に社会実装するために必要なこと。
イワモルをオワコンのように売る方法
これまでコンクリートといえば、橋やビル、住宅の基礎に用いられるなど主にゼネコンや工務店さんに限定して用いられてきた製品でした。一方、生コンポータルでは「庭コン」「生コンビニ」といったB2Cにまで価値訴求する手段を駆使して「オワコン」を広く一般消費者にまで認知させたことは周知の通りです。
さて、こうした試みは流動化処理土「イワモル」でも再現可能なのでしょうか??
イワモルってなに?
イワモル生コン工場で発生する残コンを再利用した原材料(粒状化骨材・再生骨材)を用いて製造される。写真は渋谷建材構内に設置されているハイブリッド型残コンst。
「これ(残コン由来の原材料)、流動化処理土に使えるんじゃないか?」横浜国立大学細田暁先生が岡山の残コンstを訪ねた際に降ってきたアイディアが端緒となって生まれたのがイワモル(写真)。用途はセメントミルクや流動化処理土(LSS)、スラモルなどと同様に埋め戻しがメインとなる。
イワモルもオワコンみたいに売れるのでは?
こちらは、生コンビニで手配され現場に届けられる「オワコン」。生コンポータルは20年来こうした透水性コンクリートに分類されるコンクリート製品の製造・販売に携わってきた。
透水性コンクリートの主な用途としてはぬかるみ、段差、水たまり、雑草、排水などの対策、つまり暮らしの身近なニーズを目的として現地で材料が施工されることで市場と顧客のニーズに出会う。これまで橋やビル、住宅の基礎などインフラ基礎資材として一般に流通してこなかったコンクリートが、 ITを駆使したマーケティングによって広くB2Cに訴求するようになっている。そのため、イワモルもオワコン同様B2Cマーケティングが奏功するのではないかという議論が起きている。
価値訴求の対象が異なる「イワモル」と「オワコン」
「オワコン」は「雑草」「ぬかるみ」「段差」といったB2Cつまり一般の方向けに十分訴求する価値を有していたのですが、イワモルは「埋め戻し材」つまり一般の方には無縁でとりわけ工事業者の方にとって「施工が楽」「ただ垂れ流すだけ」価値訴求可能な製品なんですね。。
以下は、生コンポータルでも日頃製造・出荷している流動化処理土の施工の様子です。
流動化処理土は使われなくなった地中埋設管などの地中空洞の埋め戻しに用いられ写真でも材料が全く見えないように専門工事業者らにより「人知れず」役に立っている。
確かにこの点は、生コンポータルが強えWEBマーケティングが歯が立たねえ領域だぜっ。専門工事業者はググったりタグったりしねえ人種だからな。。
SDGsとか省人化に興味ある一般人はごくごく少数
その証拠に、「オワコン」や「オコシコン」ではSDGsとか脱炭素なんて一切強調せずに販売していることからもそれがわかると思いますー。。
「イワモル」が広く一般の方にその価値を知らせるためには一体どのような手段が考えられるでしょうか?この点が渋谷建材さんや横浜国立大学・細田暁研究室の皆さんと議論されたポイントになってます。
そして、もし、この点にブレイクスルーが生まれたら、それはあらゆるB2B製品コンクリートが「オワコン」や「オコシコン」同様に市場と顧客のニーズに出会うことができる、つまり「コンクリートがもっと身近になる」ということを意味するのです。
渋谷建材大曽根さん、YNU(横浜国立大学)細田暁研究室の方々とこの点について議論を深めた。「早く終わる」「楽になる」というオワコンでも訴求可能だった点のみでは市場と顧客全体の評価を得ることは難しい。いかにして、一般消費者の満足・納得を得るかが重要な鍵。いわば、「イワモル」の市場が形成されるためには、一般消費者・専門工事業者の満足・納得が両輪となって機能しなくてはならない。
「売れない技術をいくら研究しても意味がない」
細田暁先生のとがった発想はほんとにリスペクトだぜ。学者も技術者も、施工業者も、製造業者も、属性関係なく「売れる」つまり誰もが「健全に社会実装される」ためにどのような役割を果たすかが鍵ってことだなっ。
「コンクリートをもっと身近に」
健全に実装されない、つまりは売れない技術や研究は意味がない。常に現場を出発点にする細田暁先生のお導きにより国土交通省を巻き込んだ研究が進んでいる。
関連記事:【国土交通省】生コンの廃棄物等を革新的に活用した 「造粒ポーラスコンクリート」や「流動化処理土」等の現場実証【現場レポート①】
「コンクリートをもっと身近に」
誰かがなんとかしてくれるなんてシンデレラじゃあるまいし、僕たちは自分たち自身で伝えていかねばなりません。現行の市場構造をきちんと分析して、何にどのように訴求していけば、広く一般にコンクリートの価値がきちんと認知されるのか。このテーマは生涯を捧げたっていいくらい大きなやりがいのあるものだねっ。
オワッコーン‼︎
Amazonや楽天で気軽にコンクリートを買えるような。電気・水道・ガス・コンクリって言われるくらい。それだけの潜在性があるにも関わらず、そうはなっていない現在をどのように再定義していくかが重要な鍵になりますー。。
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。