2023/07/20
「すごい貢献(陥没を人目に触れることなく充填)なのにその後舗装(蓋)され見えなくなっちゃうから知られることがない」
静岡県三島市。願成寺墓地の地盤に生じた空洞による陥没を対策するために用いられた流動化処理土。この後舗装がかけられ何もなかったように安心が始まる。知られていないことは存在していないのと同じこと。伝わらないから求められない。コンクリートのジレンマについて。
製造:ICC、施工:山本建設(使用数量12m3)
すごい役に立つのに伝わらないコンクリート
イワモルなど流動化処理土(流動性のある埋め戻し材料)は生コン工場で製造されていますが全て地中での出来事で施工も人目に触れることがないことからその貢献が知られることはありません。「知られていないことは存在していないのと同じ」と言われるように、価値が伝わりにくい、というのがコンクリート・建設における課題として捉えていますー。。
何をやってる? ビルや家など構造物すらできない製品
一般にはぱっと見、何をやっているか全くわからない光景。実は、コンクリート圧送車(写真)を通してコンクリート(イワモルなど流動化処理土)が送り込まれている様子。
陥没箇所の充填という重要な役割
雨水の流れに伴い地盤の一部が洗掘・流出したことによって生じた空洞が問題となっていた。そのまま放置しておけばやがて地上構造物が傾くなどさらなる地盤沈下が懸念されるため、流動化処理土の出番となった。なお、当該現場など高台にある場所における地下空洞の埋め戻しは従来の埋め戻し材(RC40など)では多大な費用と労力、周辺環境への負荷(騒音、振動、粉塵など)が生じてしまうところだが、本工法であれば「ポンプ車で流し込むだけ」あっという間の完成。
すごい貢献も結局蓋される
専門家からすれば従来工法に比べたものすごいメリット(イノベーション)であることがわかるものの、この貢献も結局はこの後アスファルトやコンクリートなどで舗装(蓋)をされ「何もなかったように」普段の墓地の光景が始まる。橋やビルなどのようにその貢献が構造物として人目に触れることは無い。
人目に触れない目立たないから貢献しにくい
実はこの工法、2018年に発生した博多駅前道路陥没事故の際にも大活躍で世界中の賞賛を浴びたものの、その後は舗装がかけられ今は何もなかったかのように当時の面影を残さない。https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00142/00090/
関連記事:「いかにしてイワモル(流動化処理土)をオワコン(造粒ポーラスコンクリート)のように売るか」
生コンポータルでは「知られてさえいれば求められる」をモットーに情報発信について日夜実践を重ねている。一般に問題として認識されている「雑草」「水たまり」に関して「オワコン」「オコシコン」が認知されたように、専門家のみならず広く一般の方々にとって「自分ごと」としてコンクリート(イワモル、流動化処理土)が認知される術を探求している。
「伝える」努力を怠ったことで知られてこなかったために世間に建設・コンクリートに対する「不安」を醸成し、「コンクリートから人へ」など無闇に叩かれる事態にまでなっちまったからな。
宮本もblg毎日3本でチャラい文章垂れ流してるから「売名」だとか「炎上商法」だとか散々な言われようをしてきたが、雑音気にせず突き抜けちまえっ。
知られてないってことは「いない」ってこと
宮本さんGptでは「既読がついたら秒で回答」をモットーに少しでも一般にコンクリートが身近な存在になるべく実践を行っている。気味悪がらずに気軽にLINEをしてみようっ。
「コンクリートをもっと身近に」
耳タコかもしれないけどしつこくこの言葉を垂れ流している理由はそこにあるのであります。ブレイクスルーを起こしたい。なんとかして、「知らない」を「知っている」に変えたい。たったそれだけで、世界の景色が様変わりしもっと人々の暮らしは安心・安全になるって僕たちコンクリート・建設の専門家は知っているからね。
オワッコーン‼︎
縦割りで階層構造の産業をもっと風通しのいい自由な循環が促される場所にすることできっと自ずと「コンクリートをもっと身近に」が達成されるのかもしれませんね。。
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。